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淡彩に轍/詩集その2

次の時代

作者: 浅黄 悠

505号室から昨日出払った住人がいたそうだ

都会の下町にあるアパートで

埃に塗れて生きるのなんか今だけだと

飲み慣れない強いアルコールをプライドの為に呷る

有名になれなけりゃ死んでいるも同然だと

焼ける喉のままに友人に啖呵を切った

そんな姿を見なくなっていた


アパートの窓から外を眺めた

何年も干し竿にハンガーをかけていたけど

草臥れたTシャツが空に泳ぐのを見るのも

もう片手で数えるくらいだろう

そう、僕も諦めた

心だけが青年のままで生きる僕にも嫌気がさしたのだ

引っ越し先は東京郊外の垢ぬけたマンション

それはあのころの友人がいつか住みたかった場所なのかもしれない


画板を抱えた小学生が走る

廃品回収のトラックがブラウン管テレビを乗せて回る

大都会の上に溜まるスモッグが

そこにいる住人の尽きない悩みのように見えた

けれどそれもいつか涙も激情も届かない彼方へ押し流される


彼は知らない

新しい505号室の住人がギターと共に抱く前途のラフスケッチを


夢を見られない時代なのではなく

夢を見ない人のいる時代

本文前に「平成が終わったGWから」と書いてありました。

確か書いてみたら平成どころか昭和っぽくなってしまったために没にした気がします。そのため、少しだけ手を入れました。

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