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君と僕

自分のミスで前回の続きから書いてしまいました。

ごめんなさい、読みにくいかも知れませんがよろしくお願いします。

ほんとにすいません。

夢の君と現実の僕


「ねー、約束忘れてないよね? 満月の夜約束の場所で会おうって約束した事。満月の夜はずっと待ってるから、*******で…………」



どこか寂しそうな声が聞こえる、辺りは真っ暗で何も見る事が出来ず、話しかけている人がどこにいるか分からない。一方的に話しかけられ目が覚める…だんだんと辺りが明るくなって行く……待ってくれ、君は誰でどこに行けばいい?声に出して聞きたくても、声が出ない…辺りが完全に明るくなりそこは何も無い空間だと知る、それと同時に意識が遠くなる。



またこの夢だ…月に1回この夢を見る…いつもはすぐ忘れる夢なのにこの夢はいつも忘れられない…明日は満月。俺はどこの誰とどこで待ち合わせしたか覚えてすらいない……ただ1つだけ分かる事がある、この声の主は女の子である事ただ1つだけ……



「へんな夢だな…俺はどこの誰と約束をしたのだろう……ってバイトの面接に遅れるじゃん!」



俺は毎月同じ夢を見る事を疑問に思っていたが、いくら考えても分かるはずも無く、いつも深く考えていなかった。

バイト先に遅刻しそうな事を連絡し急いで家を出る、季節は10月夏の暑さはどこかに消え去り、少しずつ寒さが増すこの季節俺はバイト先へ走って向かった。



バイト先は寿司屋、全国チェーンしている寿司屋ではなく個人で経営している寿司屋だった。

家を出て10分程走ると目的の寿司屋に到着した。



「遅れてすいませんで、した……?」



俺は勢いよく入り謝罪をしたのだが、入ってすぐ目の前左にあるテーブルにキツネがいたのだ、前来た時には居なかったため俺は言葉を失った。

キツネは眠っているのかテーブルの上で丸くなっていた、少しキツネを観察していると奥から店主が静かに網を構えて出てきた。

店主は指で動くなと合図をし俺は無言で頷く、1歩また1歩店主がキツネに近づく、店主はキツネに手が届くまで近づくと網を掲げ一気に振り下ろした、キツネは網を振り下ろすよりワンテンポ早くテーブルから飛び降りた。



「クソッ! また逃げられた」



店主はキツネを睨みながら舌打ちをした、キツネは店主を煽るようにあくびをしている。



「バイト、あのクソ狐を捕まえたら雇ってやるよ」



店主を俺を見て憂さ晴らしをするような口調で言ってきた。

俺は大きな声で「はい!」と返事したが、

正直めんどくさかった。

俺は狐を見つめないようにそっぽを向きながら狐に近づいて膝を着き手を差し出した、狐は俺の匂いを嗅ぐとすぐ懐いてきた。



「おお! バイトやるな、よし明日から来てくれ今日は狐が部屋を汚したから臨時休業だ」



「あ、ありがとうございます。 この狐はどうしたら……?」



「お前が飼ったらいいじゃないか、お前に良く懐いたみたいだしな。じゃ明日からよろしくな。」



店主はそう言って俺達は出るように手で促した。店主と狐を交互に見つめてから、

俺は狐を抱きかかえて家に帰った。



「ただいまー、って俺1人とお前だけだね」



俺はそう言いながら狐の頭を撫でた、狐は嬉しそうし目を細めている…



「エサって何が良いんだろう……それにトイレとかこの子の家も買わないとな…」



インターネットで狐の飼い方を検索しながら俺はふと朝見た夢を思い出した。

何故か、この狐が関係しているような感じがしたのだ。



「お前は満月の夜俺と約束したか?なーんて狐に人の言葉が分からないよな」



狐は俺が何を言ってるのか理解できないようで、首を傾げている。その姿を見て何かが頭に引っかかった、だか何かが思い出せなかった。それと、どこか懐かしいものを見ている気分にもなった。



「お前のご飯とかお家買ってくるから留守番しとけよー?」



狐の頭をもう一度撫でた後俺は家を出て、ペットショップでドックフードや犬の家など狐が使えそうな物を購入した。



「ただいまー、以外と高く着いたよ……」



部屋に入ると狐はまだ寝ていた、その姿を見ていると俺まで眠くなってしまった、少しだけ仮眠をしようとソファーに寝転がった、がそのまま寝落ちしてしまった。



「やっと見つけてくれたね……」



あの声だ…君は誰なんだ? 声に出そうとするがやはり出す事ができない……真っ暗の中でただ声が聞こえる。



「明日会いに来てよー?」



少し意地悪する時の様な口調で質問される、俺はどこに行けば会えるんだ? 必死に手を伸ばそうとするが体があるのかも分からない。

この空間は何があるのかも分からない、もしかしたら何もないかもしれない。きっと幻聴なんだ、そうに違いない。

自分にそう言い聞かせ早く起きようとする。



「行かさないよ、せっかく会えたんだし……」



俺は会いたいとは思わない、だから早く起きてくれ。

そう願いながら声を聞かないようにする、それが無駄な努力だとしても聞きたくなかったからだ。



「しょうがないなー、えいっ!」



突如辺りが明るくなって行く、やったこれで夢が覚める、俺はそう思いながら目が覚めるのを待った。

だが、いつまでたっても目が覚めない、体がある感覚はあるのだが目が開かない……

手を動かす、冷たいツルツルした物に触れる。

壁だろうか? 他にも何かないかと探すが壁の様な物以外何も無かった。

次に足を動かす今進んでいる方向は前なのか後なのか分からない、だが歩き続けた。

少し歩くと広い空間に入った様な気がした。

実際には見ていないので分からないが、手を伸ばしても壁の様な物に当たらないのだ。

俺はさらに進んでいく……どこまで続くのだろうか…終わりの見えない道をひたすら歩き続ける。

何時間歩いただろうか…そもそもこの空間に時間という概念があるのかは分からない、だがいくら歩いても疲れる事は無く無限に歩き続けられるような気がした。

そんな気がしたのもつかの間俺は何か柔らかく、毛のようなふわふわした物にぶつかった。

手を使いふわふわした物触り尻尾のような物だと分かった。でも、何の尻尾だろうか……大きくてもふもふして、たぬきだろうか? 狐? 犬? 猫の尻尾ではないとすぐ分かったが、流石に何の動物かは分からなかった、そもそも動物なのだろうか? さっきほどから微動だにしないからもしかしたら、物なのかも知れない。そう思いながら引っ張ったりしていると声が聞こえた。



「痛いよー、やめてよ!」



どこか、どこかで聞いた事のあるような声だった…ちょっぴり怒っているがどこか親しみのある声で話しかけられた。

突然声が聞こえた事に驚き触っていたもふもふの物を手放してしまった。


「ねぇー聞いてる? あ、ごめん、ごめん! まだ見えては無かったね」



間違いないごく最近も聞いた声だ、今と同じような所…いやもっと暗くて身動きのとれない所……あ、夢だ、夢と同じ声だ、じゃあ先程のもふもふの物はこの子の尻尾? それよりも、まだ見えて無かったねとい事は見える用になるのだろうか……?



