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えへへ

商品名に従わないといけない世界


2098年5月31日、俺は訳の分からない世界で、訳の分からない理由で捕まってしまった。俺が捕まる直前まで書いていた日記を残す。

この日記を読んでいる君はいつかこの世界で捕まってしまうかもしれない、そうならない為にもこの日記を役立ててほしい。もう時間だこの世界は狂ってる、どうしてこんな理由で死刑なんだ。商品名に従わなかっただけなのに…



朝、スマホが愉快な音楽とリズムを刻みながら俺を強制的に起こす、俺は寝ぼけながらアラームを止め洗面所で顔を洗うその後電気ポットに水を入れスイッチを入れる。お湯ができるまでいつものように、ぼぉーと朝のニュースを見る。今世間ではオリンピックやらなにやらで盛り上がっているが正直どうでもよかった。

何も考えずにニュースを見ていると1つ気になるニュースが流れた。

(東京都知事の浅山友和プッチンプリンをプッチンせずに食べた容疑で書類送検、浅山容疑者は容疑を認めている)というニュースだった、浅山都知事といったら最近までテレビで引っ張りだこだった都知事だったので驚いたがそれよりも、プッチンプリンをプッチンしなかった容疑で書類送検というのが訳が分からなかった。

正直聞き間違いかと思ったがニュースの文を読んで見てもそう書いてあった。



「今日ってエイプリルフールだっけか? いや、違うよな…プッチンプリンをプッチンしないで書類送検ってそんなに都知事って肩身狭いのかな?」



俺はそんな事を思いながらまた、ボォーとニュースを見ていたら臨時ニュースが流れた、先程のニュースの訂正か何かだろうと思い見てみると俺は目を疑った

(天皇両陛下、10秒チャージを1分かけてチャージした罪で逮捕、懲役26年。天皇両陛下、10秒チャージを1分かけてチャージした罪で逮捕、懲役26年。)


これこそ見間違いかと思ったが、しっかりとそう書かれており俺は言葉が出なかった、ニュースを見ている時電気電気ポットが音を立ててお湯が出来た事を知らせたが俺は気にもとめずにニュースを見続けた。だが、後のニュースは普段と格段変わらないニュースで先程の2つのニュースが気になって仕方無かった。試しにスマホでニュースを見てみたがテレビと同じ内容で先程のニュースは嘘ではないようだった。

掲示板では天皇陛下の事が書いてあり少し覗いて見ると、(天皇6回目の逮捕まじ草生える笑笑)

と書かれてあった。天皇は6回も逮捕されたのか…? と思ったが天皇が逮捕されたなんてニュース全く聞いた事なかった、嘘をついているんだと思い俺は掲示板に1つの書き込みをした、

(天皇が逮捕されたとかまじ笑える笑笑でも、懲役長すぎ笑笑)

このような文を投稿すると3分もしないうちに3件も返事が来た、返事の速さに驚いたがそれよりも3人ともほぼ同じ内容だった事に俺は驚いた。

(はぁ? 何言ってんだよ笑笑 短いだろ笑俺らが同じ罪犯したらそっこう死刑だわ笑笑)

こんな感じの文が3人から送られてきた、もう訳が分からなかった。こいつらはノリで話してるだけなのだろうかと少し考えたが他の奴らも似たようなコメントをしてきて間違ってるのは俺なのだろうと思ったが俺の知ってる法律の中にこんなへんな法律はなかった。

そもそもこんな法律があってたまるものか商品名に従わなかったら捕まる世界なんて馬鹿げている…でも実際に起こっている…俺は夢を見ているのだろうか…? それなら…この世界で大犯罪を犯してみるのもおもしろい。

この時俺はそう考えて朝飯の準備を始めた。

これは夢だと思い込んで(実際は半信半疑だったが)この世界のタブーも犯していくことにした、こんな事をするのは映画の見すぎかもしれないが少し憧れていたので内心張り切っていた。

