心霊現象かと思っていたらホームレスがシステム開発していました(映像用脚本)
タイトル未定「ハロワの話(仮)」
登場人物
・萩原 27-29 職業訓練校に通う河川敷に住む無職、意地っ張り、大学生の時に就活に失敗する、就職浪人費用やプログラミングスクールの学費、奨学金の返済等のためにアパートの家賃が払えず家を失う。ゲンさんに保護されITエンジニアとして就職する事を夢見る
・ゲンさん 50代 河川敷に住む無職、就職は諦めてサバイバルをしている。世間が受け入れられる程度に強かである。住処を失った萩原を保護し給与の四分の一を受け取る契約で萩原の就職活動に協力し、食料や物資を調達している。
・川崎 自分のアパートに住む無職、適当に転職を繰り返している。素直
・谷脇 実家に住む無職、働くことを嫌がり働いたら負けと思うこともある、勇気や根性はない、世間知らず
・荒木 50代 私営の職業訓練校の講師、契約社員、過去にIT企業に勤めていたがリストラされた。悪い意味で軍人のような考え方をしていて権威を大事にする。正社員になれず自身の理想と現実のギャップによるフラストレーションを無職にぶつける
・エリナ 25ー32ぐらい 女性 職業訓練校に通う田舎のヤンキーのような女性、訓練校の人に対して口を利こうとしない取材陣にも無視したり横柄な態度を取る、荒木と付き合っている為にえこひいきされている。訓練校では禁止されているアルバイトをしている不正受給者、アルバイトでの接客時にはとても愛想が良い
・B 奨学金返済業者 女性 劇中で名前が呼ばれない、萩原の奨学金返済の催促を担当している。Bから見ると萩原は就職しようとしていないように見えており、萩原はBのノルマ達成の障害として対峙し続けてきた。そのためBは萩原に対して過激な行動を取るようになる。
・センター長 60代 私営の職業訓練校の雇われセンター長、
・A 劇中での映像のカメラマンを担当している設定 心霊系youtuberだが、ひょんな事から萩原とゲンさんと遭遇するところから物語が始まる。訓練校に興味を持ち、訓練校のPR映像制作業務を受注する、英語圏の外国人の設定、英語の設定について今後追加していく
・C 50代 荒木の元同僚 荒木に強引に萩原の面接をねじ込まれる
・八百屋の店主 50前後 八百屋の店主
・清掃会社の社長 清掃会社の社長、たまたま社員は全員メガネをかけている、社長はそのことについて特に意識はしていない。
チャプター1 萩原とゲンさん
シーン1
・工場外の通り、工場内(夜)
心霊スポット、心霊系のyoutuberAが夜間に工業地帯でカメラをまわしてる
実況音声形式、Aの言語は英語、セリフ毎にカット割り
A「(自己紹介、ホラー物と見せかける)」
Aモノローグ『私は日本の心霊現象を海外向けに紹介している動画配信をしていたんですが、大抵は何も起きません、何も起きないんですが、日本の夜の独特な風景や雰囲気にとても魅力を感じていました、あのときはまさかあんなことが起こるとは思っていませんでした』
(モノローグと映像内の音声は同時に進行)
A「今日も日本の心霊現象を調査します。」
A「今日は夜中に物音がします、ほら変な異音がたまに聞こえます」
A「なんだか音には間隔がありますね」
A「ほら今、あれこっちの方じゃないすか」
A「なにか聞こえてきましたよ」
Aは音の聞こえるほうへ歩いていく
A「なにあれ?」
Aモノローグ『あの出会いは私にとって衝撃的でした。』
Aは廃工場にたどり着きホームレスの萩原が活動している場所を発見し撮影している
(発電機の排ガスで洗濯物を干していたりしていて生活感がある)
萩原は屋外型の使い古された発電機を作動させている
発電機の電源で萩原は旧式なPCを使用しているがAにはお化けに見える
Aは中腰の態勢で萩原に近づいていく
A「おばけ?」
ゲンさんが魚を片手に持ち帰ってくる、Aは後ろから近づいてくるゲンさんに気づいていない
フリ向きゲンさんと遭遇する
A「うわあああああ」
Aは大声を上げて驚く
ゲンさん「うるさい、うるさい、うるさい、静かにしろ」
混乱して大声を出すAをなだめさせるゲンさん
萩原が近づいてきて、後ろからAの口をふさぐ
ゲンさん「見つかっちまうぞ」
萩原「なんだよこいつ、クソ、これじゃ間に合わない」
ゲンさん「何しに来たんだ、お前」
ゲンさんAを問いただす、Aが喋ろうとするので萩原が声を出せるように手を動かす
A「(英語がとっさに出てきてつっかえながら叫ぶように)敵じゃない、敵じゃないです、」
萩原「声がでかい、」萩原、Aを揺らす
A「心霊系のyoutuberです」
Aモノローグ『僕がとっさに出た日本語は敵じゃないだった、僕には彼らが旧日本軍のように見えたんだ、彼らはそう思われて仕方ないような格好をしていたし、とても高圧的だったからね』
ゲンさん「ふざけんなボケ」
萩原、Aを離す
萩原「腐れアフィリエイターかよ」
萩原、カメラに近づいて
萩原「お前らストーカーとなにもかわらねえから」
ゲンさん「発電機切るか?」
萩原「まだPC落とせない」
ゲンさん「ここの電気は?」
萩原「電気を使えばシステムで分かるんだって」
ゲンさん「でも今の叫び声でばれるの時間の問題だろうが」
萩原「、、、台車で、移動しながらアップロードするパターンで」
ゲンさん「あいよ」
ゲンさん台車を取りにいく、荷物をまとめバタバタと移動の準備をこなしていく
Aはあわただしく動くゲンさんや周囲の状況をとる為、カメラを振り回すように動かす
萩原、Aの背後の近くにいた為、カメラは振り向きざまに萩原の顔のアップを捉えて驚く
萩原「お前にも手伝ってもらうからな」
・工場の中、(夜)
萩原「何分ぐらいかかりますかー?」
萩原が旧式のPCを操作している様子を撮影している
ゲンさん「あと3分」
萩原「なら」
萩原、PCでコードを書いている
ゲンさん通りがかる
ゲンさん「おまえ本当に行く準備してるのか?」
萩原「ちょっとノルマが間に合わないんで」
ゲンさん「お前捕まったらノルマもくそもないぞ」
萩原「今日中の分は書き上げてインターン先にアップロードしておきたいんで」
PCのコーディングのスピードが上がっていく
Aモノローグ『彼らがホームレスなのはなんとなくわかりました、彼らはパソコンを使って何をしているんだろう?僕は最初、思ったんだ、彼らは産業スパイじゃないかってね?この工場から何かデータを得ているんだ。僕はITには詳しくないんだけどね』
シーン2
・工場内、(夜)
ゲンさんは台車に荷物を載せて脱出す準備が整っている
萩原はコーディング作業を終えてデータをメールでアップロードしている状態へと操作する
メーラーソフトには相手先への定型文や送付事情が書かれている
萩原のPCは旧式でアップロードに必要な時間が数十分かかると表示されている
(旧型のメーラーでフォルダがパタパタして転送中と表示され少ないバイト数なのに所要時間が数十分と表示されている。極端に長い)
廃工場の外で警備員が懐中電灯のライトで人を探している様子が見える
ゲンさん「来た、電力、切り替え」
PCの使用電源を延長コードを使って工場の電源に切り替える
パソコンは一瞬画面が暗くなるがすぐに復旧する
それと同時に発電機のスイッチを切り、無音になる空間、
窓から屋外の警備員のライトが光る様子が見える
萩原、Aに向かって
萩原「来い」
ゲンさんは黙って合図を送っている
スパイのようにこっそり工場から出ていく萩原とA、ゲンさんは中に残る。
Aモノローグ『彼らが使っているパソコンは旧式でバッテリーが壊れてしまっていて、電源がないと持たないんだ、だからこの電力切り替えのタイミングはとてもシビアなんだ。さらにネット回線も不安定でアップロードには時間がかかってしまうから電源を切ることも出来ない、でもガソリン発電機を回し続けていたら警備員に見つかってしまう、だから警備員が工場に着いたそのタイミングで電気を使用し始めたんだ、それならシステムに電気の使用履歴が残っても警備員が使ったように見せかけれるだろう?僕は思ったよ、この人達はまるでマトリックスみたいだって、とてもスリリングだったよ、』
外では警備員が懐中電灯を振り回し人を探している
萩原は台車と荷物を移動させ、Aはゲンさんが持ってきた魚を任されている
※魚の大きさは50cmほど
Aモノローグ『腕や服は魚臭くなってしまったけどね』
延長コードで移動できる範囲で移動し、廃工場の外に出る萩原とA
萩原とAが外へ出るとすぐに警備員が工場へと入っていく、警備員は二人に気づいていない
警備員①「なんか音してませんでした?」
警備員②「、、、聞こえないね」
シーン3
・工場の外の道、(夜)
A「大丈夫ですか?ゲンさん?」
萩原「大丈夫、それより限界まで離れる」
萩原、二つ目の延長コードを出し電源を切り替え、タコ足で連結する
萩原「ゲンさんならやり過ごしてコンセントを抜いて戻ってくる、こういう時はそういう手筈になってる」
二人が移動していると工場の屋内で室内灯が付く、
萩原「まずいな」
萩原、工場の様子を遠めに見て
萩原「少し早いがつけよう」
萩原、発電機を動かしPCの電力を切り替える
萩原、自分の手に唾をかけて延長コードのプラグ部分に触れる
萩原「イてっ、クソ、まだ通電してやがる」
萩原「お前、アップロードが終わったらシャットダウンできるか?シャットダウンしたら発電機を落とすんだ、出来るか?」
A「いきなりそんなめちゃくちゃな事ばっかり」
萩原「お前のせいでこうなってんだろ」
萩原「ゲンさんが見つかったら、アップロードも終わらず、延長コードを辿って俺たちも見つかる、わかってんのか」
A「だってこんなことになるなんて、僕は」
萩原「あっ?くそ、じゃあお前が行くのか?いや裏切るな、あっお前カメラ寄越せ」
A「いや、」
A抵抗するがカメラをとられる
萩原「アップロードが終わったらシャットダウンして発電機おとしていいから、で誰か来たら逃げていいから、お前が待ってたらカメラ返すから」
A、動揺している
A「なっ」
萩原、ゲンさんのもとへ向かおうとする
A「い、いきます、行かせてください」
萩原「おまっ、、、わかった」
A、工場へ向かう
萩原「お前、逃げんなよ」
Aモノローグ『怖い気持ちはあったんだ、でも彼らの勢いに飲まれてしまってね、僕も勝手に工場に侵入した後ろめたさはあったし、そのせいで彼らが窮地に陥っていたしね』
シーン4
・工場内、(夜)
廃工場でゲンさんのいる部屋には明かりがともり、警備員が同じ部屋にいてゲンさんは身動きが取れない
Aはその様子を撮影する
警備員は萩原達がいた痕跡を調べている
警備員①「また獣害すかね」
