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王女だってお姉さまを好きになる  作者: 雪の降る冬
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寮対抗戦をする少女10

午前中に比べ、午後からの人口はさらに増加しました。

中々白百合女学院の敷地内に入れることもないので、物珍しさに訪れる人が多いです。

また、午後からの方が訪れやすいというのもあります、事前に告知を受けた人からすれば午後の方がイベントが多いためより多いのだと思われます。


多くの方に訪れてもらえるのは、それだけ注目してもらえていると言う事であり、反響があると言う事です。

嬉しい限りの事ですが、中には女性と触れ合える機会だと思い、下心丸出しで訪れる人もいるため、度が過ぎるとお姉さま達実行委員の人に連行されます。


訪れてもらえることは嬉しいですが、安心安全のバランスが取れているからと言う事は忘れてほしくないですね。

良くないことが起こればせっかくの盛り上がりも今日が覚めてしまいます。


「すみません、お話いいですか?」


そんなことを考えていれば、新たなお客様が訪ねてきます。

客観的に俯瞰的に考えるのもいいですが、ここはお姉さまの育てた(こども)をアピールする場ですのでそちらに集中しましょう。

お姉さまの事を布教出来る大事な場なので、大いに利用しましょう!


「どのようなモノをお望みでしょうか?」

「あ、あの、リーナ様ですよね?」

「そうですが、どちらかでお会いしたでしょうか?記憶になくすみません。」

「あ、いえ、姉がリーナ様と同じ学年の生徒なんです。それで、レイン王国の王女様だって聞いてます。」


名前を知られていたため、どこかで会った方なのかと思いました。

同じ学園を過ごした方の妹さんというなれば、一方的に知られていて仕方ないですね。

それに、レイン王国の王女が店員をしていると、先ほどから声をかけ手られます。

お店に用がない人に関しては、申し訳ないですがおかえりになるよう促していました。

今回も、物珍しさでと言う事であれば、他の場所へ行くよう促しましょう。


「申し訳ございませんが、この度は王女としてここに居るわけではありません。もし、王女としての私に会いに来たのであれば、申し訳ございませんが、おかえりになって下さい。」

「あ、ち、違うんです!?その、友達に送る華を選んでほしいくて来たんです。」

「そうでした。勘違いをしてしまいすみません。それで、どう言ったお花にするかお決めになられていますか?」

「それが、あの、相手は女の子で、幼馴染の子なんです。それで、尊師様(・・・)として選んでほしいんです。」


お客様から尊師様という言葉が飛び出してきました。

私の同級生に姉を持つと言う事ですし、その姉というは非公認VAS同好会のメンバーでしょうか?


「一つ確認ですが、そのお相手とは特別な関係なのでしょうか?」

「いえ、そのような関係にはなってません。一方的なものです。でも、この気持ちは本気なんです。」

「分かりました。では、その方の好きな色や匂いなどは分かりますか?送った相手が不快に思うものも上げるわけにはいきません。好感度を上げる意味でも、なるべく細かくお願いします。女性は細かな気遣いを敏感に感じ取ります。」


彼女からそのお友達についての特徴を聞いていきます。

話の中から項目を一つずつ潰していき、より喜ばれるものを厳選していきます。

また、お花同士の相性を考えて、その方好みのお花を揃えていきます。

最後に、一から確認をし直して、問題がないことを確認した後束にしてラッピングを施してお買いあげてもらいます。


「あ、ありがとうございました!!こんな事、中々話せることもないですし、こんなに親切に寄り添ってもらえてうれしかったです!」

「これも私の役目です。」

「でも、本当に助かりました!」


心の底から喜んでもらえているみたいです。

深々と頭を下げてお辞儀をしています。


「そこまで喜んでもらえてよかったです。そんなあなたに、こちらをプレゼントしましょう。」

「こ、これはどういったものなんですか?」


私が取り出したのは、睡眠作用のあるアロマスプレーです。

お姉さまの匂いのアロマスプレーを作るために、試作品としていろんな種類のお花のアロマスプレーを作成しています。

今回厳選したお花の中に試作品にしたものがありましたので、特別にプレゼントしてあげることにしました。


「こんな物頂いて良いんですか!?」

「特別です。まだ試作品ですし、気に入らなければ捨てていただいても問題ありません。気に入って下さった場合は、お友達と共有してください。お友達の好みのものを選んだつもりですので、これもお役に立ててください。」

