3話 諦めてください(切実)
ステバで告白された。文面だけで見ればなんと素晴らしいことだろうか。しかし、
「断わる。」
「!?どうしてですか?」
「痴漢から助けた当日に告白とかさすがに信じられん。君にはもっといい人が見つかるだろう。それじゃ。」
そこまで一息で言い放ち、俺は駅へ向かった。
…もちろん代金は置いてったぞ?
「ちょ、待ってください!」
やめろ、検事は行けない!
「ええい!小賢しい!俺はこのあと色々用事があるんだ!」
「い、色々ってなんですか?」
「え?そりゃお前あれだよあれ…」
「……やっぱり何にもないじゃないですか!」
図星だ、正直家に帰ってもアニメを見るくらいしかやることがない。が、この勘違い女と一緒にいるよりはマシだ!
「……話くらい…聞いてくれたっていいじゃないですか…」
やめろ!そんな寂しそうな声を出すな!…ったく!
「なんだ、聞かせてみろ。その話とやらを。」
「…あの時、先輩から助けてもらわなかったら、私は今ここにいられませんでした。それに、学校に着いてからもずっと先輩のことが頭から離れなくって、きっとこれが恋なんだなって思ったんです!」
なんだ、そういう事か、それならはっきりいってやろう。
「いいや、それは違うぞ!それは恋なんかじゃない。勘違いだ。だからもう俺に関わるな。」
「!?」
…さすがに言いすぎたか?だが、これくらい言えば関わったりもしなくなるだろう。俺はそう思い、電車に乗り込んだ。のだが……
「おい、何故同じ電車に乗っている?」
「何故って帰るからですけど?」
「そうか、愚問だったな。では何故隣にいる!」
「先輩?私朝痴漢されたんですよ?一人で帰れるわけないじゃないですか。」
…確かに、だが…
「お前、友達とかいないのか?」
「さっきからお前お前って私はあなたの彼女ですか?って、それもいいですね!でも私には天樹 ゆう(あまぎ ゆう)っていう名前があるので、出来ればゆうって呼んで欲しいですねぇ♪あ、ちなみに友達は先輩を探していたので同じ電車の子は先に帰っちゃいました!」
こいつ、さっきまでの落ち着いた雰囲気が嘘みたいじゃないか!やっぱり詐欺師だ!
「はぁー、先輩に振られたらなんだかスッキリしちゃいました!でも、私は諦めたりしませんからね!覚悟していてくださいね!せーんぱい?」
なん...だと?こいつなんて言った?諦めたりしない?あっ、だめだこいつ面倒くさすぎる。まぁ、じきに飽きるだろう。
「…勝手にしろ。」
こうして、高校二年生となった俺に後輩が出来た。
~~~翌日~~~
俺は昨日とは違い、時間に余裕を持って家を出ることが出来た。のだが、
「おやおやおや?これはこれは、先輩ではないですか!奇遇ですねぇ!」
「なぜ、同じ電車なんだ!」
「先輩?何当たり前のこと聞いてるんですか?愛ゆえに…ですよ♪」
率直に言おう、さすがに怖い。
やっとヒロインの名前を出せた…小説って難しい