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第2話 元孤児院買いました

ブクマなどありがとうございます。

凄く励みになります。

 


 元孤児院はつつがなく買えた。


 僕は荷物を纏めて早速町を出る。

 そう言えば、あれからあいつらにあってないな……



 道中も特に問題は無かった。

 馬車を借りられなかったため歩きになってしまったが、十歳のころから冒険者をやってきたのだ。今が十五歳だから五年か。この程度は苦ではない。

 持ってきたのは最低限の着替え、調理に使う調味料や器具、回復薬などの薬に武器だ。

 大きめのリュックに入れているがこの状態はやはり動きづらい。

 このリュックは僕が冒険するときに毎回持っているものだ。

 大荷物を保管しながら戦っていただけでも褒めて欲しかったところだが今更の話だな。


 ちなみに武器と言っても持ってきているのは短剣を二本とスリングショットだ。

 僕はギルドでお世話になっていたころに色々な技術を叩き込まれてきたので大抵の武器は使える。

 まぁ、使えると言うだけでその道のプロなんかには遠く及ばない、基礎を押さえているだけだ。

  

 この短剣も薬草などを採取したりするのが主な使い道だ。

 スリングショットは投石器の一種なのだが、弓と違い、矢を用意する必要がない。

 石はその辺に落ちているもので代用できるため、お手軽な遠距離武器として重宝している。 


 魔物との戦闘を懸念していたが、街道沿いを歩いたためか、そこまで魔物にも会うことは無かった。

 大体二週間くらいか、いよいよゲーニッヒ森林のふもとまでやってきた。


 二週間分の食事は現地調達で済ませた。

 幼いころから師匠に教えられたり、冒険者ギルドにある本を読んだり、現役冒険者の話を聞いてきた僕は食べられる草や魔物、その調理方法まで割と知っている。

 調理は僕の担当だったので、調理道具も僕が持っている。

 だから一人分の食事を用意することはさほど難しくないのだ。



 ◇◆◇



「ここがゲーニッヒ森林……」


 冒険者をやっているときに来たことは無い。

 森の浅い部分は何も旨味が無く、少し深くに行くと遭難の可能性があるとなると、わざわざ行こうとは思わないだろう。


 早速、森の中に入って行く。

 くっ、なかなか草が多いな。

 自前の短剣で草を除けながら進んでいく。


「ここか……話では最低限の手入れはしていると言ってたけどこれは嘘だな」


 地図に書いてある場所に向かうと少し拓いた場所に建物と呼んでいいのかすら疑ってしまうほど自然と同化した建造物があった。


 周りは蔦に絡まれており、窓も枝により外から突き破られていた。

 地面からは大きな根が見えており、建物の土台部分もやられてしまったのではと思うほどである。


「これを売り物として出したらそりゃ売れないだろうな」


 この家を売ることはすなわち自分の家で不要になったボロボロの家具を売りに出すようなもの。

 普通なら逆にお金を払って処理してもらわなければならない代物だ。


 だが、僕はこの家を見てがっかりしたわけでは無い。

 少し想像より酷かったがこんな感じだとは思っていたし、あまり気にすることでもない。


 後のことは中に入ってから考えよう。

 これからここを拠点にするためにも一先ずの生活スペースを確保したい。


「入口も辛うじて分かるレベルだな……」


 壊れすぎていてどこが入口か分からないが、一際大きな穴がある。

 ここが入口だったのだろう。


 凹凸の激しい地面を歩き、入口から中に入る。




「なっ!」


 ガキィィィィン!!


 一瞬だった。

 孤児院に入った瞬間、視界の端で何かが煌めいた。

 それを確認しようと身体を向けた瞬間身体に鈍い衝撃が走った。


 魔物か!?

 くそっ、油断した!


 僕は倒れながらも自分の状態を確かめる。

 傷は……ない。

 だが上着のポケットのところが破れていた。

 そこはちょうど硬貨を入れているところだった。


 次いで前を見る。

 そこには布切れが落ちていた。


(いや、あれは人か?)


 かなりボロボロだがローブを纏っている人に見えなくもない。

 うつ伏せに倒れておりその顔は見えないがその先にナイフのようなものが落ちていることからもさっきの襲撃がこいつによるものだと分かる。

 今の一撃は危なかった。見る限りナイフはかなり刃こぼれしている。

 それとプラスしてたまたま硬貨の入っている場所だったから良かったものの、少しずれていたら深手を負っていただろう。


(それにしてもこいつ何者だ?)


 僕は自慢できないが強くない。

 だからこそ危険察知には一日の長がある。

 冒険者稼業では危険を察知しないと死ぬからだ。


 当然さっきも無意識下で警戒はしていた。

 だがこいつの接近は間近になるまで気付かなかった。

 ここらをアジトにしている賊だろうか。


 今倒れているのもフェイクかもしれない。

 ここは慎重に行動しないと。

 ん?他にも気配が……


「みんなーファナちゃんを守れー」


 僕が気配を察知したと同時に声が聞こえる。

 この場にふさわしくない間の抜けた声だった。


 声と同時に三人のこれまたボロボロの服を纏った人が襲って来る。

 どうやら三人とも女性のようだ。


 最初こそ警戒したがその動きは素人そのもの。

 そもそも攻撃手段が木の枝である。

 その様は子供が冒険者ごっこをしているような感じだ。


 ていうか、一人ファナちゃんとか言われた子を守るためなのか倒れてる子に覆いかぶさっているだけだし。

 どうしようかと思ったがこれ以上暴れられても嫌なので取り押さえることにした。


 僕は何とも言えない気分になりながら目の前で木の棒を振り回してる紅色の髪を持った女の子にチョップを入れるのだった。




ヒロインに襲われました。

ライアスは先客たちをどうするのか


次回、先客たちとの話し合い

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