「うーん……コンコン、コーン!」



女の子はちょっぴり恥ずかしそうに謎の呪文を唱え後、顔?があるであろう場所に柔らかくふわっとした感触があった後視界が広がって行く、初めは明る過ぎてすぐに手で顔を覆ってしまう。すると近くいや、すぐ目の前から大きな笑い声が聞こえた。



「あはは! 顔の隠し方女の子見たいでかわいい!」



少しムッとした気持ちになったが、イラつくというより少し穏やかな気持ちにもなった。目が慣れたと感じると手をゆっくり開き目が慣れた事を確認しながらゆっくり手を離した。

目の前には信じられない光景があった……



「………………………………?」



何か……何かがおかしい、口は動いているはずなのに俺自信の耳に俺の声が聞こえない。

そもそも、声が出ているのかも分からない……

だか、これだけは分かる。

目の前にある白い段の上に尻尾の3本ある狐の様な生き物が座っている事だけが分かる。

俺は声が出ない事に驚いたがそれ以上に目の前にいる狐の様な生き物がどこかで見たことある様な……嫌、見た事がある確信があった。



狐の様な生き物に手を差し伸べる、後少しで触れられるという距離で視界が歪む…

「待って、待ってくれ!」 俺は声が出ない事を忘れ口をパクパクさせる、だが目の前の生き物は俺の行動に気づいておらず大きくあくびをして眠りについてしまおうかとしている。

体を前屈みにし、手が触れるまで10センチ、5センチ、後1センチという所で水をスポイトで吸うように一瞬で意識が吸い取られた。



「はぁ、はぁ、はぁ……ここで終わり……? 嘘だろ? 後少しで何かが分かるかもしれなかったのに…」



そう悔しそうに呟きながら、額の汗を拭う。

全身汗をかいてしまったのか体中ベトベトする。服を脱ぎ、タオルを出し体を拭きながら先程まで見ていた夢を思い出す。

何年も暗闇に声だけだったのに、今日で夢の中でしっかり意識があり、体を自由に動かせるまで夢が進んだ……今日、明日が特別な日という訳でも無かったためどうして夢が進んだのか気になった。そこで小さなノートを適当に引っ張りだし、先程見た夢を記録する事にした…見た夢を忘れぬように、夢の君にいつか出会うために。



夢の君に出会う為 10月13日晴れ☀



今日の朝毎月と同じ夢を見た。 いつもと同じ声、大きさ、いつもと同じ子がいつも同じセリフで……

「ねー、約束忘れてないよね? 満月の夜約束の場所で会おうって約束した事。満月の夜はずっと待ってるから、*******で…………」

だったはず、嫌これで間違いない。

だが、今日の夕方バイト面接が終わり買い物に行き疲れてしまったので、ソファーで仮眠をしただけ……おかしな事はしていない…

夕方の夢では……

「やっと見つけてくれたね……」

「明日会いに来てよー?」

「行かさないよ、せっかく会えたんだし……」

までは真っ暗でいつもと変わらない夢だった。

ここで俺が、夢よー終われー! とか考えてたら…

「行かさないよ、せっかく会えたんだし……」

って声が聞こえた、この時まで俺は会いたくないー! って思ってた。そしたら、

「しょうがないなー、えいっ!」って聞こえて

視界が明るくなって、夢が終わるー!って思ったら体が動かせるようになって……そして、進んでいたらもふもふした物に触れて引っ張ったりしてたら…

「痛いよー、やめてよ!」

と言われて、俺はビックリしていたら…

「ねぇー聞いてる? あ、ごめん、ごめん! まだ見えては無かったね」

と言われた後…

「うーん……コンコン、コーン!」

とかわいい呪文を唱えられた後俺の目が見えるようになった★

「あはは! 顔の隠し方女の子見たいでかわいい!」

でも、眩しくて手で顔を隠したら女の子見たいって笑われた…ちょっとムッとしたのは忘れられない…(´・・`)

ゆっくり目を開くとそこに尻尾が3本の狐がいた★

話しかけようと口を動かしたけど、声が出なかった。

どっかで見た事あるような見た目の狐だったんだけど……あ! 今日から家で飼うことになった狐に似てるんだ! あいつが夢の子ではないがさっきより愛着が湧いたかもしれない……笑

そんな事はさておき、その狐を触ろうとするんだけどだんだん意識が歪んじゃって後1センチって所で目が覚めてしまった。

感想

これから、どんどん解明して行きたい!笑



ここまで日記を書ききると少し恥ずかしい気持ちになった…日記なんて小学校以来書いてなかった為今時の顔文字を書いたり、星を書いたり少し遊んでしまったがたまに書くのはいいなと思ってしまった。



