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王女だってお姉さまを好きになる  作者: 雪の降る冬
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寮対抗戦をする少女6

私たちの同好会の設立秘話を説明した所、レオナちゃんはなんとも言えない顔になっていました。

それほど困惑するような内容ではないと思っていましたが、どうやら私の検討は外れてしまったみたいです。


「リーナちゃん、その同好会はいつまで続けるつもりなの?」

「私が卒業するまで、でしょうか?正確には卒業後は後輩に譲るつもりですので、その方々がどうするかにもよりますね。」

「となると………(ブツブツ)」


質問に返答した所、独り言を呟くようになってしまいました。

困りましたね。

レオナちゃんにはこの後話したいことがあったのですが、今は無理なようですね。

それに、練習している皆さんもそろそろ体力がついてきてしまうでしょう。

飴と鞭はうまく使わなければ意味がありませんから、一度休憩に入りましょう。


「皆さん、休憩にしましょう。」


休憩のために寮の中に戻ると、3年生の方々が出迎えてくれました。

もちろん、私から頼んだものなので分かっていた事ですけどね。


「せ、先輩、どうしたんですか?」

「一年生だけで練習してるって聞いて、応援も兼ねて差し入れを持ってきたの。」

「そ、そんな、私たちのために!?も、申し訳ありません。」

「先輩として当然のことをしたまでよ。今回の件は、一年生のみんなに任せてしまっているから、少しでも役に立ちたいの。」


それぞれのお姉様から差し入れをもらって皆さん恐縮していました。

内心ではとても喜んでいるようなので、サプライズとして最高ですね。


「リーナ、あなたは喋ってるだけみたいだったけど、大丈夫なのかしら?」

「お姉さま!?それは誤解です、私はレオナちゃんに今後の予定と練習メニューを説明していたんです!」

「っ!?」


お姉さまがいた事に気づかず、質問に対して咄嗟に嘘をついてしまいました。

返答をレオナちゃんに聞かれていたらしく、驚きの反応を示していました。


「本当かしら?」

「そ、そうなのです。実は、午後から行かないといけない場所がありまして、そのために監督役をレオナちゃんに任せようと思ってまして。」

「っ!?」


またしてもレオナちゃん過剰な反応を示しそうになっていました。

これ以上レオナちゃんの顔に表れる前に逃げないといけませんね。

お姉さまに噓をつくのは気が引けますが、用事があるのは本当の事なので、罪悪感が増す前に逃げてしまいましょう。


「レオナちゃん、あとはよろしくお願いしますね。困ったらこのメモを見てください。」

「リーナちゃん!?ちょ、ちょっと、まって!?」

「それでは!」

「リーナ!!」


二人に呼び止められそうなのをひらりと交わして逃げることにしました。

本当に用事はありましたので、一足先にそちらの方に向かいました。


教室が並ぶ廊下の隅の一室。

立ち入り禁止の札に鎖が張り巡らされ、入ることが憚れるような部屋。

3回ノックした後、『Yes my Virgin』と呼ぶと鎖が外れます。


メンバーの一員に魔法とは違ったものを使う異国の生徒によって作られた仕掛けで、これ以外に鎖を外す方法がありません。

謎の秘密結社を思い浮かべるその仕組みは、中二病と呼ばれる病にかかっている私たちにとって心を躍らせます。


「「「「「「「おかえりなさいませ、尊師様!!」」」」」」」


私が部屋に入ると、待っていた方々が敬礼をもって出迎えてくれます。

これは上下関係というより、尊敬を持ってる方々の礼儀として毎度行われます。


「皆さん、そろっていますね?」

「全員揃っています。」

「分かりました。それでは行きましょうか。案内をよろしくお願いします。」


部屋に着いてばかりですが、数時間前から待っていたと思われる彼女たちのために移動することにしました。

学園の校門を抜けて数距離歩くと、まず一つ目の目的地に着きました。


「こちらが第一寮になります。」


案内のもと、舎内へ入っていきます。

もちろん、歩幅を均一にして距離の測定をしながらです。


「内装はやはり違いますね。」

「そうなのでしょうか?私はこれが日常風景ですのですでに違和感がありませんね。」

「私たちの建物とも違います。やはり、寮によって特徴があるようです。」


一階を歩き回っただけでも、間取り等が異なっていて材質等も異なっています。

また、第八寮の一回には食堂と温泉がありますが、第一寮は違うようです。

こちらには食堂と運動部屋が設置されています。


「私たちの寮は最上階に小さめの浴室がありますね。」

「温泉ではないのですか?」

「はい。なんでも、運動部屋を設けたことで資金が足りなくなったらしいです。」


どちらが欲しいかは人によりますし、仕方ない事でしょう。

お風呂がないというわけではありませんし。


「間の階はすべて個人部屋になっていますが見ていきますか?」

「軽く見通す程度でよろしいと思いますが、皆さんはどうですか?ここで遠慮して寮対抗であまり力にならなかったとなりますと、先輩方にも迷惑になります。どういたしましょう?」

「では、部屋の中はともかく、部屋の個数とその間隔などみたいです。」

「だそうです。よろしいですか?」

「分かりました。」


2階から同じ景色が続きますが、念入りに調べたいという生徒の声を受けて、皆さんで観察することになりました。

ついでに、案内してくれる彼女の好意で、部屋の中も見してもらえることになりました。


「君たち、他寮生だな?そこで何をしている!」


後ろの方から厳しめの声が発せられました。

そちらの方を見ると、眉間にしわがよっている先輩の姿がありました。


「せ、先輩!す、すみません!!」

「こんな時期に他寮生を呼ぶとは非常識にも度がすぎるぞ!」


案内してくれた彼女にきつく当たっていました。

確かに先輩の言う事はまっとうな事で否定はできません。

しかし、そこで怒られている姿を見ているだけの同級生になり下がった覚えはありません。


「先輩、彼女を叱るのはその辺にしてもらえないでしょうか?」

「君は、レイン王国の…。しかし、いくら君が出てきてからと言って、今回の事は先輩として言わせておらわないとな……。」

「私が無理やり案内させたと言えば、やめていただけますか?」

「何?それが本当なら、いくら一国の姫と言ってもそれなりの責任を取ってもらうことになるぞ?」


やっと私の方を向いて話してくれました。

このような方の説得は、まずはお互い目を合わせなければ話になりません。


「無理やりではありませんが、似たようなことをしたつもりです。」

「ほう、では何らかの責任を負うというのか?」

「いえ、そのような事をしません。しかし、弁明をさせていただけないでしょうか?」

「弁明だと?」

「はい。どうでしょうか?」

「少しだけ聞いてやろう。」


話を聞いてくれるようです。

これで説得への道が近くなります。


「先輩に一つ聞きたいことあるのですが、毎度行われる寮対抗戦は一年生が足を引っ張るだけで2、3年の邪魔になってしまう競技だ、と思ったことはありませんか?」

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