朝食はコーヒーと食パンを焼いた奴にベーコンエッグを乗せた至って普通の朝飯を食べた、その後俺はコンビニに行くことにした、家のすぐ近くにファミリーマートがありそこに向かった。

ファミマに着いて入ろうとしたら警備員の様な人に止められた。



「ちょっと、ちょっと…君、1人?」



警備員はこんな時間に男がコンビニに入る事を不思議に思ったのだろうか…? 少し怖い顔をしながら俺に質問してくる、なぜこんな質問をするか俺には分からなかった。



「はい、1人ですけど…会社は休みましたよ?」



警備員に向かってこう伝え俺はファミリーマートの中に入ろうとしたら警備員がさらに強く腕を掴んで引っ張ってきた。



「1人なら入れないよ!」



警備員は確かにこう言った、俺に向かって大きな声で。ここで俺は頭がおかしいコスプレじじいかと思ってしまったがこのじいさんの目はガチで俺を止めてるような気がしたから話だけでも聞くことにした。



「どうして入ったらダメなんですか?」



俺はじじいの腕を振り払うようにしておじさんに聞いた、おじさんは目を丸くして俺が何を言ってるか分からないと言わんばかりの顔をしていた。



「どうしてって…そういうルールだからだよ」



もう意味が分からなかった…ルール? どうしてコンビニに入ったらいけないというルールがあるんだそんなルールがあるなら俺はいつも捕まってるはずじゃないか、そんな事を考えたがここで俺は思い出した…これは夢だと。夢の中ならそういうルールがあってもおかしくない…



「あ、あぁそうだったね…ここら辺の近くでお菓子とか飲み物買えるとこある?」



「お菓子とか飲み物なら近くにコンビニがあるよ、えーと…何て名前だったかな…?」



近くにコンビニ…? ここのコンビニはダメで他のコンビニらいいのか…? もしかして……



「ここがファミリーマートだからダメなのか…?」



「あー! LAWSONだ! LAWSON! 何ボソボソ呟いてるの」



(ファミリーマート…ファミリー、家族、マートは確か市場だったか…? 家族の市場…だから1人はダメなのか…)



「おーい、聞いてる? 近くにLAWSONがあるからそこに行きなさい、そこなら大丈夫だから…



「あ、あぁ! 分かった、ありがとう」



俺はそう言ってファミリーマートから離れた。

スマホでLAWSONの位置を検索し3分ほど歩いてLAWSONに到着した。



「いらっしゃいませー」



店員のやる気のない声が聞こえ他の従業員に遅れてあいさつをする、俺は全て無視しながら店内をうろつく。

入口近くにあった栄養ドリンクなど置いてる所から10チャージを取りその上の棚にあった1本満足を3本取った。

次にデザートの棚からプッチンプリンを取りアイスコーナーに移動した。アイスコーナーで雪見だいふくを1つ取りレジに向かった、店員は商品をレジに通す時俺の顔を確認して何か納得できないような顔をしていた。だが、何も言われる事無く買い物は終わった。