「寒! そういや、上半裸だったのに日記なんて書いてたのか…って…あの狐はどうしてカラーボックスの中でうずくまってるんだ?」



いつからか分からないが狐がカラーボックスの1番下の段の荷物を引っ張り出し、中でうずくまっている…この時は寒かったのだろうと何とも思っていなかった……



「おーい、出て来いよー」



そんな事を言いながら狐を両手でしっかり持ち抱き抱えた。

狐は抱き抱えた瞬間暴れだし、落とすと怪我をするかもしれないからしっかり胸で抱き直すと、「こん!こん!」と鳴き声をあげながら胸を引っ掻いてきた。

おかげで、胸には無数の引っ掻き傷が出来てしまった。



「おい! 痛いじゃないか」



と少し怒ったそして少し笑い半々の気持ちで狐を叱り、地面に降ろしてやると一目散にカラーボックスに戻ってうずくまってしまった。

ため息を吐きながら胸を見直すと薄ら血が滲んでいた……



「風呂、入りたくねぇな……」



そんな冗談を呟きながら買ってきた物を引っ張り出し、猫用の家組み建て始めた。以外と組み建てるのに苦戦をし、組み建て終わる頃には日が完全に沈んでいた。

再び汗をかいてしまい今度は風呂に入ろうと思いタンスから下着類を取った後、食器棚から小さな平皿を取り出しドックフードを入れてやり、犬用のハウスの横に置いてから風呂に入った。俺が風呂に入る時まで狐はずっとカラーボックスでうずくまっていた……



脱衣場で服を脱ぎ洗濯カゴに服を投げ入れて、ドアを開けるシャワーを頭から浴びながらシャンプーを取る、頭を洗いながらいつもと変わらない事をしていると確認する、いつもと変わらない風呂…いつもと何一つ変わらない日常、何一つ変わらないはずなのに、夢が大きく進んだ……暗く、声だけだった夢なのに歩く事が出来た、触る事が出来た、引っ張る事も出来た、見る事もできた……夢の中で感情すら持つ事が出来た、まるで夢の中に入れたみたいに感情を持つことが出来た、それが1番の進展で1番驚いた事だった。シャワーを止め湯船の蓋を開けるつま先でお湯の温度を確認しゆっくり入る、肩まで浸かるともう一度今日何があったか簡単に確認する。

朝、あの夢を見て起きた、バイト先に電話して走って行った、バイト先で狐を捕まえて、バイトに合格…そして家に帰って、ペットショップに行って狐の家と餌とかを買って…そして家に帰って仮眠、そこで夢が進んだ……やはり何かおかしい事はしていない…いや、1つだけある狐をペットにした事だ…それ以外おかしな事はあいつを家に向かいいれた事……? 嫌、考え過ぎか…あの狐が夢の狐……? いや夢の中は尻尾が多いから天狐だったはず…やはり夢が進展する用な出来事はなかった…そういや、あの狐の名前決めて無かったな…夢に出てきた奴に似てたし…



「天狐、天狐にするかーあの子に似てるしなー…」



あいつこの名前、気に入ってくれるかな? そんな事を考えながら目をつぶった……



「いい名前やない! 私、気に入ったよ!」



ハッとする…お風呂で寝てしまった事ではなく、またあの子だ…またあの子の声が聞けた…それに、あの子が名前を褒めてくれた…嬉しかった、なぜか分からないがとても嬉しかった。今日で3回声を聞けた、初めての事だった。それより、名前を褒めていた、私気に入ったよ、と言っていた俺はあの子に名前を付けた訳ではなかった…でも、そんな事どうでもよかったあの子の声が聞けた、ただそれだけが嬉しかった風呂から急いで出て適当に体を拭き部屋に行こうとしたが俺は服をしっかり着てから部屋に戻った。何故かあの子に見られている気がしたからだ…部屋に戻ると日記を開き少し書き足した…



お風呂であの狐の名前を決めてやると、少し目をつぶったらあの子が名前を褒めてくれた、うれしい!いつか約束の場所を見つけて会いに行きたい!



日記を書き足すとカラーボックスを覗いた、そこは何もなく、何もいなかった。



「あれ? どこ行ったんだ…?」



俺は隠れたんだろうと思い狭い所を中心に探し始めた。だが、どんなに物をひっくり返してもいくら呼んでも出て来なかった。ふと窓を見るとカーテンが揺れていた、



「まさか……!」



カーテンを開き窓を見るそこには、20センチほど隙間があった、急いで靴を履き家の近くを走り回った部屋着だったがお構い無しで走り回った。時刻は8時5分、半袖半ズボンでは、少し肌寒かった。

あれから、どのくらい走っただろうか、初めは自宅周辺だったのが今では、隣町まで来てしまっている…12時30分、俺は4時間とちょっと走ったのかと思うと急に疲れがやってきて、その日は諦めて家に帰った。



「ただいま、って1人か…」



部屋の中は空き巣にでも入られた用にぐちゃぐちゃだった、片付けの事なんて考える暇も無くソファーの上の物だけ片付けるとそのまま倒れ込むように寝てしまった。



「もぉーこんなに汚してーべべだよ?」



子供を叱る母親のような口調で叱られてしまった、明日部屋を片付けなきゃな…と考えながら周りの状況を確認する…手…ある、体もある、頭もある、目は見えているのか分からない…辺りは暗く何も見えていないのかそれとも、目自体が開いていないのかもしれない、声は出ない…口はある動いている感覚もあるそれなのに声が出ない、夢の中で空気という概念が無いのかもしれない…それなら声が出ないのにも納得できる、でもあの子は声を出している…どうしてだろう…?疑問が疑問を呼び俺の頭の中は?マークでいっぱいだった……



「何そんなに考えてるの? あ、そっかぁー今見る事も話す事も出来ないもんねー?」



女の子はちよっぴり意地悪な言い方をしていた、それでとても嬉しそうで楽しそうだった。



「ねぇー、約束覚えてないの?」



この子の言う約束はいつしたものなのだろうか…そんな疑問が頭を過ぎるが声を出す事ができない為女の子に質問できない。

だが、体を動かす事はできた為、首を縦に振るそして、手を両手合わせて謝罪のポーズをとる。



「もぉー、約束してきたのは君だよー? ちゃんと覚えててよね! 」



約束をしたのは俺……? いつ約束したのだろう…この子が夢に出るようになったのは15の時、何の前ブレもなく突然だった。

毎月1回満月の前日にだけ見れて夢…15歳より前に約束した……? だめだ、やはり覚えていない。この子のいう約束は夢の中でしたのだろうか? それとも、現実?



