夏を楽しむ少女4
午後からは海で遊ぶと言うよりも、浜辺で日光浴をという感じになりました。
午前中に遊び疲れたのと休憩を兼ねて一息つきます。
「今日は久しぶりに騒ぎましたね。」
「つい張り切ってしまったけど、こうやって体の羽を伸ばすのは楽しいわー!」
「たまにはいいわね。」
お姉さまたちは思いふけっているようでした。
それに対して私たちはちょこちょこ休みながら、もう一度砂のお城を作っていました。
レオナちゃんは魔法を使って共有はしていないので、簡単な部分だけをお願いしました。
「リーナお姉ちゃん、ここ手伝って!」
「分かりました。ここを作ったら手伝いますね。」
「お水持ってきましたよ。」
子供に戻った気持ちで、和気あいあいとしながら作っていきました。
そうして、時間を忘れたように作った結果、完成したころには夕焼け空が広がっていました。
「そろそろお開きにしましょうか。」
「そうですね。暗くなる前に戻りましょうか。」
辺りには人も少なくなっていました。
海の色は夕焼けに染まり、そろそろ帰らなければ辺りが暗くなってしまうでしょう。
パラソルやビニールシートなど持ってきたものを片付け、みんなの準備が終われば帰路を歩きます。
宿泊施設に戻ればシャワーをちょっとだけ浴びて、すぐに部屋を出ます。
これから食事をとりに街中へ向かうそうです。
他国の文化に触れあい、交流を深めると言う部活動の一環として向かいます。
しかし、これはもちろん言い訳で、実際にはただ食事をとりに行くだけです。
会長さんとしては、今回の旅行のすべてに何らかの理由を付けて全て部活動の一環として、部費に落としたいそうです。
会長さんのお家がお金に困っているという話は聞いたことが無かったので、もしかしたら本当は困っているかと今回の旅行で負担する金額全て私が言いだすと言ったら、笑われてしまいました。
どうやら、会長さんはお金に困っているとかではなく、卒業した後を見据えて、交渉術、話術を向上させるために勉強としてこのようなことをしていたそうです。
社会に出てみれば、自分の利益以外何も考えていない人が多くいます。
そう言った人たちは、自分の利益を見えないように言葉巧みに他の主張を織り交ぜる事で意見を通させて、本命を取りに行くのです。
今回で言えば、ただ楽しい夏を過ごしたいという意見を部活動の一環という言葉に隠すことで成功させています。
こういった事は社会に出れば当たり前に起きます。
だからこそ、社会に出て一本取られないようにするためにも必要な事だったのです。
このような所に気づけなかった私はまだ未熟です。
「リーナ、行きますよ。」
「今行きます!」
水着で出かける訳にはいかないので、朝着ていたものを着て出かけます。
みんなが揃うと、会長さんを筆頭に歩いて行きます。
歩き始めは辺りは暗くなり、多少怖くも感じますが、街の中心に近づくにつれお店が増えて灯りが眩しいほどに光ります。
歩いている人達も増えかなり賑わっているところまで来ました。
今日は特定のお店でお食事をするのではなく、立ち食いできる物を買っていくとのことです。
「食べたいものがあれば、遠慮しなくていいからね。」
どこもかしこもお祭りのように盛り上がり、私たちも心が高揚します。
でも、お姉さまの前ではしたないことはしたくないので心の中に留めておきます。
「リーナちゃん、一緒にあれ食べない?」
「いいですよ。お姉さまもいかがですか?」
「そうね、私も行こうかしら。」
同じものを買ったり、味を変えた物を買ってみんなでシェアしたりと楽しみました。
王室では食べれない数々の料理は美味しさに反してかなり控えた値段になって驚きましたが、レオナちゃん達には当たり前の事だったらしく笑われてしまいました。
特に歳の離れたミワちゃんに笑われたのは恥ずかしかったです。
自分はなんでも知っているとは言いませんが、それなりに勉強した身です。
ゆえに笑われると言うのはちょっとだけ羞恥心と言い表せない感情が湧いてきます。
「そろそろかしら?みんな、少し移動しますよ!」
会長さんが集合をかけてたのでみんなが集まる。
みんなと行きたい場所があるとのことで、何も言わずついていくことにしました。
会長さんの後をついていくのですが、進むにつれてどんどん人が増えて行き、迷子になりそうです。
「リーナ、手を。」
そう言われた瞬間右手を掴まれました。
その温もりは忘れるはずがないお姉さまのもの。
あと少しでみんなと離れそうになる所を助けられました。
「お姉さま、ありがとう、ございました////」
「みんなと逸れたら困るものね。それに、私はあなたのお姉さんなんでしょ?」
「/////」
お姉さまからそのような言葉を言われるととても胸が苦しくなります。
心臓を射抜かれたような苦しみと加速する心臓の鼓動が徐々に増していきます。
「みんな、もう少しよ!」
その声を聞くと止まっていた時間が動き出すように周りの人混みが視界に入ってきます。
先程の言葉は一生忘れないと心に誓いながらお姉さまの手を絡めるように握り返して一緒に歩いていきます。
前に前にと進んでいくと先ほどとは違って人が減ってきました。
屋台の数も減ってきてお祭りの端っこに来たみたいでした。
それでもまだまだ進み、とある場所につきました。
「ここからならよく見えそうじゃない?」
小さな公園のような場所でそこから下を見下ろせば先ほどまでいた賑やかな街が見えます。
「みんな、準備をしててね。今からすごいものが見れるわよ!」
そう言うと、みんながベンチに座り緊張したように動かなくなります。
誰も喋らなくなると、遠くの方からひゅーと、何か光るものが打ち上げられました。
それは最高地点まで上がると、爆発と共に火花が大きく広がり大きな芸術作品ができます。
「うわぁー、綺麗!」
「打ち上げ花火だ!」
みんな口々に言葉が漏れてしまいます。
私も綺麗と一言こぼしてしまいました。
誰が見ても第一に出るのは決まっていると言ってしまえるほどその花火私たちの心を掴み、見入ってしまいます。
最初は言葉が出ていても途中から喋らなくなり、ついつい見ることに全力になってしまいます。
そんな景色を数十分見ていくと締めに差し掛かり、一段と大きな乱れ桜の様な花火が打ち上がりました。
その花火はゆっくりと火が消えていくので、その余韻を楽しみながら締めくくりました。
「凄く綺麗で美しい花火でしたね。」
「職人の技って感じがしていい経験になったわ。」
「確かにそうですね。」
流石お姉さま。
私とは目の付け所が違います!
「会長、どうしてこの場所を知ってたんですか?」
「偶然優しい方に教えてもらったの。しかもね、ここの花火は突然打ち上げられることで有名らしいんだけど、その人から打ち上げの時間帯まで教えてもらえたの。なんでもその人は今日の花火を打ち上げる係の方らしくて観光の記念にって教えてくれたの。」
何という強運かまさかそのようなことが起きていたとは知らずびっくりです。
こうしてお姉さまのお隣で一緒に花火を見れた事は愛だけでなく運のおかげだと思うと本当に運命を感じます。
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