進展
夢に出てくる謎の女の子が誰か、約束とは何なのか、突然飼う事になったキツネ、天狐を見るとどこか懐かしい記憶があるが大事な部分が思い出せない。
ある日、自分の家以外、光、音、などが全て消えてしまう。
きっとあの子の仕業と感じながらも、夢でないことを確認する。
じっとしていても何も変わらないと思い、闇に向かって1歩踏み出す。
「教育係かぁー…どんな子なんだろうな…ってまだ女の子って決まった訳じゃ無かったな…女の子なら良いな、なーんてな!」
と1人事を呟きながら、とりあえず先程見た夢を日記に書留ようと日記を開いた。
日記を書こうとペンを取り構えただが、一切筆が進まなかった…何一つ夢の内容を思い出せなかったのだ、いつもなら嫌でもスラスラかけるのに今日は夢の内容を一切覚えていなかった。
こんな事は初めてで少し同様したが悩んでも仕方が無いと思い、狐のご飯など準備したり、掃除をしたりして時間を潰した。
頭の片隅ではずっと夢の事を思い出そうとしていたがそのまま1日は終わった。
「やばい……結局思い出せなかった。明日は早めに行かないとまた怒られるし、今日は早めに寝るか…」
そうつぶやき俺は布団に入った、時計の針が動く音だけが鳴っておりまるでこの世界に1人だけの様な感覚になった。何となく寂しいと思いカーテンを開く、そこは明かりが一つもなく真っ暗な世界だった。
「な、なんだこれ……」
いつもなら夜中でもビルの明かりや近くのコンビニ、車、信号、街の至る所に明かりがあった、それなのに今日は一切街に明かりが着いていなかった。
「まじでこの世界に1人になったのか…?」
半分ふざけながら窓を開けたそこは無音だった、街に明かりは無いが建物がある事は分かった、明かりが無いのにそこは直感的に俺は分かった。いつもの街に居ることも分かる、部屋の中は完全に俺の部屋だった…それなのに街から音が、光が、風が、気配が、消えていた。
夢なのだろうか…でも、俺は寝た覚えはない。
「この世界はなんなんだ…」
「そうだ、天狐、天狐!?」
部屋を振り返り天狐を呼ぶだが俺の声に反応する者は居なかった…とりあえず俺は状況を1度整理するため部屋に戻りソファーに座る、背もたれに寄りかかりゆっくり目をつぶる。そのまま感覚でだいたい1分ほど目を瞑った。そして、目を開けるがそこは何も変わらない部屋の中で外は真っ暗だった。
「やっぱりダメだったか…」
目を瞑れば夢から目が覚めるなど何かしら起こるかと期待したが無意味だった。
俺は1つの疑問が頭に浮かんだ、ここを夢の中と仮定すると、いつもの女の子が居なくても五感があることだ…いつもなら目も、口も、匂いも耳以外の物すべて機能していなかったのに今回は全て最初から揃っている…ということは「これは夢じゃ無くてマジ(現実)なのか……?」
でも、街に一切明かりがないのはおかしい…結局いくら考えても分からず、外に出て歩いて見る事にした。
玄関に行き、靴を履き、部屋を見る。もしかしたらもう帰って来れないかもしれない…何故かそう考え部屋に間取りを目に焼き付けた。
目に部屋の間取りを焼き付けドアに手をかける。大きく深呼吸をしドアを開ける。そこは暗黒の世界とでも言うべき暗さだった。
1m先しか見えないというレベルでは無い、10cm先すら見えなかった。
「やばいなこれ…」
ドアを開けたままそう呟き俺は固まってしまった、このまま進んでしまったらほんとに家に帰れないと考えたからだ…だが、何か行動しなければこの意味不明な状態から抜け出せるとも思えなかった。この時、携帯で誰かに電話をかけるべきだったのだろうがそんな考えは頭に無く、意をけして暗黒の世界に一歩踏み出す選択をした。
俺は足を1歩分前に出しゆっくり下ろす、つま先で地面を探る地面の硬い感覚を感じるとゆっくりかかとまで下ろす。
「よかった、地面はあるんだな。」
また1歩踏み出す、また1歩、また1歩とゆっくり慎重1歩1歩踏みしめて歩く、また1歩と足を前に出したら何かにぶつかった、つま先になにかぶつかった感じがしたが何にぶつかったかまでは分からなかった。
このままだと怪我をすると思い俺は前に手を出す、先程足にぶつかった物を優しく慎重に触れる。
「硬くて、細い棒が何本もある…」
3つの情報しか分からず、俺は何に触れているのか分からなかった、人は普段目に頼って生活しているんだなとつくつぐ感じた。
後ろを振り返る、突然水晶体に光が差し込み思わずを瞑る。目を瞑ってるはずなのに目の前が少し明るく感じる、まるで目の前でロウソクが燃えているようだった、ゆっくり、ゆっくり火が消えていきまぶたの裏の明るいロウソクは消えた。ふただび目を開ける部屋が見える、(天狐の飼育部屋やベット餌入れなどで俺の狭い8畳の一部屋がほぼ埋もれて居た。
天狐が家に来てからいつも見ていた夢が変わり謎の女の子に会ったり、夢で体験した事が変わったりと色々変わったな、天狐…やっぱりどこかで会った事あるのか…? でも、そんな記憶は全くない夢が進んだのは何か別の理由なのだろうか、天狐を見るととても懐かしい感じがするのは何故だろう…いや、今はそれを考えてる暇は無い…とりあえずこの暗闇を進むしかない。)
再び振り返る、部屋の光から暗闇に戻る、そこはとても静かで、光もなく。別世界のような気がしてくる。これは夢…そう自分に言い聞かせもう一度小さな1歩を踏み出す、1歩、2歩3歩と歩くと何かにぶつかる、手を使い触れて見る、先程触った棒だった、棒をしっかり掴み少し進んでは離し、また新しい棒を掴むを繰り返しす。目の前が何も見えなく、手汗で棒を握る手が滑る、それでもしっかり棒を掴み進む。
地面をゆっくり踏みして進む、だんだんと歩くのにも慣れてきて歩幅を少し大きくする、1歩、2歩と足を進め何歩目かで突如床が無くなった、そのまま足を滑らせ落ちる、棒を力強く握るが汗で滑り手が離れる、転げ落ちるように少し大きめの段がある所を落ちる、背中や、腕、足に鈍い痛みが走る。痛みを我慢しながら手で辺りを探る、手のひらに少し尖った小さい物が多く転がっている。転がっている小さな物を握る、とりあえず今前を向いている方向に握ってる物を投げる、投げた物が落ちた音などは一切聞こえないが、なにかにぶつかって戻って来るかと思ったが帰って来なかったとなるとこっちは障害物が何も無いと言うこと何だろうか…クソ、家の近くぐらいしっかりと覚えておくべきだった…もう一度転がってる物を握る、チクッと痛みが走るが気にせず方向を変えて投げる、手に何かが飛んだ来た。投げた方向に向かって進む、ほふく前進の形で進む腕に突起物がくい込む、自分の体重で更にくい込んでくる、それを我慢しながら進む、頭が何かにぶつかる、手を前に突き出し掴める所を探す、それはまっすぐ地面に降りて来ており、少しひんやりしており、手を横方向に動かすと手のひら1つ分事に突起物がある、だがその突起物はとても小さく掴むことはできなかった。
ほふく前進の形からハイハイする形に体の位置を変え膝立ちで両手で何かを抑えながら横に進む、膝がだんだん麻痺してきて、痛みがほとんど感じなくなった時、手が何かに当たる、手をゆっくり動かし当たったものを触って確認していく。