警備員②「人間でしょ、すごい声が聞こえたって」
警備員①「不良とかなんすかね」
警備員②「工場終わったんならさっさと更地にしとけよ」
警備員①「不良とか集まりたがりますよね、こういうの」
警備員②「せめて昼に来いよ」
などなど、雑談している
その間にゲンさんはAに気づき、口パクや指さしで合図を送る
ゲンさん「(電気を消せ、電気を消せ、外で音を出せ、外で音を出せ)」
Aは理解し実行する
消灯し慌てふためく警備員①、②
警備員①「わっ」
警備員②「くそどうなってんだ」
外にいき音を出すA
警備員①「外だ!」
警備員①、②、出ていく
ゲンさんが延長コードを回収しながら合流してくる、コードを回収しながら逃げる
ゲンさん「本当はな、ああいうのブレーカー落とすといいんだけどな」
ゲンさん「電源スイッチじゃ誰かが切ったの後でばれちゃうだろ」
シーン5
・橋の下、(夜)
萩原とゲンさんが焚火で魚を焼きながら話している、その様子をAが撮影している
Aモノローグ『彼らの生活の拠点を撮影させてもらったよ』
萩原「ゲンさん」
ゲンさん「うー?」
萩原「オレ、本当にITエンジニアに就職できるんすかね」
ゲンさん「なんで」
萩原「だって橋の下だと工場と違って壁がないから騒音で夜間に電気を使えない」
萩原「昼間はただでさえ訓練校で時間がつぶれる」
萩原「インターンの課題だって全部が終わったわけじゃないし、自前のシステムもまだ完成してない」
萩原「このままの状態じゃ採用面接は厳しいし今日みたいな山をあと何回かは張らないといけない」
萩原「いっそのこと、他の拠点を探したほうが」
ゲンさん「うろたえるな」
萩原「、、、」
ゲンさん「必ず、チャンスは来る」
ゲンさん「もしかしたら一回しかこないかもしれねえ」
ゲンさん、魚を萩原に渡す
ゲンさん「そのチャンスをつかむことしか考えるな」
ゲンさん、魚をAに渡す
萩原「、、、」
間
A「、、、醤油とか買ってきましょうか?」
間
目が合うAと萩原
ゲンさんは火を見つめている
シーン6
・コンビニからの帰り道、(夜)
醤油を買い一人でコンビニから移動しているA
A「二人はなんというか、エンジニアになろうとしてるみたいですね」
A「はっきりとはわからないんですが、就職活動?みたいな、」
A、スマホで「訓練校」と検索して、その様子のスマホの画面を撮影しながら
A「訓練校って職業訓練校のことみたいですね」
分かれ道に差しかかり、Aはふと逆方向にカメラを向け立ち止まる
いまなら逃げだせるというAの思念、迷いがカメラワークに現れる
Aモノローグ『彼らの焼いた魚は生臭くて正直美味しくなくてね。彼らはそれを味付けもせずに食べていた。住む世界が違うんだと気付かされたよ。その時はあまり深く関わるべきではないと思ったんだ。このままじゃどうせ野宿することになるだろうしね。』
チャプター2 職業訓練校の人々
・Aの部屋、(朝~昼)
ゲンさんと萩原の動画を編集してアップロードされた動画は再生数が伸びている
タイトル『心霊現象かとおもったらホームレスがシステム開発してました』
A「(自己紹介をする)」
A「彼らの動画はとても評判がいいね。僕も今後の彼らの就職活動やサバイバル生活はとても興味深いしエキサイティングなんだけど、昨日の夜みたいに工場に侵入したりするのは少しマズイと思うんだ、電気も盗んでいたしね。あと服も魚臭くなったしね。」
A、ラップトップのディスプレイをカメラに近づけて
A「でも大丈夫、公に彼らと接触できる方法が見つかったんだ」
メールソフトではAに訓練校のPR映像制作業務をお願いする旨を書いたメールが届いている
Aはパソコンの画面を切り替え確認し、募集ページも見せる
Aのパソコンに職業訓練校に関する検索ページが表示されている
職業訓練校のPR映像制作業務にあたるフリーランスを募集する記事がある
シーン1
予備稿
・職業訓練校の外、(朝~昼)
Aは職業訓練センターの外観を撮影している、するとセンター長が喋りかけてくる。
センター長「えっ、これは今は喋っていいんですか?」
A「あっ、大丈夫ですよ」
センター長「何撮ってんの?」
A「外観です」
センター長「外観、でもこれ写真とかあるよ」
A「ここがどこかってわかるようにしたいんで」
A「ちょっと動かしまーす」
A、カメラを三脚ごと動かしながら
A「PR映像とかはこういう絵、良く入れるんで」
センター長「うちは私営だからさ、行政の人とかにプレゼンするんだけどさ、個人でも一応それっぽければいいらしいから」
A「なんとなくはわかるんで、たぶん大丈夫だと思います」
センター長「映像は個人の人でもちゃんとしてるよね、それでいくと最近の結婚式のビデオがさ、すごいこってたんだよ、なんか映画みたいだったんだよな、っでその人たちも個人で半分趣味みたいにやってるからっていってお金も全然取らないのに」
Aセリフを食ってカメラを動かす
A「外観終わりました」
センター長の不機嫌な顔が映り込む
・場所未定、(昼)
A「はい、ちょっとこのアングルで入って喋ってもらって良いですか?」
A「あっここにたってもらって、カメラが真ん中に来たら合図しますんで、それで」
カメラがパンしてセンター長が出たり入ったりする
センター長「、、、これでカメラが来たらしゃべるの?」
A「そうっす、動かしまーす、良い感じっすよ」
カメラがパンしてセンター長が入る
A「今ここで良い感じなんで、ここから喋ってください」
センター長「仕事の仕組み、みたいなのはもうアニメーションでやるんだよね?俺が喋ってアニメーションに繋がるっていうことね」
A「はい、そうです、用意してもらった原稿のお話をお願いします。練習します?」
センター長「あっこれ持ってて、話の流れ分かるから」
センター長、大きめの紙に、話の流れを書いたカンペをAに渡す
A「はいわかりましたじゃあ、最初の位置から行きます、では3、2、1、で3秒ほど間があってからカメラが動いていきます」
センター長「わかりました、いつでもお願いします」
A「ではいきまーす、3,2,1,アクション」
カメラがパンしてセンター長が入る
センター長「(私営する職業訓練センターについて話をする)」
※小道具 システムのフリップ、センター長のカンペ
※システム 奨学金取り立て業者との連動、失業保険の借り受け、斡旋企業、等々
※PR方針 人と人とのつながり、助成金について、自治体推進のいきいき社会運動
他の訓練校と違い通うことで助成金や企業からの出資を受けれるなど訓練生への金銭的なメリットがある画期的な私営訓練校だ
本稿
・同場所、(昼)
訓練校の外観を撮影している
センター長「それでいくと最近の結婚式のビデオがさ、すごいこってたんだよ、なんか映画みたいだったんだよな、っでその人たちも個人で半分趣味みたいにやってるからっていってお金も全然取らないのに」
センター長「(私営する職業訓練センターについて話をしている)」
A「あ、オッケーです」
センター長「なんかちょっと言いよどんだけど大丈夫そうだった?」
A「大丈夫ですよ、今日はあと生徒さんと講師の撮影ですね」
センター長「あっそうだメール来てて」
センター長、メールを見る
センター長「あのー萩原って子、明日、面接の子、面接風景とかの密着取材、企業さんはオッケーしてるから、萩原にも伝わってるから」
A「ありがとうございます」
シーン2
訓練校の中、教室、職員室、廊下、(昼)
訓練校の各人へインタビューが行われている
荒木インタビュー
荒木「僕はこの訓練校で講師をやらせていただいています」
荒木「まず仕事がどういうことなのか?そこが一番教えたいこと、それは就職したことがない方もおられますし、働くということを掴み切る前に離職された方もおられますし」
荒木「まずそういった方のサポートを一番に、仕事の心構えみたいな事かな、どんな仕事にも応用が効くこと、社会に出た時の為に緩衝材じゃないですけど、心はいまから準備していくことが出来ることなので」
川崎インタビュー
川崎「まあ画期的なシステム、バランスの取れたシステムですよね、そのお金の分配みたいなのも、企業だけじゃなくて僕らにもちゃんとメリットがある」
川崎「仕事も中にはすごい魅力的な仕事があるし、来てて楽しいっすよね」
谷脇インタビュー
谷脇「正直、普通に就活とかしても自分だけ働いてないって気持ちになるからこういうところだと、他にも働いてない人っているから少し安心して自分にできる範囲で取り組めますから」
エリナインタビュー
エリナ、ガムを噛んでいる
エリナ「・・・」
エリナ、次第にガムをくちゃくちゃ音を立てながら噛みはじめる
萩原インタビュー
萩原「前来ましたよね、橋、その後にここの仕事受けたんすよね」
萩原「なんか明日、僕の面接の密着取材するってセンター長が言ってましたけど」
醤油を渡すA、菓子折りを見せるA
萩原「ああ、ありがとうございます」
A「そのもしよかったら、ゲンさんにも謝りに行きたくて」
萩原「あっじゃあきますか?」
萩原「いいっすよ持ちますよ」
萩原、菓子折りを受け取り橋へ向かう
シーン3
・橋の下(昼)
橋の下で、萩原とゲンさんが面接の為の特訓をしている
ゲンさん「PRみしてみろよ」
萩原、履歴書を手渡す
萩原「これでお願いします」
ゲンさん「じゃ、やってみろ」
萩原「おし、、この度はご面接の機」
ゲンさん「おいおい、何いきなり声出してんだ、ストップストップ」
萩原きょとんとしている
ゲンさん「お前さ、それどこで始めてんだよ」
萩原「だっていきなり自己PRとかおかしくないすか挨拶から」
ゲンさん「ちがうちがう、場所だよ、いきなり部屋の中じゃない入ってくるところから」
萩原「入ってくるところから部屋の外で面接するんですか、、、あ一次面接だから!あっ一次面接ってそういうことです?二次になると中に入れるんですよね!ドラゴンボールみたいに最初は門番的な人が居て」
ゲンさん、無表情で萩原に近づき殴る、萩原は倒れる
ゲンさん「黙れよ」
ゲンさん萩原に侮蔑のまなざしを向ける
ゲンさん「扉をノックするよな」
ゲンさんノックのジェスチャーをする
萩原「痛い」
ゲンさん「ノックしろよ」
萩原「はい」
萩原ノックをしようとする
ゲンさん「お前3回やからな」
萩原「すいません」
萩原、3回ノックする
ゲンさん「はいどうぞ!」
萩原おびえている
ゲンさん「失礼します」
萩原「失礼します」
入室する
シーン4
・橋の下、(昼~夕方)
ゲンさんがインタビューに答えている背後で萩原が特訓をしている
ゲンさんはお菓子を食べながら答えている
空気椅子をしながら自己PRを暗唱させられている萩原
