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王女だってお姉さまを好きになる  作者: 雪の降る冬
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夢を見る少女5

「お久しぶりです、リーナさん。いつもお姉さまが迷惑をかけてしまっているようで申し訳ございません。」


久しぶりに会うエリスさんの第一声は謝罪の言葉だった。

どこかの姉と違って礼儀正しい。


「エリスさん久しぶりです。アリスの事は、とっくの昔から諦めているので、謝らなくても大丈夫ですよ。」

「本当にありがとうございます。どうぞ、席に座ってください。」


手前にある椅子に座らせてもらった。アリスはいわれる前に座り始めた。自由の限りだった。

椅子に座らせてもらうと、エリスがマグカップを差し出してくれた。


「紅茶です。お菓子も要しましたのでこちらも一緒にどうぞ。」

「ありがとうございます。」

「お姉さまもどうぞ。」

「ありがとう。」


3人のもとにそれぞれのマグカップとクッキーが渡る。渡りきるとまずはマグカップに手を付ける。

手に伝わる丁度良い温かさと紅茶の良い匂いにより先ほどまでの気持ちがだんだんと落ち着いてくる。

そして一口。

甘い果実の味が口から伝わっていく。そして、心を清々しくしていく。


「フルーティーでとてもおいしいですね。」

「ええ、とてもおいしいわね。」

「ありがとうございます。オリジナルブレンドなので少々心配でしたがありがとうございます。クッキーも食べて見てください。」


言われた通りクッキーに手を伸ばした。

サックとしていて、甘さは控えめだった。しかし、紅茶を一緒に飲むとお互いの味が喧嘩せず丁度良い味だった。


「クッキーもおいしいですね。」

「今日は新作のようね。」

「今回は紅茶に合わせて材料に分量を変えてみました。」


そうして少しの間、紅茶とクッキーの味を楽しむ。


「エリス、もう一杯いいかしら?」

「分かりました。」


アリスはもう飲み切ってしまったのか、エリスさんにもう一杯注がせる。

その光景を見ると、なんだか胸が苦しくなっていった。飲んでいるうちに段々心が落ち着いてきたはずだったのにもかかわらず心が騒めき始める。さらに、アリスには憎悪と呼ばれるものを抱いていたはずなのに今だけは、どうしようもない虚しさに襲われる。そして、何かをつかみたいという気持ちでいっぱいになる。


「リーナ、さん?どうしたんですか!?もしかして、本当はおいしくなかったですか!?」

「え?」


私はどうしてそんなことが言われたのか分からなかった。心は落ち着きを忘れていたが、顔に出していなかったはずなのに。


「美味しくなかったからというわけでは無いようね。……あなた、どうして泣いているの?」

「私が、……泣いている?」


言われるがままに指を瞳の近くで肌に触れさせると濡れていた。

私は、知らないうちに泣いていたようだ。


……いや、気持ちの変化に対応できず、泣いていることに気づけていなかっただけのようだ。

とりあえず、今流れている涙を拭きとった。


「目にゴミが入っていただけのようです。」

「そう、ですか?」


エリスさんは疑いながらも信じてくれたようだった。

しかし、アリスは何かを見抜いているかのように席を立ちこちらに向かってきた。


「まだ、影響が残っているようね。」

「影響?」

「ええ。でも、あなたは気にしなくていい。これは、私とエリスだけの問題。あなたはもうこれ以上関わってはいけない。」


そう言うと、私の前に手をかざした。


「何、を‥‥…。」

「おやすみなさい。あなたはもう少しだけ寝ていなさい。」

「お姉さま、もう少しだけでも……。」

「ごめんなさい、エリス。いくらあなたのお願いでも今回はだめなの。」

「分かり、ました‥…。」

「こんなお姉ちゃんでごめんなさいね。」


エリスさんとアリスの顔は、とても悲しそうで申し訳なさそうだった。

ただ、そろそろ限界のようだった。


「抗わなくていいわ。大丈夫、あなたが起きるまでに好きな人の所に連れていくわ。だから安心しなさい。それと、エリス覚えている今のうちにお別れを言ってあげなさい。」

「あの時の思い出は私たちがしっかり守っているから、リーナさんは安心してサナさんの所で楽しんできてね。」

「まっ‥…。」


言葉はすでに出せない程だった。


「それじゃあさようなら、リーナちゃん。いや、……()()ちゃん。」


そうして、私の意識は真っ白な空間へと飛ばされた。

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