1917年 14
「私は物語の分岐を選べばいいのよね?」
ベルフェゴールに言われて、ハッとした。
そうだった…コスプレ剛には確かに、そんな話をしていた。
「そうね。だったら、私が話す事を聞いて、どちらに進むべきか、答えて頂戴。」
ああ、これで面倒は無くなる。
物語の軌道を戻して、西條先生の話に戻さなきゃ。
「いいわ。でも、出し惜しみは無しよ。」
「出し惜しみ?」
「ファティマの予言と法王の話。他にも色々、調べていたわよね?」
ベルフェゴールは、借金取りのように鋭い突っ込みをしてくる。
「えーっ。面倒くさいなぁ。と、言うか、そんな話を広げると、完結できなくなるじゃない。」
私はブーたれた。
『パラサイト』は、思い付いたまま書いて、あっちこっちに謎を置いたまま終わり、評価も貰えない、中途半端な終わり方になったのだ。
「大丈夫よ。私が憑いてるもの。それに、あなたも興味が出てきたんじゃないかしら?
1917年。英国王家にも歴史的な出来事があったはずよね?」
ベルフェゴールに言われて、素直に頷いた。
「ウィンザー朝の事でしょ?」
そう、テレビでよく聞くウィンザー家。
古い名家のイメージがあるけれど、名称は意外と新しいのだ。
元は、ザクセンのゴーダー家と、ドイツ語由来の家名を国民が嫌った為に、変更したんだそうだ。
ウィンザーに。
英国王朝もまた、1917年に分岐を迎えていたわけだ。