萩原がつっかえるとゲンさんはインタビューの途中で「あと3セットやり直し」等、萩原に怒鳴る
ゲンさん「まず覚える、こういうのは体で覚えなきゃ、本番はもっと緊張しますからね、それを緊張と思わないぐらいのプレッシャーと負荷をいま経験しておく必要ありますから」
ゲンさん「受かりに行くというよりは落とされない面接」
ゲンさん「就職ってのはね、結局はね、決まる時はスパッと決まるんすよ」
ゲンさん「短い面接で全部が全部判断できるわけじゃないから、人採る側はある程度はパチンコみたいなもんですよね」
ゲンさん「採る側からしたらこんなんもんギャンブルですから」
ゲンさん「だからうちらはもう入ったもん勝ち、いちいち無駄なことしない、バレずに入ったら勝ち、それが俺の就活」
シーン5
・橋の下、(昼~夕方)
萩原がゲンさんに提出書類について相談している
萩原「ゲンさん、こういうのも口ではいわないけど書いておこうかと思うんですけど、どうですか?」
ゲンさん「どうだろうな、こういう開発のことは俺わかんないからな、どうせ面接の人もわかんないから、シンプルなほうが良いよ」
萩原「でもなんか特技、システムエンジニアって書くのはなんか」
ゲンさん「面接をやる人っていうのはさ、人事の人だろ」
ゲンさん「人事の人はさ重要なポジションだから若い人はあんまりやってないんだよ」
ゲンさん「っで、おっさんは開発ツールの名前とかわかんないから、システムエンジニアって書いてるほうが盛り上がるんだよ」
萩原「そうなんですね」
ゲンさん「おまえ盛り上がったら面接一発だぞ、それにもしも相手もその開発ツールとかに詳しかったらややこしいことなるだろ」
萩原「確かにそうですね」
シーン6
・橋の下、(昼~夕方)
パソコンでコードを打ちアプリ開発をしながら萩原がインタビューに答える
萩原「次の会社はエンジニアを募集してるわけじゃないんですけど」
萩原「規模感的には中小企業、でホームページが古いんですよ」
ITが必要なさそうな業務の企業のHP画面を表示して
萩原「でこういうところはシステム面もきっと粗があるんで、入社したら僕がIT革命起こして実績にするんで」
萩原「やっぱり好きな事、仕事にしたいし、今の時代ITですよね、こんな時代でチャンス転がっててIT以外やるの自分のことバカですって言ってるようなもんっすよ」
シーン7(前シーンからカット割らなくてもいいが割るつもり、モンタージュ風に見えればよい、日照の関係で時間経過が見れればなお良い)
Aパート (昼~夕方)
萩原がパソコンで作業をしているとゲンさんがスーツを萩原に渡しに来る
ゲンさん「調子どうだよ」
萩原「まあまあっすね」
ゲンさん「これもう乾いてるから、一回試しに着ろ」
萩原「ありがとうございます」
ゲンさん「はいよ」
萩原、スーツを受け取り来ていた服を脱ぎ始める
Bパート (昼~夕方)
スーツを着ている萩原
萩原「ゲンさんこれ」
スーツの腹囲がぶかぶかで股下が足りていない萩原
ゲンさん「お前ちゃんとバックル閉めろって」
ゲンさん、萩原のバックルを閉める
Cパート (昼~夕方)
スーツを着用している萩原
萩原「どうすかね、なんかおかしいところありますかね」
ゲンさん「おまえ、ネクタイ曲がってないか」
萩原「本当すか?」
ネクタイを触る萩原
ゲンさん「これ、明日も着付けにはついてなきゃいけないなー」
ゲンさんネクタイを直す
しかし全体的に就活生としては変ないでたちになる
Dパート (夕方~夜)
火を焚いて魚を焼いているゲンさん
萩原はスーツを畳んでいる
ゲンさん「おまえの分もう焼けるぞ?」
萩原「ありがとうございます」
萩原、焚火に近づいてくる
ゲンさん「食え食え」
萩原とゲンさん魚一尾につき醤油を一滴たらし食べている
Eパート (夜)(モンタージュの最後、ゆっくり目)
先に魚を食べ終えたゲンさんはインタビューをしている
その後ろで萩原は魚を食べている
ゲンさんはインタビューで萩原に協力する理由を答える
ゲンさんは萩原の給与の4分の1を3年間受け取る契約を萩原と結んでいるらしい
ゲンさん「俺は別にITにこだわっちゃいない、ただ若かったら俺もその分野は一回は挑戦しただろうね」
間
ゲンさん「まだ俺もあきらめてるわけじゃないんだよ、だから俺はただ人が良いからって萩原の面倒見てるわけじゃねえんだよ」
ゲンさん「萩原は就職したら3年間、給与の分け前、まー4分の1だな、もらうよう契約してるんだよ」
ゲンさん「あいつ取り立て屋から逃げ出してここ来たときは何にもなかったからな」
ゲンさん「俺なら食いっぱぐれさせねえし、ここの暮らしもわかってるからな」
ゲンさん「あいつは確かに技術力はあるんだよ、開発できるからな、でもそれもパソコンも電気も調達しねえと始まらねえ」
ゲンさん「あいつも結局サバイバルは素人だから、何やったってダメなんだよ、でも俺だって若くないから仕事にはつけねえよな」
ゲンさん「どっちも、どっちかだけじゃダメなんだよな、そこのところちょっとの分け前で夢も命も買えるんだからいい話なんだよな」
ゲンさん「俺だってな、そんぐらいの元手があればな、もー、路傍商いの一つ二つ軽いもんなんだよ」
ゲンさん「こういうのが知恵だよな、昔っからこれ(ものを書くジェスチャー)はできないけど、頭の使い方はわかってるんだよ」
ゲンさん「一回商売始めるところまでが大変だけどそっから上に上がるのは」
ゲンさんが喋ってる途中でがゲンさんの荷物の中の黒電話が鳴る
驚き黙る二人
萩原、いそいで電話をとる
電話は奨学金返納業者からだ
B「夜分遅くに失礼します、こちら萩原さんのお電話ですか?」
萩原「・・・はい」
B「訓練校からも通知がいってると思うんですけど奨学金の返納についてなんですが」
萩原「はい」
B「あの、萩原さん返納期限の超過してる分もあるんで、そこだけでも先にお支払いしてもらえないですか?」
萩原「いや、ちょっと今はまだお金がないんで」
B「まだお仕事、勤めてもらえないんでしょうか」
萩原「就職が難しくて」
B「訓練校には何か月も前から毎日行っておられるそうで、すごく立派なことだと思うんですけど」
B「訓練校はちゃんと提携してる企業はありますから、そちらで働くことは検討してもらえてるんですよね」
萩原「いや、他にやりたいことがあって」
B「まだ、お金かえしてもらえないんですかね」
萩原「・・・」
B「訓練校の給付金もありますから、超過分だけなら返せない額ではないと思うんですけど」
萩原「・・・」
B「ちょっと今は就職して返納する意識はないっていうことで訓練校には報告させてもらいますね」
萩原「いや、就職しますよ、明日も面接あるんで、で就職したらお金も返せるんで」
B「前回も、それで就職しなかったじゃないですか?」
萩原「・・・」
B「暫定的に意識がないっていううことで一旦報告させてもらったほうがいいですよね」
萩原「いや、ほんとに明日面接なんで」
B「意識がないっていううことで報告させてもらいますから」
Bはセリフ終わりと同時に電話を切る
萩原、受話器に向かって
萩原「バーーか」
シーン8
・オフィスの面接室、(昼)
面接官が萩原に質問をしている、その様子を密着取材しているA
萩原、暗記した自己PRを言っている
面接官「ありがとうございます。それでは質問なんですが、、、」
面接官「萩原さんを仮にご自身でものに例えるとしたらなんですか」
萩原「・・・もの、物って、、、流木とかすかね」
面接官「今例えていただいたその物で私たちの会社にどのような役割を果たし貢献していただけますか」
萩原「え、、、水槽に置いておく、、、いや」
ぼそぼそつぶやく萩原、答えることが出来ない
シーン9
・河川敷、(昼から夕方)
河川敷に戻った萩原は面接の手ごたえが悪く機嫌が悪い、ゲンさんと萩原は口論になる
橋の下、発電機で電力を得てPC作業をしている萩原
発電機の排ガスで洗濯物を乾かしているがもうすでに乾いている
ゲンさんが現れる
ゲンさん「お前、乾いたらたたんどけよ」
ゲンさん、そそくさと洗濯物をたたみ始める
萩原「ああ」
ゲンさん「これ排ガスで焼け跡つくのわかってるやろ」
ゲンさん「干したら、干しっぱなし」
萩原「ごめんて」
ゲンさん「こんな100均のパチモンでも焦げて使いもんならなくなったら冬越せねえぞ」
ゲンさん、かっとなり早口になる
萩原「・・・」
萩原に無視されゲンさんは機嫌が悪くなる
ゲンさん「おい、お前面接どうだったんだよ」
萩原「別に、普通」
ゲンさん「普通ってなんだよ」
萩原「普通に落ちたと思うけど」
ゲンさん「はあ!」
ゲンさん「お前ふざけんなよ、何回落ちんねん」
萩原「だって、面接の人、別におっさんじゃない若い人やったし」
萩原「なんか自己PRもおかしいって思ってたと思うし」
ゲンさん「おかしいって言われたのかよ」
萩原「言われてはないけど、特技がシステムエンジニアって、システムエンジニアって役割でなんか特技って感じじゃないし」
ゲンさん「じゃあ接客が特技ですとかあるじゃねえかよ、役割も書いてわるいもんじゃねえだろうがよ」
萩原「だって俺、IT系やりたいからITの話に持ってけると思ったからゲンさんの言ったように書いたのにスルーされたし」
ゲンさん「それはお前がアピールできてない問題だろ」
萩原「いやだってむこうからなんか別のこと質問されたし、なんかスーツも見た目おかしいし」
ゲンさん「お前、文句言うなら返せよ」
ゲンさん萩原に歩み寄りスーツを奪おうとする、取っ組み合う二人
萩原「いや、ちがうから、」
ゲンさん「0から就職しようとするような奴が甘えたこと言うな」
萩原「僕まだ20代ですよ」
萩原、ゲンさんを振りほどきAに向かっていく
萩原「だいたい面接中にこんなわけわからん撮影されてたら面接官だってへんな奴来たって思ってるに決まってるでしょ」
シーン10
・橋の下、(夜)
落ち着いた萩原はAのカメラに過去を独白する
(自身の無計画な就職浪人とプログラミングスクールへの学費により奨学金を滞納した
滞納した奨学金を業者B達に取り立てられ萩原は家賃を払えず家を失った。)
夜、ゲンさんは寝ている
焚火の火が燃えている
萩原「・・・大学生の頃すかね、なんか大学の時の就活はやったけどうまくいかなかったんで、まあいっかって思ってて」
萩原「就職浪人みたいな、大きい会社は東京とかにあるし準備とかも必要だから」
萩原「でも結局理系とかじゃなかったんで、プログラミングのスクールとかもやってたから」
萩原「奨学金は就職してからって思ってたんすけど、超過分は引き落としで払ってたみたいで、家賃が払えてないって連絡着て」
萩原「それでなんか、、、」
シーン11
・訓練校の教室、(朝~昼)
