表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/131

R1-2



まどかとメグミは、市街地にやってきた。

秘密基地を出る前に、ゴーンを呼び、これならバレないだろう!と、お墨付きをもらって外出した。


貴族達の評判や、皇子について、街の人達に聞いてみることにした。こういうことは、どこの世界でも、おしゃべり好きの市場のおばちゃんに聞くのが最も早い。食材を仕入れるついでに、市場で聞き込みをした。


運悪く、市場のおばちゃん達は休憩に入ったらしい。店番のお兄ちゃんに聞いたところ、近くに大衆食堂があり、そこにおばちゃん達は集まって、旦那の悪口をアテに昼食をとり、そのままお茶を飲みながらの井戸端会議へとなだれ込むらしい。一度行ったら帰って来ないと、店番のお兄ちゃんはボヤいた。


「丁度いい。お腹も空いたし、その食堂に行ってみるか。」


「そうだね。帝都の食堂って、どんなところだろう!楽しみだね。」


市場の一本裏の通り、木箱が乱雑に積み上げられた間を縫って行くと、食堂があった。だがまどか達が思う食堂とは違って、テーブル席にいる人達は、ほとんど市場の人間。食べ物持参で堂々と陣取り、たまに店のお姉ちゃんがお茶を煎れにくる。

一応調理場はあるのだが、客が持ち込んだ食材をさばいて、焼くか煮る。カウンターには山盛りのパンがあり、客が勝手にとって食べている。食堂が代金をとるのは、お茶代と調理の手間賃、パンはいくら食べても銀貨1枚だ。


「なんか、想像と違うね……」


仕方なくまどかは、収納から作り置きしておいたモツ煮込みと、ツナマヨ風の具を取り出し、テーブルに置いた。メグミはパンを取りに行き、お茶代と一緒に銀貨を払った。二人はパンに切れ目をいれ、それぞれモツ煮込みとツナマヨを挟む。


「まいっか、食べよう。」


しばらくモツ煮サンドとツナマヨサンドを食べながら、周りに聞き耳を立てていると。一人のおばちゃんが話しかけてきた。


「なんだいアンタたち、変なもん食ってるね。」


「意外とイケるんだよ。味見してみる?」


そう言ってまどかは、モツ煮込みとツナマヨを それぞれスプーンですくっておばちゃんに渡した。


「ふーん、こっちは……煮魚かい?どれどれ……お!パサパサしなくて美味いじゃないか!」


それを聞き、周りのおばちゃん達が寄ってくる。一瞬でおばちゃん達に取り囲まれた。帝都の駅で取り囲まれたヤツらより、よっぽど早い。


「あたしにもおくれよ。」


「ちょっと、その入れ物こっちに置いて。」


「へぇ、見たことない料理だけど、イケるねぇ……」


「ちょっとアンタ、もう無いの?」


ツナマヨは一瞬で空になった。あまりにうるさいので、モツ煮込みは収納から鍋ごと出した。


「なんだいこりゃ?ちょっと気味が悪いね……」


「でも匂いは美味そうだよ。どれどれ……こ、これは!くぅーっ!ミードが飲みたくなるね!」


「なるほど、こりゃいいや!確かにミードが進む味だ!」


「あんたは何も無くたって進むだろうが!」


「「ガハハハ……」」


「アンタら、旅の人かい?こっち来なよ!みんなで食べようじゃないか!」


「そうそう。ウチらもいろいろ持ってきてるからさ、メシはみんなで食った方が美味いだろ!」


こうして二人は、おばちゃん包囲網に飲み込まれたのだった。

ミードは、ハチミツから作られるお酒です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