見守る少女9
私のペンダントが黒い光を放つ。
その光は球体を生み出し、中から一つの苗木を生み出す。
その苗木は燃える炎の花を咲かせていた。
「貴方のそれは何なのですか!?それに、例外!?聞いた来ない!!」
「だって、誰にも言ったないもの。でも安心しなさい。貴方はこれを見れたんだから。そして、敗北を知るといいわ。」
「図に乗るなよ!!たかが苗木を出現させただけ!その程度で私の神装が敗れるはずないわ!!全弾発射!!」
全ての拳銃か弾丸は発射される。
全ての弾丸が私に着弾するような軌道を描く。
「散れ、花吹雪。」
苗木に命令する。
すると、私を中心にインボリュートを描くように、炎の花弁が舞い上がる。
そして、発射された弾丸と炎の花弁が触れると、燃え上がり灰となって消滅する。
「なっ!?なぜ爆破しないのですか!?確かに当たったはず!!」
「この花弁は魔法の影響を無効にする。そして、乙女衣装も例外なく効果を無効にするわ。一つ聞きたいのだけれど、貴方はこれを防ぐ方法はあるのかしら?」
「くそっ!!【造形】!」
何個もの壁を作り上げる。
でも、それは逆効果。
炎の花弁は物を燃やせば燃やすほど、火が大きくなっていく。
そして、この炎は燃やす対象が消えるまで消える事は無い。
消炎と同じ特性を持つ。
この神装は、消炎を基に創った、人口植物。
「何よこれ!?なぜ火が大きくなってるのよ!?」
「そんな事をしても炎は消えないわ。」
「言ってなさい!火が消えないのであれば、炎を閉じ込めるまでっ!燃やす空気をなくして窒息消化をしてやる!!【造形】!!」
炎の花弁を囲うようにブロックが形成されていく。
炎を消化するとして、空気に触れさせないようにすれば、普通の炎であれば間違っていない。
でも、この花弁には無意味。
空気を使って燃焼しているわけではないのだから。
むしろ、そのブロックすら飲み込んで自身の燃料に変えてしまうわ。
「ね、なんで!?なんで消えないのよ!?!?いや、いや!?来ないで!?」
「早くどうにかしないとあなたが燃えてしまうわ。」
「くそっ!?くそっ!?」
競技場の隅に追いやられて逃げ道が無くなってしまう。
「わ、私が…私がっ!?……ふひっ!ふひひっ!!思いついた!!」
「何かいい案でも思いついたのかしら?」
「ええ!この炎が消えないと言うのであればそれを利用するまでっ!!【造形】、レイピア!!」
私のレイピアに類似した物を作り上げます。
そのレイピアの先端を炎の花弁に触れさせます。
「このレイピアであなたを刺してあげましょう!そして、自信の炎で焼き焦げるのです!!」
「………。やってみるといいわ。」
レイピアを構えて、私目掛けて進んできます。
炎の花弁を舞い上げ、私の周りへと纏わせ花束を作り出す。
「やはり、この炎は貴方自身に効くのですね!!」
「………」
眼をギラつかせ、淑女らしからぬ行動をします。
なぜこのような豚と戦っているのか再度考えてしまいます。
「食らいなさいっ!!」
「はぁ……本当に頭の悪い人間は嫌いだわ。」
「なにっ!?!?」
纏わらせた炎にレイピアが触れいそうになった瞬間、その部分だけ空洞を作り出す。
そして、その穴からそっと手を差し出し、レイピアを受け止める。
「な、なぜっ!?触れれないはずっ!?!?」
「自分の魔法で被害を受けるわけないでしょ。……そんな事より、自身の心配をした方がいいわよ。」
空洞を作るために広がった花弁は、彼女を覆うように散っていく。
花弁は彼女の鎧に落ちると、燃え盛ります。
「くそがっぁぁぁ!!熱い、熱い、熱いっ!?!?!?」
「ついに触れてしまったようね。その鎧を今すぐ脱がないと、皮膚まで燃やしてしまうわよ」
「くそっ、くそっ!!」
彼女は距離を取りながら纏っていた鎧を消します。
ですが、ほんのわずかにその判断が遅く、彼女の衣服に炎が燃え移っています。
「残念。貴方の負けね。」
「こんな事がっ!!」
「今すぐ服を脱げば間に合うかもしれないわよ?……でも、脱いだ所で、貴方の周りには花弁が囲っているし、いずれ貴方を燃やし尽くすわね。」
「わた、しが、……私が、こんな所で終わるわけ……。くそっ!くそっ!!何故お前なんだっ!!私が勝つはずだったのに!!私が次期生徒会長になるはずだったのにっ!!??こんな所で終わっていいはずがない!?!?!高々こんな炎、簡単に消えっ……ぐぎゃぁぁぁ!?!?!?!?!」
「馬鹿ね。」
何を思ったのか、服を燃やしている炎に対して、火の粉を振り払う様に手で払っていました。
しかし、その炎は特別で、そんな事では消えません。
それどころか、触った手を燃やしていきます。
ドロドロと溶けていく手に、苦しみもがいています。
「さあ、敗北宣言をしなさい。そうすればあなたの炎を消してあげる。」
「ぐぞっ!!ぐぞっ!!わだじはっ!わだじはっ!!」
『危険!危険!!生徒に対し、生命の危機を感じ取りました!!至急、直ちに戦闘を終えてください!』
何処からともなく、緊急時のエラーメッセージが鳴り響く。
私は神装を解除し、彼女を燃やしている炎をを消し去る。
『き、緊急事態が発生しました!これにて試合を強制終了とします!!これ以上の試合の続行を行う場合は誰であろうと失格とさせていただきます!!学園最強決定戦決勝戦の勝者は、サナ・ラインハルトさんです!!!!』
試合の終了と勝者の名前が告げられる。
それと同時に、体に着いていた暗い物がすっと外れた気がした。
視界は良好だけど、気分がすこぶる悪い。
その気持ち悪さは、相手によるものなのか、魔法によるものなのかよく分からない。
けれど、私がこの大会の勝者になった事だけは認識できた。
「サナちゃん、優勝おめでとうございます。」
「ありがとうございます。」
大会の優勝者として、生徒会長から優勝トロフィーを受け取る。
これで晴れて私は、目標を一つ達成した。
「この学園の最強の名にふさわしい戦いぶりでした。」
「私は、自分の出せる力の全てを出し切ったまでです。その結果、会長達に認められたと言うならば、悦ばしい事この上ありません。」
「もう、サナちゃんったら、硬いんだから。……では、最後に学園からの優待券を授与します!今回の勝者は2年生であるため、生徒会長の就任権利とします。サナちゃんもそれでいいわよね?」
「はい。」
観客席から拍手が鳴り響く。
それと同時に、一部からはため息と舌打ちをする声が聞こえた。
私自身の行いによる結果であるから、たいして気にはしていない。
けれど、リーナが見れば怒り出すでしょうね。
「本当に、嬉しいわ。サナちゃんならきっと、私以上の功績を残してくれるわね。」
「任せてください。必ずや、生徒会長としての任を全うして見せます。」
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