Aが訓練校の荒木の授業風景を取材している
荒木が授業をしている
生徒が後ろの席に多く普通に聞いている人が多い
谷脇は荒木におびえており前の席の窓際でびくびくしている
川崎は前の席の真ん中で寝ている
萩原は中間ぐらいの場所でパソコン作業をしている
荒木「人という字は人と人とが支えあってんだよ」
荒木、黒板に大きく入という字を書く
荒木「つまりな普通はな、この(人の字の支えてる部分と支えられてる部分それぞれを指して)両方をな経験してるんだよ」
荒木「だからなこっち(人の字の支えられてる部分を指して)しか経験しようとしねえ奴はな、人間じゃねえんだよ、人はみんな両方で人なんだよ」
荒木「おまえらは誰かを支えてるのか?おいどうなんだ、おい、言ってみろよお前、おいお前」
谷脇「いや、ちょっとわからないです」谷脇、動揺して薄く笑みを浮かべている
荒木「お前、わからないってなんだよ」
谷脇「、、、ええっと」谷脇、笑みが完全に消えている
荒木「じゃあ、お前、お母ちゃんいんのかよ」
谷脇「、、それはいますけど」
荒木「じゃあ、お前こっち(支えられる側を指さして)は経験してんじゃねえかよ」
谷脇「・・・」
荒木「じゃあ、お前はお母ちゃんみたいに誰かに飯作ったりしてんのかよ?」
谷脇「、、、飯作ったりはしてないです」
荒木「それでいいのかよ、どうなんだそれでいいと思ってんのか」
谷脇「いや、、、たまに不安になります」
荒木「なんで不安になるかわかるか?、、、」
荒木、ひときわ大きい声で
荒木「体はでかくなったのに心が一人前じゃねえからだ」
教室は静まる、川崎は寝ている
荒木「こんなかにな、こっち側(人の字の支えてる側を指して)もやってるって奴はいるか?」
静まる教室
萩原が恐る恐る手を挙げる
荒木「、、、おい、なんだ、じゃあお前何やってんだよ言ってみろよ」
萩原「、、、その、僕が何してるってわけじゃないんですけど、その助成金が出るじゃないですか、この訓練校って」
萩原「それは、この訓練校に仕事を斡旋する企業も人手が足りなくて人手が欲しくて、だから予備人員とかベンチみたいな感じで僕らが訓練校に在籍してるだけで、いざっていう時に働いてくれる可能性になってるから」
萩原「僕らは、そのいざっていう時の可能性を企業とかに与えられてるから、そういう意味で支えてる側になれてるって僕は思います」
荒木「お前さー、ちょっとこっち来いよ」
荒木、萩原を手招きする、萩原、教壇に近づく
荒木「よしじゃあ、お前、授業してみろよ」
萩原「っえ」
荒木「偉そうなこと言うんだったら、お前が授業してみろって」
萩原「その僕が授業するんですか」
荒木「お前、支えてる側なんだろ、じゃあみんな支えてみろよ、お前早くやれよ、時間もったいないよ」
萩原「それはちょっと僕はわからないので」
荒木「いやいやさっきしゃべってたじゃん、見といてやるよ」
荒木、近くの席に座る
荒木「やれよ」
萩原「でもなんの講義の授業をするのかとか、僕が何を教えるかとかって」
荒木「いいからやれよ」
萩原「、、、その僕は授業とかはその勉強したことがなくて、でもやるんですが、どうやって話しをしたら」
予備のセリフ(あの今日本は、少子化とかがあって、経済とか環境とかが、ちょっとづつ悪くなってるんですかねだから、経済とか環境とかをなんとかするような仕事がいいですよね)
萩原「・・・」
荒木「何言ってるかわかんねえんだよ」
荒木、急に大声を出し教壇に乗り出す
荒木「お前さ、なんか可能性で支えてるって言ってただろ、でも助成金もらってんだろ」
荒木「それが支えられてるって言ってんだよ」
教室は静まる
川崎は寝ており、荒木は川崎の頭を教科書で叩く
萩原、川崎インタビュー
二人は黒板に『人』、『入る』という文字を書き荒木が漢字を間違えた事を英語でAにボディーランゲージを交えながら説明しようとしている
萩原「this text means enter and this one means human so mr araki mistakes text so he said humanbings suport each other so human」
川崎「so enter the company」
萩原「no not company not enter so 」
A「ok i know i kow you try well」
Aモノローグ「mr araki should teach english」
シーン12
・訓練校のグラウンド、(昼)
生徒たちがグラウンドでマラソンをしている
荒木はインタビューをしている
荒木「僕が受け持つクラスは授業の8割を体育にしてます」
荒木「仕事っていうのはね、結局は体力勝負ですから」
荒木「毎日、スーツ着て電車乗るだけでも体力使いますから、働いてる人と働いてない人で一番差がついちゃうのが体力」
荒木「だからどんな仕事をやるにしてもまずは体力」
荒木「この訓練校が提携してる企業様の中には、やっぱり体使う仕事の会社も多いんですよ、いま若い子そういうのやりたがらないから」
荒木「でもね、それは逆にチャンスなんですよ、ここで僕と一緒にいくらでも体を鍛えたらいいじゃないすか、そのうちキツい仕事もキツいと思わなくなる、体使う仕事をやりたくなりますよ」
荒木「そしたらね、どんな仕事でも絶対、社会で通用する」
荒木「現に、この方針で僕のクラスの就職率は上がってますから」
荒木「まずは体、体を使わない仕事はない」
シーン13
・訓練校のグラウンド、(昼)
マラソンで川崎、萩原、谷脇、エリナの順に走っている
荒木「お前ら遅いぞ」
荒木は一人一人トラックを一周するたびにケツを叩く
エリナはケツを叩かれるとキレて荒木を殴る
川崎は走りながらインタビューで荒木とエリナが付き合ってることを報告する
川崎「あの2人、付き合ってるんですよ」
川崎「こういう体育とか就活とかでも本来は順位とか内定取れたかとかで評価されて成績が悪いと給付金の額を減らされたりするんすけど、あの子、えこひいきされてるんすよね、もう何か月もお咎めないらしいっす」
川崎「付き合っちゃってるから」
シーン14
・訓練校のグラウンド、(昼)
マラソンを走り終えて疲れ果てている、川崎、谷脇、萩原、
腕たてをしている元気な生徒もいる
そんな中マラソンの最後の一周ををダルそうに歩いてゴールするエリナ
荒木「おい、谷脇、川崎、萩原、話があるから後でこい」
シーン15
・訓練校の中、職員室(昼)
事務机に座っている荒木の前に、谷脇、川崎、萩原が並ぶ
荒木「お前ら、授業態度も悪いし、就活も全然じゃねえか」
3人「・・・」
荒木「お前らは給付金の減額を検討してる」
荒木「明日から合同面接をやって、3回面接して1度も内定が取れなかった奴は給付額を9割カットさせてもらうから」
3人に資料を配る荒木
荒木「じゃあ明日ここで面接だから」
帰っていく3人
荒木「ちょっと萩原だけ待て」
萩原「なんすか?」
荒木「奨学金の会社から、お前全然返金してないって連絡来たぞ、それで向こうはお前が就職する気ないって言ってたけど本当なのか?」
萩原「就職する気ありますよ」
荒木「嘘つけよ、ITエンジニアにしかなりたくないって言ってたって本当か?」
萩原「なんか悪いんすか?」
荒木「他の仕事も選べって、大体お前がそんなもんなれると思ってんのか?」
萩原「なりますよ」
荒木「でも明日の面接八百屋だぞ」
萩原「八百屋でもITエンジニアは募集してるかもしれないじゃないですか?」
荒木「いや店員募集してるって」
萩原「八百屋でもITの波は来てるんで店長にITの必要性を面接でアピールすれば良い、」
荒木「はあ」
萩原「僕はITエンジニアになるんで、失礼します」
萩原去っていく
荒木「お前なんか勘違いしてるんじゃねーか、こっちは給付金の減額なんて容赦なくやるんだぞ」
シーン16
・訓練校の中、職員室(昼)
荒木、インタビュー
部屋、荒木が座ってインタビューを受けている
荒木は昔を懐かしみ、遠くを眺めるような目でインタビューに答えている
荒木「本当、若い奴は、バカばっかりですよ」
荒木「自分も、昔、ITやってた頃があるんですよね」
荒木、手に持っている書類に目を落とす
そこに奨学金返納業者のBが入室する
Bは終始、クールに困ったことを訴えるような様子
Bが入室すると荒木は媚びを売るような態度になる
荒木「あ、お疲れさまです。」
B「萩原さんにはお話してもらいましたか?」
荒木「はい、さっき萩原のやつに問いただしたんすけど、もー仰ってた通りバカみたいにITエンジニアになるとか言ってましたよ」
B「やっぱりそうなんですね、別に職業を選ぶなとは言いませんけど萩原さんは超過分があるのでまずはちゃんと働いて返済に充ててほしいんですよね」
荒木「やっぱ無職ってどうしても少し足りてないんすかねぇ、でも大丈夫っすよ萩原も今はだらしないからITなとか言ってますけど俺が毎日鍛えてやってるんで」
B「体鍛えたら就職するんですか?」
荒木「うちのクラスは実践型なんで、それで就職率も上がってきてますから」
B「ちゃんとスキルとか教えられてないんですか?」
荒木「スキルは教えますよ」
B「どんなスキルですか?」
荒木「・・・」
B「えっそれで給付金とかもらってるんですか?」
荒木「・・・でも、ジムみたいな感じなんで、うちは」
B「そんなんでいいんですか?」
荒木「僕が萩原ならまぁITもいけますね」
B立ち上がり
B「失礼します」
怒って部屋を出ていくB
荒木、Bを追いかけて部屋を出る
荒木「あっちょっと待って」
部屋を出ると荒木は馴れ馴れしくなる
Bは荒木を無視して歩く
荒木「ねぇねぇ、ごめんごめん、まーこの萩原?の件は一緒に頑張りましょうよ、話聞きますよ」
荒木「あ、連絡先とか交換しときません?あ、どこ行くんすか?どっか喫茶店とかいきます?俺この辺は店知ってますよ」
B「セクハラ、、、」
荒木、セクハラと言われると立ち止まる
荒木、Bの歩いていく方向からBがセンター長の部屋に行くことがわかり、Bを追いかける
荒木「えっ嘘、ちょっとまって、」
Bはセンター長の部屋にノックし入る
荒木は立ち尽くす
シーン17
・訓練校の中、センター長の部屋(昼)
荒木が、センター長に説教を受けている
荒木、厳つく神妙な表情をしている
センター長「おまえ、なにやってんだよ」
荒木「すいませんでした」
センター長「俺お前のそういうわけわかんない理由で毎回なんか怒られんの本当に嫌なんだけど」
荒木「節度が足りなかったと思います」
センター長「いっつもそういうじゃん」
荒木「・・・」
荒木、厳つい表情をしている
