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王女だってお姉さまを好きになる  作者: 雪の降る冬
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寮対抗戦をする少女9

白百合女学院の門を通ると、お祭りのように飾り付けがされています。

出店と呼ばれる、テントを張りその中でお店屋さんのようなものが学院の至る所に並べられています。

出品されている多くは食品ですが、クラスや部活動によっては自分たちで編んだ織物だったり、装飾を施したアクセサリーを売る所もあります。

私のクラスではホットケーキを作って販売すると言う事になっているのですが、部活動の方での出品があるため私自身は参加できませんでした。

なので、いったいどのような仕上がりになっているのか詳しくありません。


部活動での出品物は育てた薬草とお姉さまの育てたお花たちなっています。

そして、出店の横のスペースに柵を建てて動物たちとの触れ合いスペースを作っています。

私の知らない所で、レオナちゃんとマリア会長が一匹一匹検査をして安全を確かめていたそうです。

動物の性格等も考慮して、楽しく触れ合ってもらえるように厳選はしているようです。


「レオナちゃん、そちらの準備はどうですか?」

「ちょうど終わったよ。みんないい子にしてくれてるし、問題がない限り逃げ出したりしないと思うよ。」

「そうですか。」


マリア会長は生徒会として運営のため出店として構えているこのテントにはいません。

お姉さまとヒマリ先輩も実行委員として今は運営の手伝いとして出払ってしまっています。

そのため、最後の方のテントの飾りつけや動物たちの移動は私とレオナちゃんに任せられていました。

そして、私の方の準備が終わりましたので、レオナちゃんの方がどのようになっているか確認したところ同じように終わっていたようです。


「…ですが、すでに一匹逃げ出してますよ?」

「え!?」


柵から抜け出し、レオナちゃんの後ろを歩いている動物がいます。

その動物はいつものように私に向かって威嚇をします。

そう、あの忌まわしい羽の生えた猫です。


「マエルちゃん、出てきたらだめでしょ?」

「にゃぁ…。」

「もう、寂しそうな眼をしないでよ。この子ったら。」


怒られると目をウルウルとさせて、寂しそうなぶりっ子の真似をします。

どうせ、作り顔だと思いまうすが、レオナちゃんは気づいていないようです。

レオナちゃんの純粋な心に付け込んで、この猫は本当に悪い子です。

しかし、この子に向かってレオナちゃんが『マエルちゃん』と言っていましたが、名前を付けたのでしょうか?


「レオナちゃん、マエルというのはその子の名前ですか?」

「そうだよ。この子に名前つけてあげたの。」

「ですが、どうしてその子だけに名前を付けたんですか?」

「実はね、この子魔獣らしくていつの間にか契約してたんだよね。」

「そ、そうだったんですか!?」


知らなかった話だったので、ついつい大きめの反応を取ってしまいます。

魔獣の卵が孵化したらその子にする、という話を聞いていたのでびっくりです。

しかし、いつの間にか契約されることがあるのでしょうか?

抱いていてレオナちゃんには表情が見えていないようですが、私からは悪投のような悪い笑みを浮かべているのが見えます。

何かとこの子は知性があるようですし、勝手に抜け出してレオナちゃんに何かしているのかもしれません。


「大丈夫なのですか?なんでしたら、私がその契約について調べますよ?」

「平気だと思うよ。それにね、入部当初に言っていた卵が今週中に生まれるらしくて、その子をお世話する練習にもなるから、むしろ頑張ってるんだよ。」

「そうですか……何かあったら言ってくださいね。」


念だけは押しておきます。

羽の生えた猫…元言いマエルは怪しい生き物です。

出会った当初お姉さまに寄り添おうとした不敬モノです。

何か起きる前に手を打たないといけませんね。


『~…/~…//…~~マイクテスト、マイクテスト。』


近くのスピーカーから学生の声が響きます。

何度かマイクテストをすると、話す人が変わります。


『……皆さんおはようございます、生徒会長のマリア・リーゼリットです。今日は年に一度の秋祝祭(しゅうしゅくさい)です。一日目は学生の皆さんが楽しめるお祭りとなっています。クラスのために出店を頑張るのもよし、お友達と出店をめぐるのもよしの、勉強を忘れて楽しむ日です。2日目、3日目のためにも今日は思う存分楽しみましょう。この放送を合図とし、学院を一般開放します。それではよい一日を。』


マリア会長の放送が終わると、全ての校門から一般人の方々が入場してきます。

入場してくる人たちは、実行委員から荷物検査を受けてからパンフレットをもらい入場してきます。

配布されるパンフレットには、イベントのスケジュール、どの場所に何があるのか、ちょっとしたクイズ問題などが書かれています。


私たちは一日中テントに張り付いてお客様の対応をしないといけないので、イベントや出店巡り等はできそうにありません。

実行委員の役目を一旦終えて休憩しているところに、変わってもらうわけにもいけませんし。


レオナちゃんも同じ気持ちの様なので、二人して軽いジョークとして話せます。

それに、こうして二人で話せる時間と考えれば気持ちも軽くなりますし、クラスの方の出店のお手伝いをしていない身として校内をふらついている所を見られて悪印象になりかねないです。

ここはポジティブに考えて行きましょう。


「あの、少し良いですか?」

「はい。何か御用でしょうか?」

「えっと、私たち動物と触れ合えるって聞いているんですが、ここで合ってますか?」

「ここで間違いありません。隣で自由に触れ合えます。レオナちゃん、お客様です。動物との触れ合いが希望らしいですので、対応をお願いします。」

「ま、任され、ました!」


秋祝祭の始まりを告げられて数分して、第一号のお客様が来てくれました。

私たちより3つほど下の子で、お友達と遊びに来ている感じです。

レオナちゃんにこの後の対応を任せてみたものの、少し緊張して片言になっています。

夏休みにリザさんのお店を手伝いした時と変わらない様です。

1回体験しただけでは人前での対応はそこまで変わらない様です。

これはいけませんね。

マリア会長の後を望むのであれば、人前でも堂々と話せる様にならないといけませんので、今後何度か練習する様に勧めてみましょう。


「すみません、ここでお花を売ってるって聞いたんですけど、見て良いですか?」


今度は私の方のお客様がいらした様です。

いつも通りの明るい表情を浮かべて対応して行きます。

どんなお花を見たいのか聞き、それに見合ったお花を紹介していきます。

販売用なので、手で触ってみてもらったり、匂いを嗅いでもらったりします。


「そこの花を束にして見繕ってもらえますか?」

「分かりました。ラッピングはどの様に致ししますか?」


最後にお好みのラッピングを選んでもらい、手早く綺麗に包装してお渡しします。

お姉さまが丁寧に育てた一級品なので、少々お高くはなってしまいますが、こうして買っていただける人もいます。

ですが、そうそう買っていただける人は少ないと思うので、鑑賞してもらう事がメインになりそうです。

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