1917年 30
終らない。
本格的に沼に落ちてしまった(○_○)!!
混乱する私の気持ちを…誰が分かると言うのだろうか…
「何、泣きそうな顔してるのよ?面白くなってきたじゃない。」
ベルフェゴールは、茶化すように笑いながら、オレンジジュースを差し入れてくれた。
「はぁ?これ、泣くわよ。終わり見えないもん!
何よぅ〜ケネディ大統領で気になって調べたらさ、クリスチャンのアメリカの大統領は二人しかいないんじゃない!」
私は叫んだ。
そして、ヨハネ23世の驚愕に思いを馳せる。
アメリカの歴史は、大陸を追われたフロンティアへの移民の物語。
だから、新しい宗派のプロテスタントの人が多いと聞いていた。
それは、確かに正しかった。が、調べると、カトリック教徒の大統領は、35代のケネディが初なのだ。
35代もいなかったカトリックのアメリカ大統領。
それが、ファティマの予言の手紙と共に現れるんだから、その当事者になったヨハネ23世がどれだけ驚いたのかは…想像もできない。
ケネディ…ファティマの聖母が現れた月に生まれたんだから。
こんなに、偶然が重なるってどうなんだろう?
「そうよぅ〜。ファティマの予言とケネディ。
二人目は、マラキの予言の最後の法王とバイデン…すごいじゃない!
どちらも最終戦争と関わりあるなんて、オカルト系ネット民もドキドキよ。」
ベルフェゴールは、楽しそうにジュースを飲む。
「そうね、すごいわ。でも、小説部門じゃ、PVも伸びないわ。」
ため息が出る。
「じゃ、動画、配信する?」
ベルフェゴールは、嬉しそうにスマホをふる。
「そんなん、この未完の山を抱えて出来るわけないでしょ?もうっ、これ、終わらせないと。」
思わずさけんだ。
ベルフェゴールは、そんな私を楽しそうに観察する。
「残念ね。私、知識系の動画に出演したかったのにな。」
ベルフェゴール、口を尖らせて、あざとくすねる。
「私には、萌え絵は無理。それより、なんなのよっ、この偶然は!」
私は、ファティマと続くマラキの予言に言葉をなくす。
マラキの予言とは、昔のキリスト教の坊さんのマラキが未来の法王に、なんか、キャッチフレーズをつけたもので、それが、今まで、こじつけにしても、本や、動画に出来る説得力がある、そんなフレーズをつけた事にある。
で、このフレーズも、終わりはあるもので、マラキが最後につけたフレーズが、『オリーブの栄光』このベネディクト16世を表したと言われている。
まあ、このまま、中途半端で終わっていれば、マラキの人生の間の話で終わるんだけれど、オカルトになるのは次の法王についての説明だ。
ローマ教皇庁が最後の迫害を受けると、7つの丘の町が崩壊して、最後の審判が下される…らしい。
最後だけは、フレーズではない。
ローマ人のぺトロなる人物が教皇の座につくらしい。
と、言うわけで、2013年のコンクラーベは、色々話題になっていた。
「そうね、偶然なら…凄いわね。」
ベルフェゴールは、わざとらしく床を見ながら憂いでみせる。
「やめてよ!縁起でもない。それより、この話、終わらせるわよ。
西条八十とファティマの予言は関係あるか、否か、よね?」
私は、分かりやすい二拓にしてみる。
「考察はしっかりしてからの二拓よ。ここで引っ掛かった読者を本編につれて行けるか、否かは、この説明にかかってるのよっ!」
ビシッ、と、人差し指を指しながらドヤられても…
その本編を考える時間がない。
「別にいいよ〜もうさ、誰も私の次の一次選考の結果なんて、気にもしてないよ。」
私はさめた視線をベルフェゴールに向ける。
大体、ガチの滅亡話なんて、簡単に書けるわけもない。
そうゆう設定の場合、はじめはネットの情報で記事を書いていたとしても、そこから、なんか、すごい組織に襲われたり、金持ちのイケメンに言い寄られないと盛り上がらない。
日本の読者がほぼ知らない、外国の情報や文化が必要になるし、その為には、海外旅行をしなくてはいけない…
取材で海外…
いいなぁ〜そこで、なんか、すごい組織と戦ったり…
まあ、『パラサイト』の続編の場合、フランス人の少女が日本に来る話になるんだろうけれど…
名古屋にも行けなかった私達に…取材と言う名の旅行なんて…
「なに、ボンヤリしてるのよ?」
ベルフェゴールに声をかけられてハッとした。
「何でもないわ。そうね、とにかく、二拓…西条八十は『トミノの地獄』を何を考えて作ったのか?よね。」
何となく、ファティマの話を外して聞いた。
人類滅亡なんて、面倒臭くなってきた。
「そうね、その為には、マラキの予言についても考察しなきゃね。」
ベルフェゴールは笑った。