センター長「それ怒られてるやつのする顔?」
荒木「失礼します」
荒木、去ろうとする
センター長「あっちょっと待って、お前萩原はこの3回の面接で絶対に就職させろよ、これ以上面倒なことになる前にな」
荒木「いや、それは」
センター長「お前のせいだろう」
荒木「、、、わかりました」
センター長「今度、目つけられたらクビだからな」
荒木部屋を出ていく
センター長Aに向かって
センター長「こんなん撮ってるなよ」
部屋をでるA
荒木の後姿をを追いかける
シーン18
・橋の下、(夕方)
萩原がパソコンでエッチなDVDを再生してオナニーしている
ゲンさんが魚を調達して戻ってくる
萩原はゲンさんに気づいて隠そうとするが、ゲンさんにバレる
ゲンさん「おまえなにやってんだよ」
萩原、パソコンからDVDを取り出す
萩原「いや、その」
ゲンさん「そんなもんなんで持ってんだよ」
萩原「道で拾った」
ゲンさん「ガソリンだってタダじゃねえんだぞ」
チャプター3 合同面接ツアー
シーン1
・橋の下、(昼~夕方)
ゲンさんの話を聞く萩原
ゲンさん「仕事ってのはな、何が大事だと思う?」
萩原「やっぱり、何かができるっていう能力じゃないですか」
微笑むゲンさん
ゲンさん「能力も大事だけど、能力は一番じゃない」
萩原「一番は何なんですか?」
ゲンさん「熱意だよ」
萩原「熱意、熱意とは何ですか?」
ゲンさん「熱意っていうのは期待と責任感のせめぎあいなんだ」
萩原「期待と責任感」
ゲンさん「それが諦めない心を生む、仕事をしてたらな絶対的なピンチは避けては通れない、そんなときに投げ出さない責任感、前を見続ける期待、それが必要なんだ」
萩原「諦めない心」
ゲンさん「期待と責任感は、熱意になって現れる、だから面接官にはとにかく熱意を伝えるんだ」
萩原「でも、今度の面接はやりたい仕事じゃないから」
ゲンさん「馬鹿野郎、熱意はそんな単純なもんじゃねえ、熱意を込めれば込めるほど、やりたくない仕事も輝く熱意溢れる仕事に変わるんだ」
萩原「そういうもんなんですね」
萩原、メモをとる
ゲンさん「いいか、お前の技術力は俺も認めてる、だから今度は面接に強くなるんだ」
萩原「はい」
ゲンさん「面接は熱意だ、熱意を伝えるんだ、」
萩原「はい」
ゲンさん「あと仕事は共同作業だ、思いやりや気遣いが出来なくちゃいけねえ、自分が話したらこっちから質問もして相手からも情報を聞き出すんだ」
萩原「一番は熱意じゃないんですか?」
ゲンさん「一番は熱意だ、でもそれだけじゃだめだ、押しつけがましくなる、熱意と思いやりだ、いいか自分の話ばかりになってたら要注意だ、常に相手の様子に気を配れ」
萩原「はい」
シーン2
・八百屋の中、(昼)
八百屋の店長による3人の面接が行われる
萩原パート
萩原「今日は自分が尊敬している八百屋の仕事への面接にお呼びいただきありがとうございます。この期待とこの責任感が今までないようなこの感情のぶつかり合い、表現しきれないような熱意となっています」
八百屋の店主「ありがとう!いやあ、八百屋やりたいなんて今どき珍しいよね。やっぱり野菜とか好きなの?」
萩原「はい幼いころから野菜がとても好きです、なすびが特に好きです」
八百屋の店主「へー、好きな料理とかあんの?」
萩原「好きな料理は寿司です」
八百屋の店主「ああ」
萩原「はっ店長は何が好きですか?」
八百屋の店主「・・・穴子、」
萩原「穴子おいしいですよねえ」
谷脇パート
谷脇「、、、よろしくお願いします」少し声が小さく、少し早口になる
八百屋の店主「よろしくお願いします」
八百屋の店主、少しいぶかしげな表情で履歴書を見ている
谷脇「・・・」
八百屋の店主「なんか、スポーツとかやってたりしたことはある?」
谷脇「スポーツはあ、サッカーとかは好きですね、まあやってたことないんですけど」
谷脇、後半になるにしたがって早口になり聞き取りづらい
八百屋の店主「えっ、やってたことはあるの?」
谷脇「サッカーは小学生の時とかはキーパーとかでしたね、あんまりリフティングとかはできなくて、それで、だから部活とかには入ってなくて」
谷脇、全体的に早口で後半になるにしたがって早口になり聞き取りづらい
八百屋の店主「スポーツの部活とかには入ってなかったの?」
谷脇「中学の時に誰でも部活に入らないといけなくてそれで友達とかいたんでバレーボール部にはいったんですけど、あんまりいかなかったです、行かなくてもいいっていう雰囲気だったんで」
谷脇、全体的に早口で後半になるにしたがってつっかえて聞き取りづらい
八百屋の店主「えっだから、あのスポーツの部活動にはあんまり行ってなかったんだよね」
谷脇「その、もしかしたらあんまり体を動かすのは得意じゃないかもしれなくて、訓練校の授業は体育ばっかりなんですけど」
八百屋の店主「あっそうなんだ、ありがとう、うん」
谷脇「・・・」
八百屋の店主「なんかアピール、アピールしたいこととかある?」
谷脇「その、難しい数学とかじゃないんですけど数字には強いんじゃないかなって思ってます」
八百屋の店主「なるほどねー」
谷脇「・・・」
八百屋の店主「質問とかはある?」
谷脇「ないです」
川崎パート
川崎「よろしくお願いします」
八百屋の店主「よろしくお願いします」
八百屋の店主「八百屋の仕事どお?やってみたいって思ってんの?」
川崎「俺、今日来て、でお店とか見てみて、もしかしたら八百屋向いてるんじゃないかって思ってて」
川崎「自分、接客は昔やってたことがあって、でも野菜専門っていうのはやったことがなくて」
八百屋の店主「野菜専門の接客か」
川崎「接客ってやっぱ、知識つけてお客さんと話したりするの楽しいんで、」
川崎「商品が野菜なんで、自分はなんかの機械とかは難しくてちょっとわかんないんすけど、野菜はなんか出来そうっていうか」
八百屋の店主「身近だよな」
川崎「あっそうそう、身近なんで、季節の野菜とか、良い選び方とか、たぶんめちゃくちゃ奥深そうじゃないですか?」
川崎「それ覚えてお客さんに話したりするのとか、たぶん楽しいと思うんで」
八百屋の店主「ああ、そう」
八百屋の店主へのインタビュー
八百屋の店主「まあ、いま若い子はいろんな子がいるから」
八百屋の店主「そのいろんな子がいるっていうのを知れたのが一番良かったかもしれないですね」
八百屋の店主「適材適所じゃないけど八百屋に興味持ってくれる子もいたんで、それはすごいよかった、よかったですよね」
川崎が内定を獲得、インタビューに答える
川崎「あ、内定すか?本当すか?ありがとうございます!」
シーン2.5
・橋の下、(昼)
ゲンさんが萩原のパソコンで同じエッチなDVDを見ている
そこにBがやってくる、ゲンさんはBに気づくと慌ててPCからDVDのディスクを取り出す
ゲンさん「何しに来たんだ?」
B「萩原さんの面接はどうなんですか?」
ゲンさん「最初のはダメだったけどまだあと二回あるから」
B「まだITを諦めてないようなことを仰ってるようですが」
B「訓練校の給付金をカットされてもチャレンジは継続できるんでしょうか?」
ゲンさん「まさか、給付金がなければガソリン代も通信費も払えなくなるって知ってて」
B「私は制度の利用者様がきちんと働いてライフプランニングをして頂ければそれで満足です」
B、去っていく
ゲンさん「あいつはお前みたいな役人の使いっぱしりじゃない本物の高給取りになるんだ」
B「なら奨学金は早く返済してもらえそうですね」
シーン3
・清掃会社の面接室、(昼)
萩原パート
清掃会社の社長「よろしくお願いします。」
萩原「よろしくお願いします。」
清掃会社の社長「ここは清掃の仕事ですから、変にかしこまらなくても大丈夫です」
萩原「はい、」
清掃会社の社長「まあ、ざっくばらんにお話させてもらえればと思っています」
萩原「あっそれなら、いま、清掃の仕事ってすごいチャンスが来てるんですよ」
萩原「あのITの時代なんで、っでITって機械とかパソコンじゃないですか?」
萩原「道とかじゃなくてパソコンとかを掃除するんですよ、道とかも大事なんですけど」
清掃会社の社長「えっと」
萩原「僕、ビジネスモデル考えてて」
萩原、汚い自分の旧式のパソコンを取り出す
萩原「このパソコンって、大体8年くらいは使ってるんですけど」
清掃会社の社長「あ、結構使ってるんですね」
萩原「パソコンってそんぐらい使ってたら壊れるじゃないですか?」
清掃会社の社長「なんか遅くなったり、めっちゃ熱くなったりしますよね」
萩原「そうそう!でもあれ壊れてはいなくて、処理に時間がかかったり、ファンにホコリが付いて放熱効率が下がったりしてるだけなんですよ」
萩原「だからちゃんと掃除とかメンテナンスしたら全然使い続けられる物なんです」
清掃会社の社長「へー」
萩原「だから、企業とかってめちゃくちゃパソコン持ってたりするんで、一台数千円とかでも企業が休んでる夜とか日曜に出張で清掃しに行くっていうビジネスモデルは必要なんですよ」
清掃会社の社長「なるほどねー、」
萩原「はい、僕はシステムエンジニア目指してるんですけど、このパソコンでずっとやってますね」
萩原「あの、ウェブサイトとかも作れますし、パソコンのことも分かってますから僕にその社内事業みたいなのをやらせてください」
清掃会社の社長「すごいねえ、へえ、これこのパソコンも修理したら八年もずっと使えるんだ」
萩原「ちょっと前作ったウェブサイト見てください」
萩原、パソコンを立ち上げようとする
パソコン、旧式な為、ネットに繋がるととても動作が遅くなる
萩原「ちょっとまってください、最近データが重くて」
ウェブが立ち上がる途中
清掃会社の社長「そんなに長く使えても、企業は性能も大事だから」
萩原「っえ」
清掃会社の社長「だって新しいの買ってもそんなに高くないし、パソコンの性能とかはどんどん上がっていくから」
萩原「それは」
清掃会社の社長「清掃し続けるコストパフォーマンスは」
萩原「でもファンが唸ってる音ってなんか不安になるし、それに僕はITエンジニアになりたいんで」
清掃会社の社長「あー、そっか」
谷脇パート
清掃会社の社長「よろしくお願いします」
谷脇「よろ・・・」
谷脇、緊張して声がうまくでない
清掃会社の社長「うん?」
谷脇「すいません」
清掃会社の社長「ちょっと深呼吸しましょうか?」
清掃会社の社長「吸ってー、吐いてー」
清掃会社の社長「どう?」
谷脇「ありがとうございます」
清掃会社の社長「落ち着いたタイミングで自己紹介してくれたらいいから」
谷脇「その、、、僕」
谷脇「僕、めっちゃ変わってるかもしれないんですけど、その全然働いたことなくて、アルバイトとかちょっとやったことはあるんですけど、それも続かなくて」
