すれ違う少女3
「あ!!リーナちゃん、どうだった!?」
私を見つけるなり、レオナちゃんが飛びついてくる。
いきなり抱きつかれて少し驚いたけど、すぐに冷静さを取り戻す。
レオナちゃんを一旦なだめ、教室の席に座らせる。
「レオナちゃん、落ち着きましたか?」
「うん、ごめんね。取り乱しちゃった。」
今さっきまでとは全然違い、落ち着きを取り戻していた。
「そ、それで、マリア会長は……どうだったの?」
「実はまだ会えていないんだす。ただし、」
「ただし!?」
「お姉さまによるとマリア会長は怒ってないらしいですし、嫌われてないらしいですよ?」
「そ、そうなんだ!」
ほっと息をつき、肩の荷が落ちたように見えた。
「マリア会長は、レオナちゃんに嫌われているのか気になっていたらしいです。」
「私がマリア会長を嫌うことなんてないよ!?」
「しかし、今までの行動が、そう思わざるを得なかったらしいです。お姉さまも、私のようにマリア会長から相談されていたらしいです。ですので、先ほどあった時に教えてもらえました。」
「そんな…。私があんな行動をしたせいで、マリア会長はそう思っていたなんて…‥。」
私はそっとレオナちゃんの肩に手を添える。
そして、レオナちゃんが欲しい言葉を与える。
「先ほど、お姉さまも状況を理解したので、マリア会長にお話ししておくと言ってくれました。ですので、今頃会長も分かってくれていると思います。」
「そ、そうなんだ。でも、……。」
「大丈夫です。今すぐ謝りに行けば信じてくれますよ。それに、嫌われたわけではないんです。ちゃんと話を聞いてくれるはずです。」
「そう……だよね。」
背中が軽くなったレオナちゃんは教室を飛び出していった。
今すぐ会いに行きたい。
そんな気持ちがあふれ出ている。
「いいな。」
そんな姿を見てこぼれてしまった。
私も、レオナちゃんのように行動できたらどれだけよかったか。
「お姉ちゃんに会いたいよ。」
今すぐに会いたい。
私も今すぐ会いたい。
置いてきてしまったお姉ちゃんに会いたい。
「元気でやっているかな?」
教室の窓から空の様子をうかがう。
快晴。
雲を見つけるのが一苦労な。
そんな空が羨ましかった。
―――――――――――――――――――――――――――
「サ、サナちゃん!!」
私が来るなり、会長は席を立ちかけ寄ってくる。
両手を握られ、もう少しでキスされるんじゃないかと思うぐらいの距離。
「か、会長!?」
勢いに負け仰け反ってしまった体を戻しながら会長を落ち着かせる。
「ご、ごめんなさい。」
「大丈夫です。」
そして、一旦席に着くように促す。
机を挟んで正面に座る。
「率直に言いますね。」
「えぇ、お願い。」
「レオナちゃんですが、会長の事」
「私の事を!?」
この感じ苦手だわ。
何故か変に急かされているようで、さらに、溜めを作っている感じがまるで私が意地悪しているみたいで苦手。
「嫌っていませんでしたよ。」
「そ、そうなの!?それは本当なの!?」
「はい。……といっても、私はリーナから聞いただけですが。」
「それじゃあ、 私のために優しい嘘をついたのかも……!?」
何でそうなるんですか。
リーナはそんなこと言いませんよ。
たまに嘘をつくことはありますが、重要な事では冗談を言ったりしませんよ。
……でも、あの時、傷がないかチェックすると言いながらセクハラしてきたような?
あれ?
もしかして、リーナはそんなことないかも?
いえ、私が信じてあげないといけないわ。
あれだけ私の事信用してくれているリーナを疑うなんてしてはいけないわ。
大丈夫、リーナを信じましょう。
大丈夫なのよね、リーナ。
ね?ね?
リーナを信じることにして会長に向き直る。
大丈夫なはずだから、ちゃんと否定する。
「だ、大丈夫……です。リーナが、嘘つくはず、無い、ですよ?あの子は、責任ある行動を、する、はずですよ?」
「サナちゃん、目がうろちょろしてるわよ!?ほ、本当に大丈夫なの!?」
ごめんなさい、リーナ。
会長の目を見ながら言うことはできなかったわ。
こんなお姉ちゃんでごめんなさい。
「ともかく、リーナが言った以上私は信じます。その責任は取りませんが。」
「そ、そんな……。」
「それよりもです。問題はレオナちゃんです。レオナちゃん自信は会長に嫌われていないか心配していたそうです。」
「レオナちゃんが!?そんな、どうして……。」
「リーナの話によると、これまでの行動は本当に照れ隠しだったようです。ですので、レオナちゃんからしてみれば、酷いことをしていたと思い込んでいて心配しているそうです。」
「そ、そんな…。私からちゃんと向き合わなかったせいで、レオナちゃんの方までそう思っていたなんて。」
確かに、お互いに話す機会があればすれ違わずに済んでいたかもしれない。
会長はこれまでこんなことが無かったから、どうすればよかったのか分からなかったんだと思う。
その結果がこれだけれど。
「そこでいいニュースがあります。」
「そ、それは!?」
「リーナの方もレオナちゃんに会長は嫌っていないと説明に行っています。」
「それは有り難いわ!これで、またお話が出来るわ!!」
会長は勢い良く席を立ち、両手を顔の前に持ってきて懇願する。
それほど嬉しい情報だったのだろう。
けれど、
「本当でしょうか。本人同士が話し合ったわけではないですし、いまだに疑っているかもしれませんよ?」
「確かに、そうかもしれないわ。」
「ですので、今から会いに行ってみてはどうですか?」
「で、でも、サナちゃんが言ったことが本当なら、会ってくれないかも‥‥」
会長の反応が手に取るように分かる。
やっぱり心配になりますよね。
きっとレオナちゃんも同じ気持ちのはず。
「そんなことありません。今だからこそ会ってくれますよ。何せ、さっきの話が本当なのか気になっているはずです。そこで本人の口から聞けるとなると会ってくれるはずです。」
「…そうね。……そうよね。」
「ですので、そこでちゃんと言ってあげてください。嫌いなわけないと。……その一言言われるだけで、嬉しいはずです。」
「ありがとう、サナちゃん。」
「いえいえ。‥…私の事はいいので早く行ってください。今なら、2人の教室にまだいるはずですから。」
「えぇ、言ってくるわね。」
「すれ違わないように気を付けてくださいね。」
私の言葉を聞くや否や行ってしまった。
流石に走ったりはしないが、それでも急ぎ足だった。
やっぱり、年下の子を心配してしまうのは年上の悪い所なのだろうか。
もう大人のはずなのに心配してしまう。
けれど、それはただ単に私たちが大人に慣れていたいだけかもしれない。
けれどそれは、大人に慣れていないのではなく、子供の心を忘れていないという屁理屈かもしれない。
私はどうかしら?
心は子供のままなのだろうか?
「そろそろ、過保護から卒業しないといけないわね。」
生徒会室の窓から見える外は満面の快晴。
暗闇を引き付けない大空。
あの空は、いつまで青いままなのだろうか?
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