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王女だってお姉さまを好きになる  作者: 雪の降る冬
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見守る少女3

お姉さまと別れてから、観客席に戻るとすでに試合が始まりそうになっていました。

席に着き、私はポンポンとうちわを持って応援の準備態勢を取ります。


「リーナちゃん、どこ行ってたの?もう少しで始まるところだったよ?」

「更衣室の所に行っていました。試合が始まるギリギリまでお姉さまと居たいと思いまして…。」

「リーナちゃんらしいね。……それにしても、リーナちゃんは弾幕を持たないんだね?」

「はい。弾幕を持って応援をしたいとは思いましたが、純粋に応援が難しいと思いまして。ですので、弾幕は他の方に任せて、私はポンポンとうちわで精いっぱい応援したいと思います!」


それに、弾幕は重いですからね。

持ち上げるのは大変です!!


「そっか……弾幕が重たいからとかじゃないよね?」

「……そんなわけありませんよ?」


レオナちゃんは思いの他勘が鋭いようです。


「みんな、試合が始まったわ!応援しますよ!フレッフレ!サナちゃん!」

「フレッフレ!サナさん!」

「がんばれ!がんばれ!サナちゃん!」

「がんばれ!がんばれ!サナさん!」


選手入場のアナウンスが流れると、私たちは席を立ちます。

そして、お姉さまが入場すると会長のコールに合わせて、みんなで声を張って応援します!

私も他の方に負けじと声を出し、ポンポンを振り上げたりします。


競技場に出場者がそろうと私たちは応援をやめて席に着きます。

試合中の応援は、出場者の気を散らしかねないという理由で禁止されています。

ですので、お姉さまの名前とハートマークが入ったうちわを握りしめてお姉さまの勝利を祈ります。


笛の音が響き渡ると、試合の合図としてみんなが魔法を発動させます。

そして、その魔法はどれもお姉さまのもとに放たれています。

お姉さまは、その攻撃に戸惑っているのか、未だに魔法を使っていません。


「卑怯です!お姉さまに向かって一斉に攻撃をするなんて!!」

「共闘するのは悪い事ではないけど、1対その他なんて魔法の対処が追い付かないよ!!」


他の皆さんも同じような反応を示しています!

お姉さまがお強いのは分かりますが、かといって残りの皆さん全員が共闘してお姉さまと戦うのは違うと思います!


「負けないで、お姉さま!!」

「サナ先輩、避けて!!」


小声がこぼれます。

応援をしてはいけませんので、胸の底までこみ上げるものを押しとどめます。

ですが、零れてしまうものもあります。


私たちの願いは届かず、お姉さまはその場から動こうとしません。

お姉さまが何をしようとしているのか私には分かりませんでした。

しかし、堂々と立っている姿に、策があるのではと思わされます。


お姉さまは向かってくる魔法に向かって手をかざします。

すると、重力がのしかかり撃ち落されたかのような挙動を起こして、お姉さまの目の前が削り取られていました。

足場を含めて削り取られた場所に、お姉さまは無傷の状態で立っていました。


「リーナちゃん……一体何が起きたの??」

「私にも分かりません……が、お姉さまの魔法で飛んでくる魔法を空間ごと削り取ったのではないでしょうか?」

「そんな事…出来るの?」

「空間に関する魔法はお姉さまの得意分野です。もしかしたら、可能なのかもしれませんが……」


お姉さまの魔法で私がまだ知らない物があったとは不覚です。

お姉さまの事については何でも知っていると自負していた自分のプライドが崩れそうです。

まさか私がお姉さまの……ニワカ??


私が考えている間に、競技場では動きがありました。

お姉さまに魔法が届かなかったことに、生徒全員が動揺して硬直していました。

その中で、お姉さまはかざした手でパチンっと指を鳴らしていました。


「え?みんなが次々と倒れていって!?」

「あ、あれは……」


あの魔法は知っています。

あの、あの魔法は………


「……っ!みんな、サナちゃんが勝ったみたいよ!賞賛の拍手を!!」

「っ!そ、そうですね!」

「一瞬の出来事に、思考が止まっていました。」

「まさか、あの攻撃の渦を無傷で対処して、次の一手でみんなを倒すなんて…。」

「さすが……サナさん。」

「サナ先輩はすごいです!」

「サナ先輩おめでとうございます!!」


逆転劇に加え想定外の速さの決着に、会場の全員が唖然としていました。

今何が起きたのか理解しようとする者であふれていました。

その中で、いち早く我に返ったマリア会長の声で次々に意識を取り戻した人がお姉さまに拍手と称賛の言葉を送ります。


「あ、れは……あれは……」

「サナ先輩の勝ちだね!嬉し……リーナちゃん?どうしたの?大丈夫、顔色が悪そうだよ!?」

「あの、魔法が……あれは、前に……離れ…」

「リーナちゃん!?大丈夫!?どうしたの!?戻って来て、リーナちゃん!」

「っ!……私は一体?」


すっと意識が戻るように、頭の中が真っ白に染まります。

先ほどまで何か黒いものが見えていたような気もしますが、もう思い出すことができません。


「リーナちゃん、本当に大丈夫?勝負が決まってからブツブツ言って顔色が悪くなってたよ?」

「私としたことが、どうしてしまったのでしょう。」

「もしかして、寝不足なんじゃないの?サナ先輩の試合が楽しみで眠れていないとか?」

「そのはずはないと思いますが……はい、もう大丈夫だと思います。心配をかけてしまい申し訳ございません。」


私自身、自分に何が起こったのか理解は出来るていませんが、もう大丈夫だという謎の核心はあります。

逆に、もっと追求しようとしてしまうと、胸騒ぎがしてしまうのです。

この事についてはまた今度にした方がいいと私の感が警鐘を鳴らしています。

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