1917年 10
「ねえ、私の言いたい事わかる?」
私は心配になって剛に聞いた。
剛は余裕の表情でこう言った。
「わかんない。」
はぁ…断言されちゃったよ。
私は失望しながら、こんなもんだとも理解する。
まあ、理解できて、剛が面白いと思える話が出来ていたら、もうちっとは、評価なり、PVが延びてるはずだもん。
「だよね…私もさ、『赤い朱房』で間違えてさ、図書館で調べた西條先生に驚愕さ。不思議とネットの評判は、いい感じの詩人だったもの。
案外、ネットの方が表現の制限とかがあるのかもしれないね。」
私の苦笑に、剛が肩をすくめて寝に入る( ̄□ ̄)!
「ち、ちょっと、なに寝てんのよっ。アンタ、ちゃんと、判定しないと、そのままベルフェゴールのまんまになるんだよっ。もう。」
私はモヤモヤしながら剛を叩く。
叩くと言っても、気持ちだけなのだけれど。
剛は、マッサージを受けてるように安らかな寝顔を私に向けて、私をムカつかせる。
「もう。本当に、悪魔を扱うのって、怖いんだから。プロの作家先生だって、魔術ものを扱うと、ある一定期間を過ぎると、急に休みをもらったりするんだよ。」
私は昔を思い出しながら、そんな話を剛にした。
幽霊やオカルトを扱うと、不思議な現象に悩まされたりする話が昔、流行した。
アメリカの映画でも、出演者が次々不幸になったり…
でも、そんな事を思い出しながら、それもすべてマスコミの演出だったのかもしれない…なんて考えてもみる。
悪魔なんて…幽霊なんて、居ないのだ。
全ては、私の頭の作り出すバーチャル…
切ないが、それが正解なんだと思う。
ため息をついて、取って置きのウイスキーを取り出した。
暖めて、砂糖を入れてお湯割りで。
ウイスキー好きが、泣いて抗議するような飲み方だとしても、今の私には最高の飲み方。
「一人で楽しむなんて礼儀知らずだな。私に供えずしてどうする?」
剛が急にシュッとして私を恫喝する。
なんか、しらないけれど、脅されるまま、酒をショットグラスについでやる。
「なに、格好つけてんのよ?剛の分際で。」
冗談まぎれに剛に文句を言うと、剛は器用に左の眉だけ持ち上げる。
こ、これは、剛じゃない!
直感がそう言った。なにしろ、剛はウインクも出来ないほどの不器用さんなのだから。




