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王女だってお姉さまを好きになる  作者: 雪の降る冬
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寮対抗戦をする少女7

「……確かに、思わないことはないな。だが、それがどうした。それを踏まえたうえで作戦を立て、勝利する。そういうモノではないか。」

「その考え方は間違っていないと思います。しかし、そのような不満が残るやり方で負けて悔しくないのですか?競技とはいえ学園の行事。楽しいと思えた方がよくないでしょうか?せっかく能力値の総合が均等になるように組み分けされたのに、結果的には一年の良し悪しで決まる対決。つまらないと思いませんか?」

「………。」


黙ってしまう先輩。

しっかりと耳を傾け声をかけてくれるため、こちらとしてはありがたいです。


「そこで私は思ったのです。一年同志で足を引っ張らないように最低限の協力をしようと。」

「それがこの場にいる事とどう繋がるんだ?」

「一年生にとって一番問題なのは俊敏に動けるかどうかと思ったのです。2、3年生は一度駆け回ったことにより建物の内装をある程度把握しているでしょう。しかし、一年生は自分の寮以外知りません。となれば、先輩方からの指示で動こうとも俊敏に動けません。これはどの寮にとって困ることではないでしょうか?」

「確かに困るな。自分でも経験したからわかる。」

「ですから、それぞれの寮の一年代表が集まって寮内の案内をし合おうとなったのです。解散の後、1年生同志で共有することで多少は良くなるのではと考えました。そして、この時期であれば今後内装を変えられますし、よろしいかと思いました。」


嘘、偽り、御託を並べ、あくまで共感しやすく、常に下であるように話しました。

私の立場を知っている先輩が、身勝手な反論はできません。

そこに漬け込み正しいことだけ話せば許すほかないでしょう。


「それとですね、寮の案内をしてもらっている身として、第8寮の作戦をお教えしようと思っています。」

「信じられんな。どうせデタラメを言うんだろ?」

「別に信じらないのであれば噂程度に聞いておいてください。ついでに、皆さんの前で言いましょう。今年の第8寮は2、3年生全員で寮内を守り、一年生が各寮の制圧を行います。制圧が終われば、3年生が畳み掛ける予定です。」


話を終えると、一瞬の静寂が訪れます。

その後、小さな笑い声が場を支配します。


「やはり、デタラメだな!一年生のまで制圧など出来るはずがない!!」

「そうお考えであれば疑ってもらって構いません。ですが、その考えで足を掬われないよう忠告しておきますね。」


その後、先輩は上機嫌になったようで私たちのことを責めることはおろか、非難する事はありませんでした。

代わりに、存分に見ておくようにと言ってくれました。


「尊師様、申し訳ござまさん。」

「何を謝っているのですか?」

「それは、先輩の態度は失礼ではないかと…。」

「そのようなことは思ってもいませんよ。一年生の戯言など笑わない方がおかしいのです。」

「しかし…」

「気を落とさないでください。それよりも、先ほどの話、私は本気ですよ?ですので、注意をしておいてください。貴方達はちゃんと理解しているようなので、ここで手助けが出来れば、褒めてもらえるかも知らません。」

「はい!」


フォローをしつつ、気を持ち直せるようにそっと寄り添ってあげました。

こうすれば、皆さんはたちまち元気になります。


「続きを始めましょう。他に見ておきたい人はいますか?」

「私は十分見れました。」

「私もです。」


この寮はもう観察しなくても良いとなったので、次の寮に移動していきます。

同じように歩数で距離を測りながら、内装の確認をしていきます。


なんだかんだ、間取り等が違うだけなのかと思いましたが、どうやらほかの寮を見てみると大幅に違う所があるみたいです。

1階から寮生の部屋があったり、地下施設を作っていたりと明らかに違いました。


各寮を見させてもらうたびに先輩たちの反応はまちまちで、嫌な顔をする方も居れば好意的な方も居ました。

嫌な顔をする人はかなり威圧的な態度をとられてしまいますが、理由を説明すると威圧的な態度をやめてもらえました。

また、第8寮の作戦をお教えすると皆さんそろって笑ってくれました。

好意的な方は軽いおもてなしをしてくださり、特にスムーズに案内を行わせてもらえました。


「最後は私の寮ですね。付いて来てください。」


入口から堂々と中へ入っていくと、外で練習をしている皆さんが見えました。

メモの指示通りレオナちゃんが指揮を執ってくれているみたいです。


「尊師様、あちらで行っているのは…」

「もちろん、同級生の方々ですよ。作戦のかなめは私達ですから念入りに準備をしています。」


次々と魔法の打ち合いをしている姿に皆さん驚きを隠せないようです。

先輩たち同様、サークルメンバーと言えど100信じれている人はいなかったようです。


「帰りが遅くなってはいけませんし、皆さん中に入りましょうか。」


ずっと外を眺めていくわけにはいきませんので、寮内へ通しました。

内装の違いについては今更驚くようなことはなかったようです。

しかし、入ってすぐの所に3年生の皆さんが話し込んでいました。

7寮分見てきた中で寮内に入って直ぐに3年生と出会う事はなかったので皆さんとても驚いていました。


「あら?リーナちゃん?1年生を引き連れてどうしたの?」


私たちに気が付いたマリア会長が駆け寄ってきました。

マリア会長であればしっかりと説明をすれば音沙汰もなく了解が得られるのでありのままを話しました。


「そうだったの。おもてなしをしたいのだけれど、今は持ち合わせがなくて…。」

「いえ、今回は見て回るだけです。事前にお伝えしていなかった私の責任でもあります。気にしないでください。」

「私たちはむしろ、好意的に了承をもらえてうれしい限りです。」

「マリア生徒会長ありがとうございます。」

「「「ありがとうございます。」」」


案の定、マリア会長から了承を受けたうえ、おもてなしを出そうとしてくださいました。

そこまですればサークルメンバーの皆さんが恐縮のあまり動けなくなりそうですので、むしろ無い方がよかったでしょう。


了承を得たと言う事で一階から最上階までの隅から隅までを案内しました。

マリア会長からもしっかり案内するように言われていましたので気になる所はすべてお見せしました。


全寮内の案内が終了する頃には外で練習していた同級生の方々の練習が終わりを迎えていました。

寮の窓からちらっと見ていたのですが、しっかりと練習メニューをこなしていたみたいです。

3年生の皆さんに囲まれた状態で休息をとって、皆さんとてもうれしそうです。

同じ手法を続ければ皆さんのやる気がそがれることもなく、本番まで練習を続けれそうです。

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