「何難しい顔してるのー? 約束したのは夢の中じゃないよ、ちゃんと君と僕は現実で約束したんだよ。」



現実で会った……? 俺がこの子に? 約束した時俺は何歳だったのだろう…全く記憶にないから5歳頃だろうか…? 分からない、なぜこの子はそんな昔の約束を健気に待っているのだろう…そんなに大事な約束なら流石に俺も覚えている気がする……



「まーた難しい顔してー、じゃあヒント! 約束したのは…私の死んじゃった時!」



女の子は少し恥ずかしそうに少し溜めてからそう教えてくれた、

死んじゃった時……? じゃあこの子は幽霊? この子の言う約束の場所は地獄……? それとも天国? 人が死んじゃった時にした約束なんて今までで1度もない。そもそも、俺の身内や友達が死んだ事なんて1度もない…なら、この子は誰なんだ……?

再び疑問が疑問を呼び俺の頭は容量オーバーしてしまい頭の中には大きな?マークが浮かんでいる。



「今も昔も変わらんねー…分からんと頭に?マーク浮かべて、首を傾げてたもんねーほんとに懐かしいな……」



女の子は何か懐かしい物を見ているようにボソボソと呟いた…

その声に気づく者は居らずただ女の子の独り言に終わった。



「ねぇー、そろそろ思い出してくれた?」



俺は首を横に振る。



「そっかー、君が5歳の頃私は君と約束したよ」



やっぱり5歳だった…通りで記憶にない訳だ…そもそも俺が5歳の時にした約束を今でも健気に覚えているなんて、不思議な子だな……


少し胸が痛かった……この子は何年も約束を楽しみに待っていたのに俺は忘れて、昔の約束だからしょうがない、で済まそうとしているのはおかしいと思う。

約束を思い出せないなら、ヒントをもらい、手がかりを探してこの子に会うべきだと思う。

5歳の時約束したなら、実家に何か手がかりがあるかも知れない、次の休みにでも探し出してこの子に会いに行こう…



「ありがとう、やっぱり君は優しいねー! 君を好きになってよかったよ。満月の日だけ待ってるからいつか来てね! 私待ってるから!」



女の子は元気な声でそう俺に言った後顔のほっぺのある部分に柔らかく、そして暖かい物が触れた。



「じゃあ、また明日!」



そう女の子は言って、パチンと音がして体があるという感覚が無くなっていく、少しづつとかされていくように、最後顔だけ感覚が残っている時再びパチンと聞こえ一気に意識を失った。



「私はいつでも、待ってるよ…君に会いたい一心で天狐にまでなったんだから、君がおじいちゃんになって死んじゃうまで一緒にいようね…また明日、次はそっちに会いに行くよ、もちろん姿を変えて行くけど……」



女の子は誰も居ない空間で先程まで人が自分の愛する人が立っていた場所を見つめながらそう呟いた、誰もいない空間で。



朝起きるととても寂しい気持ちになる事がある…1人暮しだからという訳で無くただただ寂しいと感じる事がある…

今日もあの子と夢で会えた。ヒントを貰えた。

5歳か……人生を1番で1番楽で楽しかった時だ…と少しゆ鬱な気分になりながら、ソファーから起きる。

部屋が汚い…しょうがないか、昨日あんだけ部屋の物をひっくり返しして探したもんな…天狐どこ行ったんだろうな…やっぱり俺に懐いてくれたなんて勘違いだったんだな…

そんな事を思いながら部屋の中から昨日書いた日記帳を探す。

夢で見たことを記録するために昨日から付け始めたが、もうめんどくさいと思ってしまう自分がいる…だが、あの子と出会うまではしっかりと日記を書き続けようと決心したからしっかりやり遂げよう、とモチベーションを上げて机の下にあった日記帳を拾い上げ中を開く。

昨日書いたページに何か動物の足跡のような物が着いていた。



「なんだこれ…? 天狐の仕業なのか? でも、朱肉は机の鍵の着いた引き出しに入れてある…あいつじゃ取れないはず…俺昨日こんなスタンプでも押したのか……?」



そんな事を考えながら、もう1ページめくり日記を書き出す。



夢の君と出会うため 10月14日曇り



今日もあの子と夢で出会えた。

なんと、あの子は俺と5歳の時に約束したらしい!

俺は忘れちゃってたから、あの子から色々ヒントを貰ったり自分で手がかりを探して絶対あの子に会いに行く!

そういえば、あの子途中でボソボソ独り言呟いていた気がする…最後にも何か言ってた……

なんて言ってたんだろう……?

気になるけど、それは後回し! 絶対あの子に会いに行ってやる!



「こんな感じでいいかな…昨日より大分量が減ったけどまぁいいか!」



そんな事を呟きながら時計を見て俺は一瞬で青ざめた…



「今日からバイトをする寿司屋の開店時間は10時……現在時刻9時50分…最悪だ……寝坊した。

仕込みとか色々あるだろうから開店の2時間前には店に行きたかったのに…って早く行かないとクビになる!」



俺はハンガーに掛けてあった服を適当に取り急いで寝巻きと着替え急いで家を出る。

家の鍵を閉めたら、走って寿司屋に向かった。

信号待ちをしている時、ふと天狐の事を思い出し、家に帰って来れるように窓だけ開けといてやろうと思い急いで家に引き返した。

鍵を開け机を飛び超え昨日天狐が出たであろう窓を少し開け再び走った。

だが、バイトは遅刻…俺は店に入るか悩んだが明日から来いと言われたからにはしっかり行くべきだと思い、店のドアの前に立つ。

幸いお客さんはまだ誰も来ていないようだったので大きな声で



「店長遅れてすいません! 」



と言いながら入った。カウンターの奥から店主が無言で歩いてくる…店主は体格が良く無言で歩いて来られるだけでも、恐ろしく俺は目をつぶって怒鳴られる覚悟をした…最悪殴られるかもしれない……そんな覚悟をしていた……



