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1917年 29

ファティマの第3の予言を私は見ることなく逝くと思う。

そこに何が書いてあるのか…は、バチカンの書庫で永遠の眠りにつくに違いない。


だから、想像するくらいは許されると思う。

当時の法王をガチでビビらす文言を。


確かに、キリスト教と奇跡はワンセットで語られる。勿論、神秘主義的な発言も、法王様は受け入れはすると思う。

が、インチキや、思い違い、思い込みも沢山あるだろうから、なんでもかんでもは信じたりはしないと思う。

ローマ法王の一言は、世界の信者を揺るがす波紋のような強い力があるのだから。

しかも、70代の高齢の法王である。

第一次、二次の世界大戦、その後の内戦や混乱の只中で生き延びた人物なのだ。ちょっとやそっとの脅し文句に失神なんてしないと思う。


逆に言えば、壮絶な人生の終わりに差し掛かった老練な法王に、命がけの仲裁をさせる文章でなければいけなかったはずだ。


曖昧なノストラダムスの詩や、ファティマの開示されてるような内容では、ダメなんだと思う。


ここで凄いのは、ケネディの生年月日がファティマの聖母が現れた月だと言うことだ。

ルチアの手紙に大統領の生年月日を『聖母が現れた月に生まれし子』の様にかかれていたらどうだろう?

例えば、はじめは少し、疑っていた、もしくは、知らなくてスルーしていたとしよう。

ケネディは、年も若く、対抗馬は、経験も人脈もあるニクソンである。

秋の辺りでケネディの当選確実のニュースと共に、プロフィールを見たとしたら?


それは、先日、それに気がついた私以上の衝撃があったに違いない。


そして、それに続く核の世界戦争の文面。

1960年は、先進国はこぞって核兵器を持ちたがっていたのだ。

フランスが実験に成功し、世界は争いに満ちていた。


そして、年月が流れる。

1962年キューバでおこった革命が世界を震撼させることになるのだ。


キューバは、アメリカの隣国であるが、共産主義を選びソ連に協力を求める。

ソ連は、武器などを供与し、その中に核兵器があったから、話は大きくなるのだ。

それは、そうだ。


アメリカからしたら、喉元に刃物を突きつけられるようなものだから、一触即発の緊張状態になる。


結局は、ソ連が核兵器を撤去して事なきをえるわけだけれど、この話は後の大人の語り草として、テレビや小説、漫画のモチーフから、私の父のドヤリ説教のネタとしても語られた。



この時、尽力したとされるのが、このヨハネ23世である。

プロテスタントが多いイメージのアメリカで、ケネディ家はカトリック教徒だったらしい。



本当に…漫画のように良くできた設定だと思う。


「なんか…すごいよね(T-T)私はさ、上手く、物語に出来ないけどさ。」

私は、長い説明を終えて少し、ホッとした。

「そうね。あなたの顔芸、なかなか見ごたえがあったわ。」

ベルフェゴールは、からかうようにクスクス笑う。

「顔芸って…、まあ、良いわよ。でも、この説が正しければ、バットエンドは回避出来るってことでしょ?」

私の胸に期待が灯る。

「さあ、それはあなたが死ぬまで分からないわよ。

地球なんて、何度も壊れかけてるもん。まさか、恐竜の絶滅までハルマゲドンとか言わないでしょ?」

ベルフェゴールは、方をすくめる。

「まあ、ね。でも、確かに、偶然にしても出来すぎてるわよ。

ヨハネ23世とケネディが同じ年に神に召されるなんて。」

私は、ため息をつく。


ヨハネ23世は1963年、病気により亡くなり、ケネディ大統領は暗殺された。


ケネディ大統領の暗殺の真実は…多分、私は知ることもなくこの世を差る気がする。

「まあ、偶然でしょ?こうしてる間も、地球のどこかで人は生まれ、死んでいるのだもの。

同じ年ってだけなら、何億の人間が仲間になるわよ。」

ベルフェゴールが維持悪く笑った。

「そうね、確かに。でも…偶然が作ったものだとしても…ルチアには辛い出来事だったでしょうね。」


私は、ルチアを思った。

1917年、聖母を見たそのときから、数年で同じく予言を聞いた従弟妹が亡くなり、

1960年、約束通り法王に予言を伝えると、その法王も数年で亡くなってしまうのだ。


ルチアは、この先、世紀末を生き延びて行くことになる。

それは、深く、壮絶な孤独を背負うことのような気がした。


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