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1922年5

「ちょっと!あなた、まさか、800年からバチカンの歴史を語るつもり?」

ベルフェゴールは、私の話を聞きながら驚いて口をはさむ。

「そういうわけじゃ、ないけどさ、一応、押さえて置くべきだと思うのよ。」

私はため息をつく。

「あなたが、エタる理由がよくわかったわ。」

ベルフェゴールの嫌みを、私は苦笑で受けた。

「そうよ。もう、いつもこんなんだから。貴女も良いところで帰った方がいいわよ。」

私が恨めしそうにベルフェゴールを見ると、彼女は意外な事に甘い笑顔を返してきた。

「嫌よ。あなたのコト、ワタクシ、気に入ってしまったのだもの。

バチカンの話なんて、聞きたくもないけれど…でも、あなたの話は特別よ。さあ、続けて頂戴。」

ベルフェゴールは、私に笑顔とプチケーキを分けてくれた。


「うん…私も、早くは終わらせたいのよ…でもさ、ファティマの聖母が、ロシアを集中して悔い改めさせたかったのって、ロシア革命からではなく、800年のカール大帝がネタ元の気がしてきたのよ。」

「ネタもとって…」

ベルフェゴールは、クスクスと笑い、私は肩をすくめる。

「ゲルマンの大移動…。世界史の授業で記憶しているワードの1つなんだけど…内容なんて、すっかり忘れていたわ。」

私は学生時代を懐かしく思い出した。

最近では、世界史の授業をしない高校もあるって聞いたけれど、もし、本当なら、全く馬鹿げた話である。

少なくとも…私の生涯で、小銭を稼げる…親の言うところの『ためになる知識』と言うやつは、頭を叩かれて教わった習字よりも、ゲルマンの大移動の方である。

字の美しさを、顔の美しさより(とうと)んだ昭和は終わったのだ…

令和はまさに、デジタル化!ペーパーレスで手書きなど無くなってきてる!

多少、手書きが下手だからって問題ないのだ!


一瞬、私の頭を叩きながら、字を教えてドヤる父に勝った気がしたが、

書籍化し、サインを求められる…そんな素敵な事は私には生涯無いのだろうかと思うと、悲しくなった…

ペン習字をしなかった事を後悔する…そんな人生、歩みたいわっ…(>_<。)

書籍化し、私のサインを求めるファンを見ながら、字の大切さを教えてくれた、お父さんに謝るような…賢者タイムって奴をあじわってみたいわよぅ…。


と、馬鹿な脱線から我にかえり、ベルフェゴールに愛想笑いをして、話を戻した。


「げ、ゲルマンの大移動…つまり、ゲルマン人が大群でヨーロッパにやって来た出来事なんだけどさ。

確かに、文章としては理解してたけど…分かってなかったのよ(T-T)」

私は話始めた。


私の父の世代は太平洋戦争の話、戦前戦後の日本史が中心だった。

戦時中、日本は他国の文化を遮断しようとしたために、大人世代のヨーロッパの情報は滅茶苦茶だった。

そんなオッサンの怪しげな解説と共にテレビの情報を覚えた私は、フランスはフランス人と言う人種の国で、イギリスはイギリス人と言う人種の集まりだと、ふわっと考えていた。


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