「よかった! きてくれたか! 昨日すぐ帰らせたから何時に来いとか伝えてなかったから来ないかと心配したぞ!」



店主はそう言いながら俺の頭をぐしゃぐしゃになるまで撫でてきた、殴られる覚悟までしていたために俺はびびって座り込んでしまった……



「おい! 大丈夫か? 体調悪いなら今日は……」



「あ! 大丈夫です! 殴られるかと思ったのですげービビってました…」



店主は俺が何を言いたいのか分からないように目を白黒させている…



「なんで、俺が殴ると思ったんだよ…悪いのは俺何だからお前を殴ったりはしねぇよ」



店主はそう言いながらカウンターの奥へと歩いて行ってゴソゴソと音がして奥から何やら布のような物を持ってきた。



「ほい、これがお前の作業服だ、俺のお下がりだが、しっかり洗濯したから綺麗だぞ、」



そう言いながら俺に大きな作業服を手渡して来た、俺の服の2回りほど大きく着たらブカブカなのは一目瞭然だった。

でも、俺は人からお下がりなど貰った事がなくとても嬉しかった。

実際に着てみると、やはり2回りほど大きくこの日は私服で参加させてもらった。

後日店主の奥さんが裾上げなどをしてくれるようだ。

店主は仕事をする時はとても真剣な顔をしていた、それが普段の顔よりかっこよく俺もこんな男になりたいと本気で思ってしまう程だ。

昼はまかないで色々な寿司を食べさせて貰った、今まで大トロなんて高くて親に食わせてもらった事なかったのに、店主は3巻も食べさせてくれた。

夜になり店が少し落ち着いた所で店主に昨日の狐の事はごめんな、などと頭を下げられてしまった。

閉店の1時前店に小さな女の子が入って来た。ちょうど店主が店を外すと言った時間、1通り寿司の握り方や接客方法など教えて貰ったが、それを実践するには早すぎる気がした…

人が入って来たら、寿司屋らしく


「いらっしゃい!」



と大きな声で言ってテーブルに案内する、1人だったり、少人数だった場合はテーブルとカウンターどっちがいいのか聞く



「カウンターでよろしいでしょうか?」



女の子は無言でうなづいた。



「こちらにどうぞー。」



俺は目の前の椅子を指さした、再び女の子は頷き椅子に座る、女の子の顔はよく見えなかったが動きの1つ1つが美しくとても絵になる動作だった。



「何にいたしましょうか!」



しまった、声が裏返った…

女の子はプルプル肩を震わせているが声を出した笑わなかった……

正直この場から居なくなりたかった。

女の子は壁に掛けてあったお品書きを指させている。



「いなり寿司だけでよろしいでしょうか?」



女の子は頷く。

俺はお茶を女の子に出し、酢飯を握る。

しまった、ジュースの方が良かったかもしれないと思い女の子を見る。

なんと、女の子はお茶を飲んでいたのだ…

俺はお茶を飲めるようになったのはつい最近の事だったためとても驚いた。



「申し訳ございません、ジュースの方が良かったですか?」



俺は女の子が我慢しているのだと思い、一応聞いてみた、だが、女の子は首を横に振った後再びお茶を飲みだした。

無言……俺が1番嫌いな物だった、目の前に人がいるのに喋らないなんてものすごく気まずい…

この子は人と話すのが苦手なのだろうか…先程から頷くか首を振るしかしていないし、きっとそうに違いない。

俺は自分に言い聞かせ再び無言で酢飯を握り始めた。

俺が集中して酢飯を握っている時視線をものすごく近くから感じた、ふと前を見てみると女の子がまじまじと俺が酢飯を握る姿を見ていた。

女の子は俺と目があうと急いで視線を逸らした。

やっぱりコミ障なんだな…そう思いながら次はいなり寿司のいなりの部分油揚げを切って開く、昔家で作った事がありスムーズに切って開く事ができ、自慢気に油揚げに酢飯を詰めていく…1つ目久しぶりに作ったため形が悪くなってしまった、2つ目形は先程までより形は良くなったがまだまだ歪だった。3つ目だんだんと作り方を思い出して来たのか綺麗にできた。

5つ目では店主と変わらぬ出来栄えになったと思う。

作った5つを寿司下駄の上に乗せ女の子の前に出す。

女の子は顔を上げ俺に向かって一瞬微笑んだ後手を合わせて食べはじめた。

箸が目の前の箸立てにあるのに箸を使わずにいなり寿司を食べ始めた。

すごく美味しそうに味わって食べていたため、すごく嬉しくなったと同時に腹の虫が店内に鳴り響いた…



「失礼しました……」



俺は顔を真っ赤にして目の前にいる女の子にでは無く、この空間にいない誰かの事を思い浮かべながら謝罪した。

そうでもしなければ恥ずかしくて、死んでしまいそうだったからだ……

女の子は俺の顔をまじまじと見つめ寿司下駄のいなり寿司を1貫手に取り俺の顔に差し出してきた。

一瞬女の子が何をしたいのか理解できなかった、俺が固まっていると「んっ、」と言ってさらに手を伸ばしてくる、何となく断るのも可哀想だと思い背を屈め目を瞑って口を大きく開いた。

すると、勢いよく口の中にいなり寿司を突っ込まれた…咳き込みそうになったがそれを必死に堪え女の子の方を見る。

俺に突っ込んで満足したのか再びいなり寿司を食べ始めていた。しっかりと噛んで口の中の物をすべて飲み込んだ後女の子にお礼を言った。



「いなり寿司ありがとうね、とっても美味しかったよ。」



そう言って微笑むと女の子は少し顔を赤くして顔を伏せた、何とも可愛らしい…そんな事を思いながら先程使ったまな板と包丁を洗い出した。

しばらくして、不味い事をしてしまったと我に返った…お客様に向かってタメ口で話してしまった事とお客様の寿司を食べてしまった事だ…

どうしよう…なんとお詫びしたらよいのか…

とりあえず、謝ろう…



「申し訳ございません、お詫びと言っては何ですが、好きなネタをお渡し致しますよ」



女の子はとても笑顔で笑った、そして悩み初め唸り出す…数十秒唸った後お品書きを指さした。



「また、いなり寿司でいいですか?」



女の子はうなづいて寿司下駄に乗ってるいなり寿司を急いで食べ俺に寿司下駄を渡して来た。

俺は苦笑いしながら寿司下駄を受け取った。



「ありがとうございます、美味しいいなり寿司を作りますね、後さっきタメ口を使って申し訳ございません。」



女の子は首を横に振った、女の子は俺の方を見て少し微笑んで話し出した。



「全然いやじゃないよ、タメ口でいいよ」



懐かしい、どこかで話した事ある声だった…でもどこで会ったのか分からなかった…この声…つい最近も聞いた、つい最近も悩まされた声だったのは確実だった…でも何故か思い出せなかった。ふと、窓を開け空を見上げた。