「あ、ありがとうございます!!本当に、こんなプレゼントまで、本当に頭が上がりません!!」

「これも同じ同志のためです。お友達との仲が深まるように頑張ってください。」


泣くほど喜んでいただけました。

このような善行をすると本当に心が満たされますね。


「リーナ、喜んでもらえてたか良かったものの、市販品以外の物を上げるのはなるべく止めた方がいいわよ?」

「お、お姉さま!?」


彼女を見送り終わると、後ろの方からお姉さまが顔をのぞかせていました。

先ほどの一部始終も見られていたみたいです。


「これはですね、……」

「さっきも言ったけど、喜んでたみたいだから怒りはしないわよ。でも、次はダメよ。せめて市販のものにしなさい。」


怒られると思っていましたので、胸をなでおろします。

しかし、注意されたことには変わりないので、次回は気を付けましょう。


「そう言えば、実行委員の仕事はどうしたんですか?」

「後のことは他の人に任せてるわ。」

「良いのですか?」

「会長もヒマリも、もう時期来るから良いのよ。会長に後のことは他の人に任せて、集まる様に言われたのよ。貴方とレオナちゃんはずっと店の前にいたでしょ?こんな日に楽しめないのはもったいわよ。」

「ですが、ここの当番は誰かしないといけないですよね?」


聞いてみると、お姉さまは苦笑いを浮かべて、前髪を触るしぐさをしていました。

口にしずらい事でもあったのでしょうか?


お姉さまに言われたので、レオナちゃんを呼んでマリア会長とヒマリ先輩を待ちました。

ちょうど人が減ってきていたのでちょうどよかったです。


「3人とも待たせてしまってごめんなさい。」


マリア会長とヒマリ先輩が戻ってきました。

しかし、ヒマリ先輩の表情があまり好ましくなく、浮かない顔つきです。


「ヒマリ先輩の顔が浮かないのですが、何かあったのですか?」

「あまり触れないであげて。…まあ、自業自得だけどね。」


何やらヒマリ先輩はやってはいけないことをしてしまったそうです。


「レオナちゃんにリーナちゃん、午前からずっと対応してくれてたんでしょ?だから、この後はゆっくりぱあっと楽しみましょう!」


手を合わせながら、嬉しそうに言葉を発します。

いつもとはちょっと違うテンションにレオナちゃんと同時に動揺してしまいます。


「でも、お店をたたむには早いと思いますよ?」

「ヒマリちゃんに店番をしてもらうから大丈夫よ。ね、ヒマリちゃん?」

「は、はい!」


ヒマリ先輩に向かって鋭い眼差しが向けられます。

その視線を受け、なぜか敬礼し返事をしています。

本当に何をしでかしたのでしょうか??


「ほら、ヒマリちゃんが頑張ってくれるらしいか、2人とも楽しみましょう?」

「ですが、いくらマリア会長のお願いと言っても、先輩一人に任せるのは…」

「レオナちゃんは私と回るのは、嫌なの……?」

「ち、違います!はい、ついて行きます!」


レオナちゃんが潤んだ眼をしたマリア会長にい止まれてしまい、ヒマリ先輩の気遣いを速攻取り下げてしまいました。

ヒマリ先輩には同情したいのですが、お姉さまに自業自得と言われていましたので仕方ないです。


「せっかくですし、2手に分かれませんか?その方が多くの場所へ移動できますよ。」

「みんなで回ると楽しいと思うけど、2人はどう?」

「私はどちらでもっ…、いえ、せっかくですし、2手に分かれましょう。レオナちゃんもそう思うわよね?」

「は、はい!わ、私、会長と、ふ、二人で回りたいです!」


お姉さまが無粋な事を言いそうでしたので、視線を送りました。

視線が合った瞬間、直ぐに意図を組んでいただけましたので良かったです。


「ヒマリちゃん、任せたわね。」

「みんな、楽しんできてね!」


ヒマリ先輩だけを置いて回ることになりました。

お店の当番をよろしくお願いします!


ヒマリ先輩を一人残してそれぞれデートに向かいます。

私は、お姉さまが実行委員なので、もちろん出店について詳しいわけなのでエスコートをしてもらいました。

夏休みに夜の街を歩いた時みたく、物珍しいものを伺えて楽しかったです。

お姉さまのおすすめと言う事も相まって、学園生活として心から楽しめた気がしました。

来年もまたお姉さまと回りたいですね。


最後にヒマリ先輩が何をしたのか伺ってみた所、実行委員の仕事をほったらかして妹ちゃんであるミワちゃんと遊んでいたようでした。

途中まではちゃんとしていたらしいのですが、ミワちゃんが訪れてきたとたん仕事を他人に無理やり押し付けて学園を回っていたみたいです。

それを会長が聞きつけ、ミワちゃんが帰ったあと叱っていたようです。

それで、罰として一人で店番をさせられたそうです。

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