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王女だってお姉さまを好きになる  作者: 雪の降る冬
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走り出す少女5~~お姉ちゃん視点~~

気づけば、知らない場所に寝ていた。

体を起こして周りを見てみたけど、何もない真っ白な空間だった。


「ここは‥‥。それに、どうして私は。」


思い出そうとしたけど、最近の事だけよく思い出せない。

つい最近、リーナが王宮で事件を起こしたことは覚えているのに、その後の事は黒いもやがかかって思い出せない。


「あなたは、サナ・ラインハルトさんですね。」

「はい。でも、どうして私の名前を?どこかでお会いしたかしら?」

「そうですね、一応初めて、でしょうか。」


声のする方を向くと、知らない女の子が立っていた。

そして、私の問いには歯切れの悪い返答。

まるで、何か言いにくいことを遠ざけているよう。


「実は、あなたに頼み事をしに来ました。」

「頼み事?……それは一体?」

「実は私には姉がいるのです。ですが、少し失敗してしまったのです。だから、その失敗を最低限に収めてほしいのです。」

「私が、あなたのお姉さんの失敗を?……ですが、私はあなたの事もあの他のお姉さんの事も知らない身でして……。」


初めて会うのに、このような頼みごとをされても困る。私はそれほど優れているわけではない。だからこそ、このようなことをさらには初めて会う人に頼まれても無理だ。



「無理にお願いしているのは承知です。‥…ですが、あなたのお友達のリーナさんにも関係している事なんです。」

「リーナ、にも?‥‥それは一体……。」

「まずは今までの記憶を完全に思い出せてください。そうすれば、私の言っていることの意味が分かってくると思います。」

「私の、記憶?…‥っ!?‥…あっ…頭がっ!?」


頭の痛みと引き換えに記憶の中のもやが徐々に消えていく。

そして、盗賊たちに襲われたこと、そこで色々なことをされ、さらには、リーナが壊れてしまい()()()をしてしまった事。そして、殺された一人に()()()()()()()()


「はっ…‥はぁ…はぁ‥…。」

「どうですか?思い出しましたか?」


それにしても、忘れていたものを思い出すときにこれほどまでに脳に刺激を与えられるとは思わなかった。殺された時の感触まで戻ってきて、立っているのがしんどいくらいだ。


「はい。思い出しました。でも……どうして、私はここに…。」

「ここは、死んだ人が天界に向かう道の途中です。」

「という事は、私はこの後、あの世に行くという事ですか?」

「そうですね‥‥もし、私の頼みごとを聞いてくれれば元の世界に戻れます。」

「でも、そんな事が出来るのですか?」


まるで自分が神様だと言うような言い方だった。それにしても、死んだ後に天界に行くのもそうだが、あの世という存在がある事に驚いた。そういう迷信めいたものは信じないタイプなので正直体験できて楽しいと思うぐらいだった。


「さすがに、天界に行ってしまっては無理ですが、ここに居る限りは間に合います。」

「なら、もう一度リーナと会えるんですね!!」

「はい。ですが、私の頼みごとを聞いてくれたら、ですが。‥…どうしますか?」


もちろん断る必要がない。私にそのチャンスがあるというなら。


「引き受けます。‥…私にできるのなら、リーナの元に戻れるのなら……やって見せます!」

「そうですか。ありがとうございます。……では、あなたにはやって貰う内容を話します。」


それから、私の知らない所で色々起きていたことを知った。

リーナが壊れて魂が抜けている状態の時、魂だけが彼女のお姉さんのもとに隔離されていたらしい。

そして、色々なことを吹き込んだり、力を与えたらしい。

本当は、その力で私と共に脱獄する手はずだったのらしいけど、薬の影響もあり力に飲み込まれたらしい。その結果、あのような事が起こったらしい。


だからこそ、これ以上リーナが力に飲み込まれて人殺しをさせないようにしてほしいとのことだった。だけど、これに関しては私を殺してしまったというショックで正気を取り戻してらしい。だから、逆にそのショックで自暴自棄にならないようにとのこと。


そしてもう一つ。と言ってもさっきのは建前で、こっちが本命。


「どうですか?今からでも引き返していいんですよ?」

「いいえ。一度引き受けた以上、やめません。」

「律義にありがとうございます。」


深々と礼を下げてくれる。でも、本当は私が謝りたいぐらいだった。


「では頼みごとを引き受けてもらう特典として、あなたに3つのプレゼントを渡してあげます。1つはあなたの体をしっかりと修復してあげる事です。」


これは予期していないことだった。なんたって、3つのプレゼント。1つならまだしも3つなのは豪華すぎのではと思う。


「これは当然の事ですね。もし戻っても体が2つに分かれたままではすぐこちらに戻ってしまうので、元々傷がなかったようにきれいにしておきますね。」

「ありがとうございます。」


流石にあのまま戻ってしまっても、数秒生き返っただけですぐにこちらに戻ってきてしまうらしい。


「2つ目は、私の加護を与えます。これは生き返ったあなただけに与えられる特別なものです。これがあれば、あなたはどんな相手に負けることもなく、大切なものを守る力になるでしょう。」


これは正直嬉しい。私には力がない。それに、戻ってもあの魔力封じの首輪があるせいで力が出せない。リーナに関しては、強すぎるがあまり首輪の制御が聞かず意味をなしていないらしい。


「しかし、良い事ばかりではありません。あなたは元々才能に溢れています。ですから、リーナさんのように暴走してしまうかもしれません。ですから、常に力をセーブしなければなりません。そして、自分の汚れた欲に埋もれないようしなければなりません。」

「そうですか。あなたには、お見通しのようですね。」


もちろん、力を悪用するつもりは到底ない。でも、リーナに向けていた感情だけは筒抜けのようだった。


「はい。そして、あなたの感情に少しの変化が現れると思います。喜怒哀楽のうちの怒と楽の部分が欠けてしまうかもしれません。これはどうしようもない事です。」

「そうですか。‥…でも、私にはそういうものがない方が、リーナは喜んでもらえそうですね。」


これは本性からだった。私の怒る姿を見たとしてリーナには怖い思いをさせるべきだ。

そして、今からは2度目の人生だ。それも、リーナのために生き返るようなもの。なら、自分が楽しむのではだめだ。リーナに楽しんでもらうためだけに命を使いたい。


「それで最後ですが、これはあなたの欲しいものを与えます。これに関しては、私にできる範囲でなら、かなえてあげるつもりです。」

「そう、ですか。……では、私に――……。」



―――――――――――

――――

――



「分かりました。では、あなたをあちらの世界に案内します。」


私の願いはすんなりと承諾された。ただ、どうしてもその理由が知りたいと聞かれたので恥ずかしくはあったけど正直に話した。すると、直ぐに納得してくれた。

そして、この3つのプレゼントをもらって、私はリーナの元に降り去った。

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