そこには綺麗な満月があった、何か、何か思い出せそうだった。



「綺麗な満月ですね。」



女の子は満月を見て頬んだ。

寿司下駄にいなり寿司を8巻を置いて、女の子に差し出す。だが女の子はそこに居なかった。



「お客様? あれ?」



女の子が座っていた席に小判が3枚が置いてあった。手にとってみるとずっしりとした重さがあり本物だと分かった。

カウンターにおいてあったお土産ようの寿司が無くなっていた。あの子に渡してあげようかと思っていたのにどこにいったのか気にはなったが店じまいなどで忙しく数分後には忘れていた。



「終わったー!」



背伸びをしながらドアを開けて外に出る、先程見た時より高い位置にありとても明るかった。

街灯が必要無いくらい明るく、入口にあるベンチに座り少しの間月を見ていた。

すると、向かいの家の影から何か動物がトコトコと歩いて来た。



「なんだあれ……? 動物だよな…?」



トコトコと狐が歩いて来て、ベンチのに登ってきて俺の横に座る。そのまま狐も満月を見ていた。

俺は目を丸くした……



「て、天狐なのか…?」



俺は手を伸ばして目の前にいる狐に触れる、昨日沢山撫でたあの感触も全く一緒だった…

俺は微笑みながら何時間も撫で続けた。

段々と月が沈んで行き、日が少しづつ昇って来る。

俺は天狐の方を見て話しかけた。



「お前昨日どこに行ってたんだよ…すっげぇー心配したんだぞ?」



天狐は何も分かって居ないのか大きなあくびをしている…



「おいー人の話はちゃんと聞けよー」



そんな事を呟きながら天狐を抱き抱えて家に向かって歩き出した。

月が沈んでしまい辺りは暗くなってしまい街灯が数百メートル間隔に1本あり、暗い1本道を1人と1匹で歩き続けた。

天狐は疲れてしまったのか俺の腕の中で静かに吐息をたて寝てしまった。

そのまま、30分暗い道を俺たちは歩き続けて朝方4時家に帰り着いた。



「ただいまー、疲れた……」



俺はそっと天狐を犬用の家に下ろして、家を見渡す。

全体的に汚い…物が散乱していてやはり空き巣に入られた用な感じがしてしまう。



「片付けるか…」



そのまま俺は眠りに着かずに家の片付けを始める。まず、ダンボールを2つ用意しいる物といらない物を入れる用の箱にし部屋に散らばっている物を箱に入れていく…半分程片付け終わりふと天狐の寝ている所を見る、先程は気づかなかったが天狐の下に何やら箱の様な物があった。

取り出して見ると、その箱は今日、寿司屋で俺が包んだいなり寿司だった。

なぜ、こんな所に……? 俺は持って帰って来ていないはず…

考えても仕方がないと考えとりあえず部屋の片付けを終わらせゴミはゴミ袋に入れ玄関に置いた。いる物はダンボールにしっかり詰め後日にでも、元あった場所に直そうと思いながらソファーに座る、寝てはいけないと考えながら俺は睡魔に襲われてしまい眠りについてしまう。



「おーい、今日はごちそうさまでした。とっても美味しかったよ…」



今日……? 何の事だろうか? 俺は今日誰にも飯など奢っていない、それとも店に来たのだろうか…そういえば今日気になる子が居たな…どんな子だったかな……? あれ? 思い出せない……



「なにー? 浮気?」



少し怒った様な口調で話しかけてくる、俺は首を思い切り横に振る。



「あはは! 冗談だよー、君はそんな人じゃ無いことくらい知ってるよ」



よかった、この子は俺の事を信用してくれてる…その事実だけで俺は嬉しかった。



「そう言えば、昔も私にいなり寿司作ってくれたねー、あの時はぐちゃぐちゃで形は悪かったけど、美味しかったねー」



この子に昔いなり寿司を作った……?いつの事だろう…俺が人に何かを作った事があるのはせいぜい身内くらいのはずだ…それなのにこの子は俺が作ったいなり寿司を食べた事がある……?

いつ、いつの事何だ…この子が死んでしまったと言う前の事なのだろうか……? そうで無いと話が合わない…でも、記憶に無い…



「あ、昨日私死んじゃったって言ったけど本当は死んでは無いんよ、進化したって言った方が良かったかな?」



し、死んではない…? 進化? 天狐だから狐から進化したという事なのだろうか…? 分からないがこの子は死んだ訳では無かったのか…



「でも、昔の君は死んだと思ってるはずよ? 私は最後に死んじゃうって君に伝えたんだから…」



俺に死んじゃったと伝えた? なぜ死んだと伝えたのだろうか…そもそも死んでないのなら何故夢に出て来るのだろう…この子は結局何なのだろうか…幽霊? 妖怪? それとも、人?



「私は動物であり、妖怪? でもあるよ、君の前から姿を消して、また現れたのはある訳があるんよ。それは会えた時に教えるね。」



ある訳…? 天狐は一般的に狐が千年生きたらなれるというのを最近テレビで見た…ならこの子は千年生きて、天狐になれたというのだろうか……? でも、1時期俺の前から姿を消した事は説明できない…だが、少し前この子のしっぽの数やこの子の姿を見た…その時は確かに天狐の姿をしていた…そして、天狐は人の心を読んだり、人の姿に自由になれたりするらしい。



「勘が鋭いね~! 今の所全部当たりだよ、そう私は天狐だけどまだ、見習いの身だから、人の姿になれるのはある条件がある…1つは夢の中! もう1つは当ててみてー! もう1つ大ヒント! 私はこれからずっと君を見つめ続けるよ。」



夢の中…夢の中では自由に人の姿になれるのか…もう1つの条件というのは俺のいる世界すなわち現実でなれるという事なのだろうか…?

大ヒントの私はこれからずっと君を見つめ続ける…? これはどこかで俺を見つめているという事なのだろうか…? でも、どこで?