谷脇「行きたくなくなったら行けなくなって、でも働いてないとなんにもしてないから不安になって、それで」
谷脇「・・・」
清掃会社の社長「まあ、うちはさ清掃の仕事だからさ」
清掃会社の社長「そんな人気はないよね」
清掃会社の社長「だから訓練校から入ってもらった人も多いしさ」
清掃会社の社長「ここに入る前は谷脇さんみたいに全然働いてなかった人もいるよ」
谷脇「そんな人がちゃんと働けてるんですか?」
清掃会社の社長「うちでは問題なくやれてるよ」
谷脇「えっ、、、」
清掃会社の社長「やめたくなったらさ、仕方ないけどさ、ちょっとでも挑戦したいならさうちはいいかもね」
谷脇「挑戦はしたいです、そのいつかは挑戦はしたいんで」
谷脇「社内の人間関係はいいんですか?」
清掃会社の社長「まあ、いいんじゃないかな?」
谷脇「清掃の仕事ってなにか難しいところはあるんですか?僕は不器用で」
清掃会社の社長「難しいっていうか、手順をゆっくり覚えてくれたらいいから」
谷脇「その、、、」
谷脇「その、もしよかったら、働きたいんです、働かせてください、よろしくお願いします。」
清掃会社の社長「ありがとうございます、こちらこそ機会があれば是非よろしくお願いします」
谷脇と社長が面接を終えると清掃会社の社員が仕事を終えて事務所に帰ってくる
清掃会社の社員「おつかれさまでーす」
清掃会社の社員「えっ面接?新しい人?」
社長「そうそう、谷脇さん」
谷脇「よろしくお願いします」
清掃会社の社員「あっここめっちゃいいから、社長マジで面倒見いいから、アッチー、今日は動いたわー」
清掃会社の社員は、元気よくしゃべりながら、歩きながら、服を脱いで事務所に向かっていくが、脱いだ服の下の素肌にはかなり大きめの刺青が入っている
それをみた谷脇の表情は恐怖に染まっている
シーン4
・橋の下、(朝~昼)
萩原とゲンさんとBが3人並んで橋の下にいる、真ん中が萩原で萩原は黒電話を持っている
電話が鳴り、電話に出る萩原
清掃会社の面接官「昨日はご面接ありがとうございました、大変申し訳ありませんが萩原さんの採用は見送らせていただきます」
ゲンさんはがっかりする、Bはそれみたことかと得意そうな表情
清掃会社の面接官「この度は誠にありがとうございました、萩原さんの今後のご多幸をお祈りしています」
シーン5
・訓練校の職員室、(昼)
萩原はエンジニア職を志望し直談判しにいく
萩原「僕はITエンジニアの仕事を希望してるんですけど」
荒木「お前さ、もうITとか言わずにさ、ちゃんと就職しろよ、提携してる企業はさ、すごい会社じゃないかもしれないけど、本当に働く人が必要なんだからさ、」
萩原「僕はITじゃないと無理っすよ、だって他の人は色んな事やってるかもしれないけど僕はその間にITの事ばっかり勉強してきたし、それで普通の仕事やろうとしてもそれだけ不利なだけじゃないですか」
荒木「お前、そんなにITやりたいのか」
萩原「はい」
荒木「やりたいだけじゃ通用しない世界だから」
萩原「僕は開発してるんで、他の人よりもずっと開発してるんで」
荒木「開発って何を?」
萩原「どうせ、ここに居るような人には理解できませんよ」
荒木、萩原の胸ぐらを掴む
荒木「黙って見せてみろよ」
部屋、荒木が一人でパソコンで萩原のデータを見ている
荒木のインタビュー
荒木「、、、自分も、昔ITはやってたんで、コネがないわけじゃないんで」
荒木、萩原のデータを見る、荒木、萩原のデータを理解できているフリをしながら
荒木「まぁ、萩原のやつも遊びでやってるって訳じゃなさそうですね」
荒木「、、、」
シーン6
・オフィスの前、(昼)
荒木は萩原の為に自身が過去にリストラされた会社へ萩原を採用の為の選考面接に参加させるように交渉しにいく
荒木がリストラされた会社はIT系、インターネットで求人を出している
人事部に勤める元同僚に萩原を面接に進めるように取り付けようとする荒木
荒木が、オフィスビルの前で元同僚のCを待っている
荒木「お、おーい、久しぶり!」
C「あ、あの」
荒木「メール送ったのみてくれたよな」
C「ええ、いやなんか、、、いろいろ急すぎてそんな対応できそうになくて」
荒木「いいって、いいって今日ありがとう」
荒木「飯とか食い行く?」
C「いや時間ないから」
荒木「あ、そう」
C「じゃあ」
荒木「えちょっと待ってよ」
Cの行先に先回りする荒木
C「本当にごめん、今回の採用は若手に任せてるからさ」
荒木、思い切りよく頭を下げる
荒木「本当にお願いします!」
C「困るよ」
C、人目を気にする
C「今、そういうコネみたいなのはないからさ」
C、荒木を避けてビル内に帰ろうとするが荒木が頭を下げたままスライド移動して通せんぼする
荒木「才能のある若者なんです!」
荒木、頭を下げながら萩原の書類を渡そうとする
C「わかったからさ、辞めて」
荒木「お願いします!」
人目やカメラを気にするC
C「いいよ、いいよじゃあ、書類、俺から渡しとくからさ」
荒木「ありがとうございます!」
書類を力強く渡す荒木、握手をする
C「じゃあ、また担当から連絡あるとおもうから」
C、手を振り去っていく
Cが振り返ると荒木はすぐさまAにカメラの撮影を辞めるように指示してCを追いかける
Cと同じエレベーターに乗り込む荒木
シーン7
・オフィスの中、(昼)
Cがパソコンの前で作業しているのを腕を組んでみている荒木
シーン8
・オフィスの中、(昼)
荒木がAのインタビューに答えている
荒木「昔の同僚と部下がちょっと動いてくれるみたいで、萩原の面接ちょっと組んでみました」
荒木「講師は本来、生徒の仕事への基礎力を付けるのが仕事なんですけど、まあこういう小回り効いたマネージメントも僕はやったりしてますね」
荒木「うちの職業選択の自由は幅広くて、本当にどんな仕事も対応できますし、やっぱり生徒と向き合う姿勢が数字に結びついてます」
シーン9
・オフィスの中、(昼)
CがAのインタビューに答えている
C「荒木は、、、まあ、、、あいつリストラされたんすけど」
C「うちもベンチャーだったから昔は会社大きくなるときにああいうちょっと強引な奴も必要だったんすよね、特に営業では」
C「荒木はその最たる例と言いますか、さっきも『担当に渡しとくから』って俺言いましたよね、あいつはそういうのじゃ絶対に納得しないんすよ」
C「面接組ませるところまでやらされましたから」
C「身内だからとかじゃなくて、顧客にもああいう感じだったんすよ」
C「数字は優秀だったんすけど、結局クレームとかがちょっとね」
C「あいつたまに何考えてるかわかんないし怖いんで変に断れないんで、ただ今回はその萩原って子のデータは面白かったからまだ良いほうだって考えるしかないですよね」
C「うちは確かにエンジニアたりてなくて人手不足で求人だしてるのは本当なんで、普通の人だったら全然採用したいですよ」
移動中
荒木「アイ・サポート・スチュウデント・オン・マイ・オウン・ウェイ」
Aモノローグ「he suport great」
シーン10
・訓練校のグラウンド、(昼)
マラソンをしている生徒たち、
荒木「萩原来い」
萩原、荒木のもとへ向かう
荒木「面接組んだから、ITだから」
荒木、萩原に資料を渡す
萩原「これ○○テクノス、本当すか?」
荒木「おまえ絶対に合格しろよ」
萩原「ありがとうございます」
荒木、生徒のしごきにもどる
萩原、資料を見て
萩原「グラウンドで渡されてもな」
シーン11
萩原のインタビュー、モチベーションを高めて確実に内定を取る心意気で挑む
給付金のカット、面接失敗時のリスクも説明
シーン12※カメラで作ります
萩原は面接に挑む
面接官はふくよかな女性であった
萩原は女性が入室した途端に緊張してしまい女性の胸元ばかりを見てしまい、面接でもうまく発言できなくなってしまう
面接風景
Aモノローグ「萩原は面接に集中できていないようだ」
シーン13
河川敷に戻り、ガソリン発電機でPCを動かしてエロDVDをみながらオナニーしている萩原
萩原「チクショー!!!」
Aが萩原を撮影しているとゲンさんがそれを隠すように遮る
ゲンさんは落ち着いた声でこの時ばかりは萩原に同情している
ゲンさんは首を横に振りながら
ゲンさん「あいつ、これ(おっぱいのジェスチャー)みたらこれ(男性器が勃起するジェスチャー)だから」
ゲンさん、勘弁してやってくれという雰囲気を出す
ゲンさんの向こう側で萩原は悔しくて叫びながらオナニーをしている
シーン14
川崎は八百屋の内定を受け、八百屋で働き始める
いきいきとしてる川崎のインタビュー
八百屋の店長やオーナーも川崎を褒めている
シーン15
・訓練校の中、パソコン資料室(昼)
内定を得た谷脇は就職を留保し仕事探しをしている
谷脇「僕は普通に探してますよ」
谷脇「内定はでましたが、まだこれが理想の仕事かどうかはわからないので」
谷脇「理想の仕事っていうのは、ええっと、楽しそうなやつとかやりたい仕事とか」
谷脇「・・・だからやりたい仕事がなんなのかこの画面で探してそれを考えてるんじゃないですか」
谷脇「だって、いまから清掃員になっても最初から清掃員やってたわけじゃないじゃないですか」
谷脇「なんだってそうじゃないですか、途中からやり始めたってその分なにかやってないっていう目で見られるからそれならもっといい仕事のほうがいいじゃないですか」
谷脇「別に期限のうちは他に就活してても問題ないですよね」
シーン16
・訓練校のセンター長の部屋、(昼)
センター長「(自分たちのサービスの大切さ、いろんな事業への応用が効く人と人との信頼について語っている)」
突然電話が鳴りだす
センター長「あっごめん、ちょっといい」
センター長電話に出る
センター長「はい、はい、えっ川崎辞めるって、えっあっはい、」
センター長電話を切る
センター長「今のPR動画の構成って川崎の取材映像使ってるんだよね」
A「はい」
センター長「いや、川崎使えないよ、辞表出してきたって」
A「ええー、川崎さんの取材映像が受けが良さそうで、訓練校のシステムのアニメとセンター長のインタビューと川崎さんの密着取材でいこうって言ったじゃないですか」
センター長「いや、辞めたひと、使ってたらさすがにむりだよ、っていうか八百屋とかの企業さんの名前使わせてもらえないよ誰も雇ってないのに、それPRできてないから」
A「でも他の人の映像も使えないって言いましたよね、授業の映像とかつかうんですか?」
センター長、途方に暮れる
チャプター4 それぞれのハローワーク
今後、Aは就職する戦意を失った若者達の取材を続ける
