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王女だってお姉さまを好きになる  作者: 雪の降る冬
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寮対抗戦をする少女3

「3年生に対してはマリア会長を含めた3年生たちであれば余裕だと思います。ですが、2年生は正直な話、サナが抜けた穴は大きいと思います。」

「私たちでは足止めが限界です。」


2年生は自分たちの不甲斐なさと申し訳なさが募った顔つきになっていました。

それほどまでにお姉さまが抜けると考えていなかった学生が多かったと見受けられます。

私ですら知らなかったことですし、誰も怒りはしないでしょうに責められることを覚悟しているようでした。


「そうなのね。もう一つ聞きたいのだけど、2年生の中からサナちゃんと同じように出たいと思う人はいるかしら?言いにくいとは思うけれど、私としては本音を言ってもらえた方がうれしいわ。」


しかし、誰一人手を挙げませんでした。

本当に出るつもりはないのかはたまた遠慮をしているのか、本人にしか分からない事ですが、ここで手を上げないということは寮対抗戦に出ると決めたと言う事なのでしょう。


「次は1年生の方を聞いてみましょうか。みんなの前で言いにくいと思いますが、誰も責めることはないのでどうぞ。」


振られた言葉に一番は私がとも思いましたが、あえて口を開きませんでした。

先ほどから一年生の中で私ばかり口を開いていて周りが会話に入れていません。

この状況は今後にとってもよくありません。

恥ずかしいと思う気持ちや誰かに責められるかもと思ってしまう気持ちに邪魔されて発言しずらいでしょうが、ここで話せなければ来年も会話に入れなくなってしまうでしょう。

先生のようにとは言いませんが、ここにいる私の同級生は中々の逸材ではあります。

多少は成長してほしいと思ってしまうのです。


しかし、このまま黙ったままでいるわけにはいかないので、同級生に視線を送って合図を出しました。

肩を震わしていましたが、ニコッと笑って見せると勇気を絞ってしゃべりだしてくれました。


「わ、私たち一年生も、そん…リーナさま…さんがずば抜けて強いだけで、しょ、正直足止めできるかどうかすら危ういです。」


彼女はなるべく大きな声で話してくれました。

ちょっと失言しそうでしたが、彼女の頑張りは褒めるべきことです。

そして、続くように他の方も声を上げてくれてくれるようになりました。


「そ…リーナさm…さんは私たち1年生の中で一番です。多分前期に闘技場で行われた決闘を見た人であればそう思うと思います。それと、レオナちゃんもマリア会長と夏休みの間に魔法の練習をしていると聞いたので2人は大丈夫だと思いますが、私を含めた他はだめ、だと思います。」

「足手まといになるかもしれません。すみません。」

「そうですか。よく言ってくれました。」


ニッコリと笑顔を浮かべて1年生を安心させていました。

ホッとしている生徒は多数いて、やはり無理をさせてしまったみたいです。

しかし、レオナちゃんが夏休み中魔法の練習をしていたというのは初めて耳にしました。


「(夏休み中にマリア会長と付きっきりで魔法の練習をしていたのは本当ですか?)」

「(つ、つきっきちじゃないよ!?ちょっとだけ見てもらっただけだよ!?誤解だからね!?)」


耳打ちをしてみると顔を真っ赤にして悶えていました。

ちょっと面白いので、少しこのままにしておきたいのですが、会議に支障は出るのでしょうか?

と思いながら、そのままにしておきました。


「1年生と2年生ともに難しいみたいですね。これ以上人員を割くのはいかがと思います。」

「そうみたいね。でも、3年生の中で出たい人がいるかもしれないわ。例え寮対抗戦の勝率が低くなったとしてもチャンスを奪ってはいけないわ。3年生の中で誰かいるかしら?」


現状を考えて寮の後輩たちを心配する先輩たちが見限れるはずもなく、誰も声を上げませんでした。

マリア会長としても分かった上で3年生に手を挙げてもらいたいと思っているみたいです。

出来れば2年生にもと思っていそうですが、この状況では誰も無理でしょう。


「会長、この現状です。私以外誰も出ようとしないみたいですし、そもそも無理そうです。」

「そのようね。今回はサナちゃんだけのようね。」

「必ず優勝して見せます。」


話し合いで平和的に終わらせれました。

これ以上ないくらいあっさりで、お姉さまと意見が違う人がバチバチと討論する姿も見てみたいと思いましたが諦めましょう。


「次の議題に行きましょうか。どうやって他寮に勝つかの作戦決めです。」

「この寮の伝統的な戦い方は7グループに分かれてそれぞれの寮に責めていく戦い方だけど、今年は無理そうだな。」

「そうよね。私たちだけで攻めていったとしても、会長が一つ、残りの3年生がさらに一つの寮を集中砲撃することで精いっぱいだわ。」

「その場合だと、第8寮が1、2年生だけに任せることになるけど、難しいのよね?」

「すみません。」

「私たちも力になれないと思います。」


かなり絶望的なようです。

10年間連勝を続けてきたとしても、いついかなる時も勝てるというわけではないと言う事ですね。

しかし、お姉さまが優勝している中で私たちが負けるわけにはいきません。

ここは、奥の手を使う必要があるでしょう。


「マリア会長、私からいいでしょうか?」

「一年生でも良い案があれば言ってちょうだい。」

「では、私から言わせてもらいますが、1年生全員が各寮に毒を撒きに行くのはどうでしょうか?毒と言っても体を硬直させる程度の物ですけど。」

「………???」


マリア会長やその他先輩を含め、その場の誰もが黙ってしまいました。

これはもう少しかみ砕いた方がいいかもしれません。


「私たち一年生は足手まといになるかもしれません。ですので、特攻隊のように毒をもって各寮に向かえば多少役に立つと思います。毒に関しては私が知識を持っていますので安心してもらって構いません。特攻をすませて毒をまき散らした後、効き目が出たところを3年生が攻め入るというのはどうでしょうか?」

「????????」


余計に頭を混乱させているみたいです。

しかし、これ以上は説明を簡単にできません。


「つまりなんだけど、1年生が相手を動けなくしたところを3年生が追い打ちをかけると言う事であってるよね?」

「ヒマリ先輩の言う通りです。私としてはそう言ったつもりなのですが、どこか分かりずらい所があったでしょうか?」

「一つは毒を使うっていう発想だね。かなりグレーゾーンだね。それと、どうやって一年生が特効しに行くかだね。寮の敷地内に行くだけでも難しいと思うけど、どうやって侵入するかだね。」

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