「もう、ヒントは無し! ちゃんと君が謎を解いて私に会いに来てくれるのを楽しみに待ってるんだから、簡単に教えちゃ楽しく無いもん!」



女の子はイタズラをしている時のように笑いながら話した。今日1日で多くのヒントを得た、これだけヒントがあれば何か思い出せるかも知れないし、あの子に会えるかも知れない…来月、来月の満月の日までに会いに行けるように情報収集を頑張らなければならないな…



「そうそう、早く私に会いに来てね? 君が会いに来てくれるの楽しみにしてるから、あ、部屋を綺麗にして偉いよ! ほこりとかゴミとか落ちてたらべべだからね? 天狐ちゃんの為にも綺麗にしてね? これは約束だよ」



この子は俺の事なら何でも知ってるんだろうなと思ってしまった。近く…家の中…多分家の中にいるはずだ…もしかして……



「ストぉーップ! これ以上は自分1人で考えて! 何かヘマしちゃったらたまったもんじゃないから…それじゃぁ! また、明日ね! いつか会いに来てね!

会いにきてくれたら、そこでお別れなんだけどね……」



そう女の子が言い終わるとパチンと音がして、俺の意識はどこかに行ってしまった、最後に女の子が何か言っていたが俺には聞き取れなかった。



何か顔にざらざらして、生暖かい物が何回も触れる、水分が多いのかほっぺたが濡れているような気がする…



「はっ! 天狐ー辞めろよー」



俺はソファーが飛び起きほっぺたに触れる、まだ少し暖かくベトベトして気持ち悪かった。

天狐は悪気がないのか俺の膝に手を置いてさらに舐めようとしていた。



「天狐ー顔洗って来るから離してくれー」



膝を少し揺らしながら天狐に話す、天狐は面白がって膝からどんどん上がってくる…



「天狐ー、落ちたら危ないぞー!」



そんな事を言いながら天狐を抱っこする、俺の顔の前まで持って来て見つめ会うと少しだけ天狐が微笑んでものすごく萌えた……

この顔を直ぐに写真撮りたいと思ったが両手で天狐を持っているため写真が撮れないのがすごく悔しかった。

数十秒したら天狐が暴れだし床に降ろしてあげたら、餌入れを咥えて俺の足元へ持ってきた。



「顔洗ったら入れてやるから待っててくれー」



俺は洗面所に行き、水を出し顔を洗う。ほっぺたに少し染みるような感覚があり、見てみると少し皮が向けている部分があった。

狐のべろで怪我する事あるんだなと思いながらタオルで顔を拭く血は出ておらずタオルに血が付かなかった。顔を拭き終わるとドッグフードを手に取り餌入れに入れて天狐の目の前にだす。



「たーんとお食べー、大きくなるんだぞー」



そんな事を言いながら俺は自分の朝飯の準備をしながら日記を書き始めた。


10月15日 あの子のヒント



また今日もあの子に会えた!

あの子は俺の事をどこかでずっと見ているらしい…目の前に出てきてくれたらいいのに…

人の姿になれる条件ってなんだろう…予想だが満月の日だけとかなのだろう。

満月の夜会いに来てねなんて言うんだからそうだと思う。

一昨日の日記は動物のスタンプのような物だったのに、昨日の日記は子供の手形のようだった…どうしてこんな物が着くのだろう……勝手に家に上がり込んだ? でも、家は鍵をかけているはず…

まぁ、あの子に会うためのヒントが増えたから今日はとても気分がいい!

でも、1つ気になる事がある、どうして天狐の家の中に俺が包んだ寿司があったのだろう…

まぁ、もうすぐあの子に会える!

楽しみだなー!

今回の手形は何の手形だろう……?笑笑



「ほんとに、あの手形何の動物と誰の手形何だろうなー……」



そんな事を考えながら、電子レンジにご飯を入れ、ご飯を待っている間にベーコンエッグを作った。

机に作ったベーコンエッグとご飯と牛乳という洋洋和という変な朝飯を食べ始めた。



「いただきます……」



俺は天狐と一緒に朝ごはんを食べながら、時刻を確認する。7時半まだ、30分ほど時間がある…久しぶりにゆっくり朝飯が食える事が何より嬉しかった。

朝飯を食べ始め5分、ふと天狐の方を見てみると美味しそうにドッグフードを食べていた…あまりにも美味しそうに食べていたため、1粒ドッグフードを貰って食べてみた。

おぉ、カリカリしてとても臭い…食べられない事は無いが二度と食べたいと思わない味だった。そんな、出来事があってからさらに5分俺は朝飯を食べ終わり天狐が食べ終わるのを待った。



「ごちそうさまでした。」



天狐は俺が待っているのに気づいたのか、急いで食べてくれて2分もしないうちに綺麗に食べ切った。俺は食器を流し台におき天狐に水を入れてあげる、天狐は待ってました! とは言わんばかりに勢いよく飲み始めた。

やはり、ドッグフードは口の中の水分を奪う…そんな事を思いながら天狐のドッグハウスを見てみる、やはり寿司の箱がまだあった。



「俺昨日ここに入れたっけな…?」



そんな事を思いながら箱を開けてみた、そこにはいなり寿司2巻と食べかけのいなり寿司があった、食べかけのいなり寿司は何か動物が食べたかのようにぐちゃぐちゃだった。



「流石の俺もこんな食い方はしない…」



そんな事を呟き、この寿司たちの処理を考えていた。天狐を見てみると水を飲み終えたのかソファーの上で寝転がっていた。

これ、天狐が食べたのか…? 食べ方は似てるけど…箱は綺麗に開けてある…まずこいつじゃ無理だ…ならあの子? そんな訳ないか…? あの子は満月の日ならこっちに来ているんだよな…? ならあの子が綺麗に開けて食べていた? それなら、食べ方事態もっと綺麗なはずだよな…じゃあ誰がこの箱を?そんな事を考えながら服を着替える。

時刻は7時50分、あと少しだけゆっくりする事が出来るなと思いテレビを付ける、朝はニュースしかやっておらず適当に見て時間を潰す。やはりいなり寿司が気になって仕方がない…

今日の夜試しにいなり寿司を包んで天狐にあげてみるか、まぁー綺麗には開けられずにビリビリに破きまくるんだろうけどな…

そんな事を考えながら天狐を腹の上に置いてソファーに寝転がる。突然睡魔が襲ってきて必死に抵抗したが睡魔に勝つことが出来ず俺は寝てしまう…



顔をぺちぺち叩かれるような感じがする…痛みは無くただ刺激をあたえるような叩き方だった。目を開ける、眩しい…とっさにそう思い手で顔を多い隠す。先程までほっぺを叩かれていたがいつの間にか叩かれていなかった。