「ありがとうございましたー」


「あっちぃー…」

LAWSONを出ると袋から10チャージを取り出し飲み始めた。少し暑く感じていたから家に帰りつく時に飲みきるように考えて少しづつ飲み始めた。

とぼとぼ歩きながらふと後ろを振り返ると警察らしき人が険しい顔をしながら着いて来ていた。

警察らしき人は俺が振り返った事に少し驚いた後近づいて来た。



「あのー、ちょっとお話聞かせて貰っていいかな?」



「どうしてですか?」



俺は反射的にそう言い返してしまった。

職質だと思ったからだ、あいつら見た目が少しいかついからってしょっちゅう職質してきてめんどくさいから俺は基本職質は受けないことにしている。



「どうしてって、君、今何飲んでるの?」



質問の意味が分からず口から10秒チャージを外し警察の目の前に突き出して商品名を答えた。



「10秒チャージですけど?」



「だよね」



中年の警察がそう言って隣の若い警察に少し小声で話した。若い警察は聞いた事を何かの紙に書き出した。俺はこんな職質は初めてで意味が分からずその場を立ち去ろうとした。

すると、警察が肩を勢いよく捕まえて来た。

俺は少し腹が立ち



「なんなんすか?」



とイラついた口調で言い放った。



「君ねぇ、自分が何をしてるのか分かっていないのかい?」



警察は慎重に俺に聞いてきた、若い警官はじっと俺を見つめどう動くかを考えているようだった。



「何って10秒チャージ飲んでただけですけど…それが何か問題でも?」



「いや、飲むこと自体は問題無いんだよ、飲んでた秒数に問題があるんだ」



警察は少し強い口調で俺に言い放った。

そのまま1歩近づき後ろポケットから何かを取り出そうとした。



俺は咄嗟にやばいと思い走り出す。

俺の行動を予測していたであろう若い警官が「こら! 待て!」といい追いかけて来た。

俺はここで捕まった豚箱に入れられる…と感じ必死で逃げた。

途中たくさんに人にぶつかった、子供、若い女性、青年、おばあちゃん、肩を掴む人もチラホラいた俺は手をすぐ振り払いまた走った。若い警官は途中で諦めたのか応援を呼び追いかけるのを辞めた、それでも俺は走った、逃げ出した頃は日が高い所にいたのに気がつけば沈んでいた。

不思議とちっとも疲れていない…辺りを見渡しながらポケットからスマホを取り出し時間を確認した、時刻は7時48分。地図アプリを開き位置を確認しようとしたがもしも、警察がスマホのGPSで追いかけてきたら…と考えるとアプリを開く事ができなかった。


俺は位置情報を切り、歩き出した。

知らぬ間に田舎まで走って来てしまい、見渡す限り田んぼしかなかった、辺りを少し警戒しながら俺は更に1キロほど歩いた。

ここまで来れば安心だろうと思い山に向かって思いっきりスマホを放り投げた。

そして、更に歩いた。歩いた、歩いた…いくら歩いても見える景色は全て変わらず田んぼと山だった。さすがに疲れてしまい、山の入口にある大きな木の下に座り込む、俺はそのまま気絶するように眠ってしまった。



ガサガサ…目の前で何か布が擦れる音がして目が覚める。眠い目を擦ろうとしたが手が動かない。自分の手に目をやると8の字をした鉄が両手にかけられる。(瞬間的に手錠だと感じたが、リアルで見たことはなくこんなにもずっしりしてるのかと関心してしまう。)

2人のガタイのいい男が両脇に立ち白黒で赤いランプが点滅している車に押し込まれる。俺はこのままでは捕まってしまうと思い2人に向かって叫ぶ「こんなの間違ってる! たかが商品の名前に従わなかっただけじゃないか!」 男2人には聞こえないのかそのまま車は進み出す、途中俺は何度も叫ぶだが誰も反応してくれない、車が止まりガタイのいい男1人が外に出た、数分がたち男が帰って来た。俺の目の前に何か文字が書かれた紙を突き出す。

俺は紙の文字を読んでみるとそれは死刑書と書いてあった、逮捕状では無く死刑書…これはなんだ、裁判してやる。と叫ぼうとしたが声が出ない…体が動かない、膝の上に段ボール箱が置かれる、隙間から赤く点滅している機械だった運転していた警察官がダンボール箱を開けケーブルをパソコンに繋いで何かを打ち込んでいる。

警察官がエンターキーをタンッと強めに打ち3人の警官は急いで車から出て行った、パソコンの画面にはタイマーが表示されている4分30秒…29、28、どんどんタイマーは進んで行く。

よくドラマや映画で見る時限爆弾だった。

赤のコード、青のコード、それ以外に白、緑、黄色のコードがある…


「おい! これどうするんだよ! 死んじまうだろ!? おい! 助けてくれ!」


俺の叫び声は誰にも届く事がなく、誰も助けに来ない。

ドアを開けようとしても手にが手錠で拘束されてる為ドアを開ける事ができない。


「おい! 助けてくれ! 誰でもいい! おかしいじゃないか!」

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