萩原(奨学金返納業者の攻撃は激しさを増す一時的な返納の為に就職しゲンさんを裏切る)
谷脇(同期の2人が就職に失敗しており、自分を成功体験としてPR映像にするなら、訓練校への就職を条件に付きつける)
川崎(ゆきずりの愛に身をゆだねようとするがそれもままならず現実と向き合う)へのそれぞれの密着取材が描かれる
谷脇パート
清掃員として就職した谷脇
谷脇の様子をインタビューしに行く
谷脇は他の清掃員から微笑みながら注意をされている
先輩清掃員は優しく微笑んでいるのに谷脇は委縮している
谷脇「さっきも結構言われちゃったんですけど、やっぱり僕はこの仕事、向いてないかもしれないです」
谷脇「トラックの運転手とかはいいっすよね、コミュニケーション能力必要なくて、ま、僕は運転とか苦手なんですが」
谷脇「ああいうお店の人とかは、疲れたら自分のタイミングで座って休んだりできるし、立ち仕事は続けると腰にくるって言いますしね」
谷脇「その、、、センター長に言いたいことがあって、センター長のところにいかせてください」
Aと谷脇はセンター長の部屋に移動する
移動中、谷脇の後姿を撮影するA
センター長「うん、どうした?」
谷脇「その、、、僕をここで働かせてください、お願いします」
センター長「、、、清掃の会社に就職したんだろ」
谷脇「はい、でも僕はここで働きたいんで」
谷脇「もちろんすぐにっていうわけではないんです、清掃の会社も2年は続けます」
谷脇「それで社会勉強にもなるんで、その後にでもいいんでここに就職させてください」
センター長「、、、え、まって、なんでそんなこというの?うちが斡旋した就職先を辞めてうちに来るってこと?おかしくない?」
谷脇「それはそういうところはありますけど、でも僕はいままで就職活動をやってきたし得意な事は就職活動の資料集めとかだからここで働きたいんです」
センター長「得意なことはこれから就職した会社で見つけるんだよ」
谷脇「、、、そんなん言ったってずっと掃除してるだけだし、それを3年とか5年とかならわかるけどこれから何十年もそれだけって」
谷脇「、、、そんなん想像できないです」
センター長「ずっとおんなじってことはないと思うよ」
谷脇「だって僕、そんな手先が器用なわけじゃないし、得意なこともないし、そんな感じだからずっと同じ清掃の仕事するだけになるし」
谷脇「それを一生やるって変じゃないですか、だからといって転職しても同じような仕事をまたずっとやるだけ」
谷脇「それはちょっと僕にはできないと思うんで」
谷脇「ここだったら僕はちゃんと就活してたし、あの3人の中でいまちゃんと働いていけてるのも僕だけだし」
谷脇「最初はどんな雑用でもいいんです、でも講師みたいな仕事ができるようになったら、たぶん僕が一番うまくできるはずなんです」
谷脇「だからお願いします、今約束してください」
センター長「ええっと、うちは、人が必要な時には求人を出すから、その求人を出したときに谷脇が求人を見て応募してくれたらいいんじゃないかな」
谷脇「、、、それは、たまたま求人を見つけるのと変わらないじゃないですか?じゃあ元教師の人が応募してきたら僕と元教師とどっちを講師にするんですか?」
センター長「それはその時になってみないとわからないから」
谷脇「そんなんで、今の仕事頑張ろうって思えないですよ」
谷脇「3年後でも5年後でもいいんです、今約束してもらえないんなら、仕事辞めます」
センター長「えそれとこれとはちがうでしょ、仕事はやめなくていいから」
谷脇「仕事はやめます、めちゃくちゃな辞め方してこことの取引終わらせますから、そしたらPR映像も作れなくなるし、業績も落ちますよ」
センター長「わかったわかった、でもうちは荒木達がやってくれてるから、そいつらがいつ辞めるかはわかんないから約束はできない」
谷脇「なら僕が雑用やりながら営業とか頑張って仕事を増やして必要な講師の数を増やしますよ」
センター長「そんなんいわれても、、、急には」
谷脇「じゃあ辞めます」
センター長「ええっと、どのみちさ、うちで働くんだったら今谷脇が働いてる清掃会社は取引先になるわけなんだしさ」
センター長「すぐに辞めたらまずいじゃん」
谷脇「それもそうですね」
センター長「だから、ちょっと待ってくれない、そしたらなんか考えるから」
谷脇「ちょっとってどれぐらいですか」
センター長「いやそれはわかんないけど」
谷脇「2週間は働いてますから、それまでにまた連絡してください」
谷脇は勢いよく部屋を出てドアを強く閉じて、ドアの音が部屋になり響く
センター長「いつのまにあんな取引持ちかけてくるようなやつになったんだよ」
川崎パート
八百屋へ川崎に取材しにいくと川崎は前回取材したときと打って変わってめんどくさそうに仕事をしている
川崎「来週で僕が辞めるのって聞いてますよね」
川崎「まっもっいっかなって、ここ的なところで働いたこともあるんで大体わかってきたんで」
川崎は仕事に飽きてモチベーションが薄くなったようだ
八百屋からところを変えて川崎を取材しているとエリナが働いているところを発見する川崎とA
エリナは働いているときは愛想がよく普通の人だ
エリナは無職を装った不正受給者だった
川崎はエリナを問い詰める
コンビニ裏側の休憩所、あまざらしのベンチが二つその間に錆びた缶で出来た灰皿がおかれている
川崎が座って待っていると制服姿のエリナが現れる、休憩時間のようだ
エリナは笑顔で接客していた時とは打って変わってくたびれた顔で無言でベンチに座りたばこを取り出し火をつけ吹かす
川崎やAのことは無視している
川崎「働いてますよね」
エリナ「・・・」
川崎「働いてるんですね」
エリナ、たばこを深く吸い川崎に5秒近く煙を吹き付け続ける
川崎「・・・」
間
エリナ「・・・あんた、私のこと好きなんでしょ」
ところ変わって鶯谷を想起させるような雑踏でならんで歩いている川崎とエリナ
川崎「またあったりする?」
エリナ「えっなんで無職と」
川崎から別れていくエリナ、
・川崎の部屋
川崎「働くって何なんですかね」
川崎「また働こうと思います、店長にあやまったらやめなくても良いって」
萩原パート
・橋の下、(朝)
ダラダラとしている萩原
ゲンさん「おーい!」
ゲンさん、ポリタンクにガソリンを入れてやってくる
萩原「ゲンさん、それガソリンすか?」
発電機にガソリンを入れるゲンさん
萩原「給付金もないのにどうやって手に入れたんですか?」
ゲンさん「これはな、、、工場にあったよ」
萩原「工場って、ゲンさん盗みはやんないんじゃ」
ゲンさん「大丈夫、大丈夫、廃工場に捨ててあった奴だから、」
萩原「・・・」
ゲンさん「まだだいぶあったからさ、これで就活は当分は続けられるな」
ゲンさん「じゃあ魚釣ってくるから」
萩原インタビューカットイン「そんな都合のいいことがあるわけがない、あれは今思うと、きっと俺のためにゲンさんが盗んできたに違いない」
(萩原のインタビュー、途中からインタビュー音声と橋の下の映像)
萩原、パソコンを起動して開発作業をしようとするが、データがない事に気づく
萩原「あれ、おかしい開発データが、、、初期化されている」
萩原、慌てる
Bから電話がかかってくる
B「データを返してほしければ訓練校に来なさい」
・訓練校のパソコン資料室、(昼)
萩原、資料室に入るとBが待っている
B、萩原のパソコンに付けてあったパスワードが書かれた付箋紙を差し出しながら
B「ITエンジニアを目指すならセキュリティ対策はしっかりやらないと」
萩原「開発データをどこにやった」
B「お二人が留守の間にちゃんとこっちに保存させてもらいました。就職すれば返してあげます。」
B、USBメモリーを持っている
萩原「就職できればこんな苦労はしてない」
B「就職出来るでしょ、即日入社可能な提携先の企業なら」
萩原「そんな無理矢理やりたいことでもない条件も良くない企業に」
B「嫌ならハッキングでもしてデータを取り返せばいいでしょ、ITエンジニアなら」
萩原「ITエンジニアはそういう仕事じゃない」
間
B、資料を手渡す
ゲンさんが調達してくる魚についての資料だ、魚の名前は海外の名前だ
B「その○○フィッシュという魚は本来は日本にはいない魚です。」
B「外来種として駆除を自治体に要請しました。」
萩原「そ、そんな、食べるものがなくなってしまう」
B「今日から3日目の夕方に私が魚の生息地に業者を案内する手はずになってますが、それまでに内定して働く意思を示せば、今回は特別に見逃してあげます。」
B「萩原さん、よく考えてくださいね。私はライフプランニングのパートナーですから」
B去る
・橋の下、(夕方)
Bの通告1日目、萩原はダラダラしている
ゲンさん「あれ、今日はもう開発しないのか?まあ夕方だしな」
間
萩原「ゲンさん、そのガソリン元あった場所に返していいっすよ」
ゲンさん「いや盗んだやつじゃないから」
間
萩原「ゲンさん、俺、就活辞めようかなって」
ゲンさん「はあ、何言ってんだよ、お前がとっととITエンジニアになれなきゃ俺との契約はどうなるんだよ」
萩原「やっぱ、ITエンジニアってちゃんとしたネット環境の人じゃないと」
ゲンさん「ばかやろう!」
ゲンさん「おまえ、俺がどんな気持ちでいままで、お前そんなことで諦められるのかよ」
ゲンさん「お前ひとりの夢じゃないんだぞ」
・橋の下、いけすの場所(夜)
橋の下の近く、川沿いにロープスティックとオレンジネットフェンスでいけすが作られている
いけすを眺めているゲンさん、萩原がやってくる
萩原「ゲンさん、起きてる?その魚が」
ゲンさん「うるせーよ、お前みたいなやつなんて嫌いだ」
萩原「違うって、就職しないと魚を駆除するって」
ゲンさん「へ、」
萩原「なんか俺がずっと就職しないのを業者の人が許せないらしくて、それであの魚は外来種だから就職しないと駆除するって脅されて」
ゲンさん「じゃあお前、俺がメダカとか普通にいる魚育ててたらそんな風にはならなかったのかよ」
・訓練校の掲示板、(昼)
Bの通告2日目、
萩原、即日入社可能な企業の資料と、Bの魚の資料を見比べている
萩原「ゲンさんはガソリンが廃工場にあったって言ってたけど」
萩原「そんな都合のいいことがあるわけがない、あれは、きっと俺のためにゲンさんが盗んできたに違いない」
萩原「サバイバル素人の俺でもそんなことはわかりますよ」
萩原、即日入社可能な提携企業の資料を受付に提出する
・橋の下、(夜)
ゲンさん寝ている
萩原「ゲンさん、今日すぐに入れる会社選んだからさ、」
ゲンさん「・・・」
萩原「明日面接だから、そこは誰でも絶対内定でるからさ」
間
ゲンさん「おまえ、また変なITエンジニアの話すんなよ」
