1917年 18
ベルフェゴールは、私にクッキーをくれた。
それは、1cmはある、どちらかと言うとケーキよりの高級なやつだ。
私は静かにそれを食べていると、ベルフェゴールは話はじめた。
「あなたは、パンデミックと共に物語の終わりを考えていたわよね?」
ベルフェゴールに言われて、私は少し困る。
「はじめはね、でも、そこから2年、七転八倒したわ。パンデミックエンドを回避するために。」
そう、『パラサイト』はほぼ、正月の時点で話の内容は決まっていた。
あの時、あのまま、勢いで書いておけば良かった…
「そうね、で、去年辺り、話を変えていたでしょ?」
「うん…なんども…ね。」
私は去年を思って泣きたくなる。
パンデミックを避けるために、私は黙示録系列のエピソードで話を盛った。
が、書き終わりが近づくと、ロシアとウクライナがもめ始め、怖くなった私はまた、別のエンディングを探すことになった。
「パンデミックはマジでヤバイから、終わった人類滅亡エピで終わらせようとしたのよね?」
「うん…あの時は、あれが安全だと思えたのよ。」
私は遠くを見つめる。
そして、なぜ、自分が必死にファティマの聖母や、マラキの予言を引っ張り出してきたのかを思い出していた。
ああ、そうだった…全てはパンデミックエンドを回避するためだった。
ふと、バッドエンドと回避のワードで、今人気の悪役令嬢ものを思い出した。
私は…悪役令嬢もの…そんなの書ける日が来るんだろうか?
なんだか、世界が全て悲しく感じてきた。
「そうね、そうして、ウイルスの話も入れようと、パリ万博や森鴎外を調べていたわよね?」
ベルフェゴールに言われて、なんだか照れた。
人に、いや、悪魔に言われると、なんだか恥ずかしい。
「うん。でも、『パラサイト』だけの話で調べたわけじゃないわ。
他の物語で、ノストラダムスの予言詩を調べていたから。」
そう、私はルドルフ・ヘスの謎も追いかけていた。
当時、イギリスが…チャーチルが撒かせた偽解釈のノストラダムスの予言について。
始めに、それを考えたのはナチスの広報で、ノストラダムスにヒトラーが勝つことが予言されてるとか、そんな工作をしていたと記憶している。
で、ドイツ人が占いや予言に弱いと考えたイギリスが、空からイギリスに有利な解釈の予言をばらまく…
ヘスも騙されたとか、何かで見たけど、真実は闇の中だ。
「ノストラダムスは、今は、いいわ。」
ベルフェゴールは呆れ顔になる。
「あら、吉江先生は、ノストラダムスのゆかりの土地に行ったのよ?
サンチャゴの巡礼の出発地よ。」
ここから、面倒が増えるんだった…
私は渋い顔になる。
「そうね…。それで、ファティマの聖母の噂を手紙で知った可能性を考えたのよね?で、結局、ファティマの聖母は『トミノの地獄』に関係はあるの?」
ベルフェゴールの質問に、私は深くため息をつく。
そして、覚悟を決めた。
「本当は、あなたの…コスプレした剛が、2択を選んでから、最後に書く予定だったんだけど…もう、いいわ。
結論を言えば、『はい』ね。ただ、どこまでそれを意識していたかは、謎なんだけれどね。」
私はそう言って、聖母の声を聴いた3人の子供達を思い出していた。
一番年上のルシア
従兄妹のマルトとジャシンダ。
そう、これを書き始めた頃、調べていて気がついたのだ。
姉と少年、妹…
『トミノの地獄』と同じようなキャラの配列に




