序章
世界は連なる螺旋の輪のように。
それは触れることなく、交わることなく存在した。
『人間達が己が知で造り上げた世界』
『妖精や幻獣や、永遠なる者の不可視の力が溢れる世界』
『獣達や巨大な生物達、武を尊ぶ者達が覇権を争う世界』
まだ幾つもあるそんな世界と。そして――、
『混沌と闇の世界』
だだそれだけは、どの世界とも直ぐ間近にあるもの。並び連なる世界の、その隙間を埋める為の液体の様に。
長い時の中では、閉じられた世界にも綻びは生じる。
小さなものから大きなものまで。亀裂のような、穿たれた穴のような。
それは本来交わらないはずの世界と世界を繋ぐもの。行き交うはずのないものが出会ってしまう偶然。
今から語るのは、
それは、あるひとつの世界の話。
―――いや、正確には違う。
そのひとつの世界と隣り合っていたふたつの世界が、あるきっかけで<大崩壊>を起こした。
両隣から浸透するように真ん中の世界へと様々なものが流れ込み、そして再び世界は何事もなく閉じた。
本来あったものとは大きく様変わりしてしまった、その真ん中の世界。
『ヴェルトアーデン』と呼ばれる世界がこの話の舞台。
<大崩壊>から五百年。
北から南にまで横たわる、この世界で一番大きな大陸ヨルズ。その北西に位置する広大な森林地帯『黒き森』
その森に住む少女。それが話の始まり。
変貌を遂げてしまった世界で少女がその真実にたどり着くまでの―――。
やりたかった王道です。
続くのか、続けれるのか・・・!
・・・がんばります(笑