萩原「しない、」
・即日入社可能な会社の前、(朝)
スーツを着ている萩原、カバンをのぞき込んだり荷物を探している
萩原「やば、履歴書忘れた、」
萩原「戻ってる時間もない」
うろたえている萩原
待ち合わせ約束の時間の10時になると勢いよくドアが開く
田中「萩原さん?どうぞー」
・即日入社可能な会社の中、(朝)
プレハブのような簡素なつくりのオフィスで面接を行う萩原と面接官の田中
その部屋には忙しそうに作業をしている女性の事務員が一人いる
田中「今日は本当に来てくれてありがとうございます、田中と申します」
田中「うちは若い人、大歓迎だからさ」
田中「これ仕事の資料なんだけど、資料とかどうでもよくてさ」
田中「どう?入れそう?」
萩原「えっそれは入りたいっすけど」
田中、萩原の肩に手をおいて
田中「採用」
萩原「いや僕、今日、その履歴書忘れて」
田中「履歴書とかどうでもいいって、」
事務員「田中さん、PJワークス」
事務員が面接中にもかかわらず電話を田中さんに引き継ぐ
田中「ごめんね」
田中は電話に対応する
田中「もしもし、いつもお世話になっています~(仕事の会話を続ける)」
萩原、Aに向かって
萩原「なんか履歴書なくても行けそうです」
田中、電話を片手に
田中「ごめんちょっと現場対応してくるから待っといて」
・即日入社可能な会社、(昼)
13時頃を示す時計がカメラに映る
事務員「なんかボーっとしてるけどさ、なんもしてないんだったらちょっと手伝ってくんない?」
事務員、ぼーっとしている萩原に声をかける
萩原「あ、すいません」
事務員「これシュレッダーかけといて」
萩原、事務員の作業を手伝う
萩原、やり方がわからずに戸惑っている
事務員「明日から入るんでしょ」
萩原「いやまだ面接の途中で」
事務員「え、なに?」
萩原「あっすいません」
・即日入社可能な会社、(午後)
事務員は寝ている、萩原は起こさないように小声でBへ電話をかける
萩原「その、面接には受かりそうなんですけど、その面接官がいなくなって、まだ面接が終わってなくて」
B「またわけのわからないことを」
萩原「いやほんとなんですって、もう採用って言われたんで」
B「書類を時間通りに訓練校に届けてもらえれば約束どうり駆除はしませんから」
萩原「いやだから書類は遅れるかもしれなくて、でも採用されてますから」
B「書類がとどかないならどうしようもないですからね、、、」
B電話を切る
・即日入社可能な会社、(夕方)
事務員が電話でおしゃべりをしている
萩原「あの、面接官の方はいつ頃戻ってくるんですか?」
事務員、おしゃべり電話をしている
萩原「すいません、ごめんください」
事務員、おしゃべり電話をしている
萩原、Aに向かって
萩原「どうなってんだよクソ、ゲンさんに連絡することもできない」
事務員「えっなに?」
萩原「すいません、面接官の方っていつ戻るんですか?内定したときの書類とか早く訓練校に提出しないといけなくて」
事務員「大丈夫、大丈夫、もう戻るから」
事務員、おしゃべり電話に戻る
萩原「時間が」
時計が夕方頃の時間を指している様子がカメラに映る
萩原、Aに向かって
萩原「ちょっと先に戻ってこの状況をゲンさんに伝えてくれ」
・Aが移動している様子が撮影されている
パターン、走って移動したり、バスが走っている間の窓から見える風景を撮影している
・橋の下、いけすの場所、(夕方)
Aは走りながら、いけすの場所にたどり着くと
業者3名を引き連れたBがゲンさんと対峙している
業者の中には新人の谷脇もいる、業者は魚の駆除の為に網や銛などの装備をしている
清掃業者の三人は全員眼鏡を掛けている
ゲンさん「なんなんだお前らは?」
B、業者に向かって
B「あの人が外来種を養殖してるんです、あの場所に魚が」
業者達、いけすに向かっていく
業者①「すいません、ちょっと確認させてもらいますね」
業者②「見させてもらうだけですからね」
ゲンさん「お前らやめろ」
業者と取っ組み合うゲンさん
ゲンさん「萩原は、就職したんじゃなかったのか、約束が違うぞ」
B「萩原さんは就職できてませんよ、約束を破ったのはそちらです」
ゲンさん「こいつ、なんだ」
業者②「新人、おまえは下がってろ」
谷脇、後ろに下がり緊迫している
業者①「いい加減にしろ」
業者①、ゲンさんを羽交い絞めにする
業者②と谷脇がいけすに進む
業者②、網で魚をすくいあげようとする
谷脇、銛で魚を付こうとする
ゲンさん「やめろおおー!!」
カット切り替わり、
業者②、魚を捕まえて魚種を確認して
業者②「外来種だー」
業者①「殺せ!」
谷脇なりに銛で魚をついて殺そうとしているが腰が入っていない
業者②「おい、なにやってんだバカ、ちんたらすんな」
業者②、谷脇から銛を奪い取り、魚を殺そうとする
業者②動作に腰が入っている
ゲンさん「うおおおお!」
ゲンさん業者①を振りほどき、業者②に体当たりし川へ落とす
業者②「うわあああ」
業者①「1人やりやがった、ちっきしょう」
業者①ゲンさんと取っ組み合う
ゲンさん「力じゃ負けねえ」
ゲンさん、業者を投げとばそうとするが
業者①「これ以上やらせるか」
業者、ゲンさんを道連れにして自分ごと川に落ちる
業者②、川の中でじたばたしながら谷脇に向かって
業者②「新人、もういい柵を壊せ放流しろ」
谷脇、動揺する
ゲンさん「待てえええ」
ゲンさん、川から出て谷脇を止めようとするが業者が川へ引きずり込む
業者②「いかせるか」
谷脇、もたつきながらもいけすを徐々に壊し始める
ゲンさん「止まれえええ」
谷脇、少しづつ容量を掴んで、ポールを引き抜く力加減を理解していく
萩原、到着する
萩原「魚はやめてくれー、就職したんだ、もう就職したんだ」
柵が壊れ、魚が放流される
サッカーの試合で負けた選手のようにうなだれているゲンさんと萩原
業者①と業者②はゲンさんを川からひきずりあげ保護する
・川沿い、(昼)
魚を放流した後
谷脇、業者①、業者②インタビューを受けている
後ろでゲンさんがうなだれている
業者②「こういうこともこの仕事やってたらたまにあるんですけど」
業者②「まあなんでも、経験ですから」
業者①「谷脇もめちゃくちゃ活躍してくれたんで」
谷脇「いや、でも僕、パニックでうまく動けませんでしたし」
業者①「いや全然よかったよ、あれは3人いないときつかった」
谷脇「その、自分でもせいいっぱいで、何が何だか」
業者②「いつもはさ教える為に現場連れていってるけどさ、今日のおまえはエースだったよ、」
・八百屋、(昼)
川崎が板前の恰好で駆除した魚をさばこうとするがうまくできない
川崎「ちょっとできると思ったんすけど、やっぱ無理っす」
川崎、はにかんでいる
店主の笑い声
八百屋の店主「そんな服まで用意して、やりたいっていってきたのに、出来ないのかよ」
川崎、はにかんでいる
八百屋の店主、Aに向かって
八百屋の店主「魚ありがとう」
・場所未定、(昼)
Bがインタビューを受けている
Bははにかむような笑顔を時折する
B「萩原さんの返金が今月から始まります。」
B「きっちり働いてお金をを返してもらえば、それがまた誰かのチャンスに繫がっていきますから」
間
B「申し訳ない気持ちがないわけではないんですが、私も奨学金返納の仕事やってますから、回収にもノルマがあって、今月は本当にピンチだったんです。」
チャプター5 PR映像のまとめ
・センター長の部屋、(昼)
センター長がビデオのまとめのような話をしている、PR映像風の映像に切り替わっていく
~BGM開始~超カナダッシュ、1分前後
谷脇、清掃員として働いている映像
萩原、オフィスで働いている映像
川崎、八百屋で働いている映像
3つで10秒~15秒ほど
アニメーション挿入15秒ほど
川崎の訓練校についてのインタビューや、働いていることに対するインタビューが始まる、15秒秒ほど
センター長「(みんながなんだかんだ就職しているみたいな結果の良いところだけを言っている)」15秒ほど
最後にロゴや組織のタイトルのようなもの
・訓練校のグラウンド、(昼)
訓練校のグランドで講師と生徒とセンター長が集合写真のように集まって撮影している
みんなアクションが入る前は何とも言えない表情をしているがAがアクションをかけると前向きな顔をしてカメラにむかって決め台詞を言う
谷脇、萩原、川崎
3人のガッツポーズを撮影する
・場所未定、(昼)
ゲンさんは清掃員の作業着を着て谷脇と一緒に仲良く作業している
業者①「ゲンさんはうちで保護しました、あの一件で外来種の仕事の実績が出来て仕事も増えていくんで社長がそうしろって」
業者②「ゲンさんけっこうおもしろくて、なんか谷脇とも仲いいんで、けっこういいっすよね」
業者①「あとゲンさん、生き物についてなんか詳しいですからね、仕事も結構頼りになるっすよ」
ゲンさんが谷脇にいたずらをして逃げている
谷脇「眼鏡返して、眼鏡返して」
ゲンさん「ほらほらこっちこっち」
カット代わり、
ゲンさんのみのインタビュー
谷脇の眼鏡を掛けているゲンさん
ゲンさん「まあ、俺の手にかかれば、職場になじむのなんて余裕っすよ、」
ゲンさん「きっかけがなかったんだ、きっときっかけが」
ゲンさん「最近の若者は萩原と言い、谷脇と言い、なんか一生懸命だよな」
ゲンさん「まあそれだけじゃダメだな、容量と愛嬌も大事だから」
谷脇「眼鏡返して、眼鏡」
谷脇が追いかけてくる
ゲンさん「萩原にもよろしくいっといてくれ」
ゲンさん谷脇に眼鏡を返す
・即日入社可能な会社、(昼)
萩原、インタビューを受けている
シュレッダーで書類を廃棄しながら
萩原「就職はしたんですけど、やりたいことではないですし、やっぱり給料も低いですから奨学金の返済でなにも残りません」
萩原「でも今は、仕事があるんで、今はこの仕事に打ち込みます」
萩原「そうすればなにか特別なチャレンジをしたい人がこの仕事をしないで済むじゃないですか」
萩原「アイディアはあるんです、なんかすごいことをやれるような気はするんです」
萩原「だから」
事務所に電話がかかり、事務員の女性が萩原に引き継ぐ
事務員「萩原君、○○興業」
萩原、電話を取り、挨拶し会話する
萩原、Aに向かって
萩原「すいません、現場対応してきます」
萩原「行ってきまーす」
萩原、現場へ向かう
事務員、萩原の作業スペースに近づいてきて、散らかった書類を整理しているとAに気づいて
事務員「片付けてから行ってほしいですよね」
窓の外にカメラを向けるとダッシュしている萩原が映る
※チャプターの移り変わりに適宜、Aのモノローグを挿入する、モノローグは撮影後の編集段階でも設定可
エンドロール