ゆっくりと手をどかし辺りを見渡す。何も無く真っ白い空間に神社のような建物が1つ真上には太陽らしき物が浮かんでいる。

肩をつんつんと叩かれる、急いで後ろを振り返る。そこには誰もいなかった、再び前を向き神社に近づく。また、肩を叩かれる…そして、また振り返る。そこには、茶色く大きな耳を付けた女の子が笑いながら立っていた。

人だろうか…? それとも妖怪? そんな事を考えながら女の子をまじまじ見ていると女の子が手で顔を押しのけてもう1つの手で顔を隠す。



「そんなに、見つめられたら恥ずかしいやん!」



そう言って後ろを向いてしゃがんでしまう…俺はこの子に色々聞きたかった。

君は誰なのか、ここはどこなのか、君はあの子なのか、聞きたい事は他にも山ほどあった、だが声が1つも出なかった…口自体は動くのだが声が出なかった、喉に触れると震えている感覚がある…あるのに声は出ていなかった。



「君は声出せないよ、ここは君の夢の中。まぁ私が夢を乗っ取ったんだけどね」



突如あんなに恥ずかしがってた女の子がこちらにを振り返って話した。俺は突然話しかけられた事に驚いたが、それより女の子が話した内容に驚いた。夢を乗っ取る……? この子は夢を乗っ取って俺の行動をコントロールしてるということなのだろうか…? そもそもなぜ、声だけ出せないようにしたのだろうか…? 初めて見た時のように何も見えないようにしないのだろう…何かしら訳があるのだろうか…?



「訳というか…君に現実で会えたから君の夢を操れるようになったんだよ」



今なんて言った…? 現実で俺と会えた…? いつ、どこで? この子は俺と会うのを望んでいるはずだよな? なら会えたなら話しかけるなり何かしてくるんじゃないか? それなのに、話しかけられて無い…そもそも会った記憶が無い…俺はいつ会ってこの子は俺の夢を操れる用になったんだ…? 一瞬でも出会えたら夢を操れる…?



「以外と近くに居ないとまだ出来ないかなー、できるようになったのは最近だったしー…」



近くに居ないできない…? 出来るのは最近…? なら色々と分かって来る…俺が夢で色々動けるようになったのはついこの前の事だ…それこそ一昨日くらいの出来事…ということはこの子は本当に最近俺の近くに来たと言うことだ…

俺は最近あった出来事を思い返してみた、バイトして狐捕まえて、逃げられて、家に帰って来て…そして今だ。ここまでで俺の近くに常にいる…? 誰だ? 店主か、嫌バイト先でしか店主ては会わない、朝や夜は店主とは会わないから店主ではない。ならば天狐か…? でも、1度脱走したはずだよな? その時も夢を見た……ならば誰なんだ?

以外にも簡単な問題かと思っていたが少し辻褄が合わない者ばかりで肝心の答えが出て来ない…



「難しいよねー、君には答えを見つける事はまだ無理だと思うよ、もし答えが分かっても面白くないから消しちゃうし!」



女の子はイタズラ気味にそう話した。

そういえば、先程までずっと考えていて女の子がどこにいるか見ていなかった。再び辺りを見渡す、女の子は神社の上に乗って俺を見ていた。俺と目が会うとニコっと笑い飛び降りる、ふわっと綿毛が落ちてくるように降りてきた女の子は俺の前まで歩いてきてこう言った。



「私は夢、君は現実。この2人が出会うなんてとってもロマンチックだよ、これだけ教えてあげるね、君は私と会った。2回、違う会い方だったけど君に会ったよ。」



女の子は耳元で囁くように呟いて俺の横を通り過ぎて行く…だんだん俺の意識は無くなって行く、俺は意識が消える最後の最後まで考えた。

私は夢…君は現実…夢の君と現実の僕…? 2回違う会い方? どういう事だ? 違う会い方…この子が俺と会う時はどんな形をしていたのだろう…いや形では無いな、どんな姿だったのだろう。

そこで、意識は無くなった。



「今回もヒントあげ過ぎちゃったかなー? まぁ、君に会える為ならしょうがないよね、現実の君と夢の私…やっぱり出会えたらロマンチックだよねー!」



女の子は1人誰も居ない空間でそう呟いた、目には涙を浮かべながらそう呟いた。



ちゃらちゃらちゃー! ちゃらちゃらちゃー! 愉快な音楽がリズムを刻みながどこかで鳴っている、先程まであの子について色々考えていたのに1気に冷めてしまった。愉快な音楽は数回鳴ったら止まった。俺は再びあの子について考え出した、全く考えがまとまらない…それ以前にあの子の話していた事すら理解できなかった。

考え事をしているうちに意識が何かに掴まれたかのように遠くなる、後少しで完全に意識が持って行かれるという所で…

ちゃらちゃらちゃー! ちゃらちゃらちゃー! と愉快な音楽が鳴り出した少ししたら、また止まった、今度は直ぐに音楽が鳴り出した。何かに掴まれていた意識が解放されたかのように意識が鮮明になって行く。そのまま愉快な音楽のせいで俺の意識はしっかりと覚醒して行った。



「あ、あぁー朝か…って電話じゃん!」



「もしもし、寝ていたため電話に出れず申し訳ございません、どちら様でしょうか?」



俺は誰が電話を掛けて来ていたのか確認せずに出て、何回も電話をかけていただろう相手にまず謝罪した。



「おい! 何時だと思ってるんだよ!

もう昼だぞ、今日はお前休みにするから明日は絶対来いよ、後新しいアルバイトの人が1人来たからお前教育係な。 それじゃ。」



ツーツーと機械音だけが俺の鼓膜を震わせる。電話の相手は店主だった、今日は休んでいいから明日絶対に来いよと早口で言い最後にアルバイトが1人入るとも言っていた、その教育係が俺…? あの店主いつも突然だから困る…そんな事を考えながら今日1日暇になってしまったため、何をするか考えた。

もう一度寝ることも考えたが、先程の電せいで眠気がどこかに行ってしまった。



「教育係かぁー…どんな子なんだろうな…ってまだ女の子って決まった訳じゃ無かったな…女の子なら良いな、なーんてな!」



と1人事を呟きとりあえず先程見た夢を日記に書留ようと日記を開いた。

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