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S3-4



『ハンス!追って!』


まどかは爆煙が収まるのを待つ。そこには男の下半身しか残っていなかった。爆音を聞きつけた、近くの倉庫の荷役が見に来る。そのうちの一人にギルドに知らせるように言うと、まどかは手を合わせ、


「……すまない。」


と言ってハンスの後を追った。



-ハンスは貴族街の入口まで男を追っている。

男は入口の衛兵と何やら話し、中に入って行く。ハンスが追いかけようとすると、


「待て待て!貴様何者だ!この先は貴族街である。お前のような者が立ち入ること罷りならん!」


「だって、さっきの人は……」


「うるさい!不審な者に追われていると聞いた。捕らえて調べてやる!神妙にせよ!」


ハンスは衛兵をするりと躱し、闇の中へ逃げ込んだ。


『まどか様、逃げられました。衛兵に追われてます。基地で会いましょう。』


『わかった。捕まるなよ。』


『まいたらすぐ行きますんで……』


まどか達が秘密基地に到着して一時間ほど経った頃、ハンスも戻ってきた。事情をハンスから聞いたまどかは、


「なるほど。貴族街に出入り可能な者ということか……」


そう言って腕を組み、唸っている。そこに物置部屋からノックする音がした。


「まどか様、ゴーンの使いの者でございます。」


開けると、商人風の男が立っていた。


「まどか様、しばらくは、ここを動かれませんよう、ゴーンが申しております。」


「なぜ?」


男が言うには、倉庫街での爆発騒ぎの後、ギルドより先に衛兵が到着し、現場を封鎖したらしい。ギルドの立ち入り調査も受け付けず、爆死した男の遺留品なども全て回収して、情報は一切非公開となった。


「なるほど。証拠隠滅ってわけか……」


「それだけではございません!」


なんと、爆発騒ぎの犯人として、まどか達がおたずね者になっていた!特徴などを箇条書きにした手配書が、衛兵やギルドに配られたらしい。


「ギルドより一枚、預かってまいりました。」


「なるほど。間違いなく私達だね。ジョーカーは入ってないみたい。でもよく調べたもんだ。会ったこともないのに……」


「ん?それは、どういうことで?」


「つまりは誰かが、爆発騒ぎの前に手配書を用意していた。ってことだよ。」


「左様でございますね。恐らくは帝都へ入った時から……でごさいましょう。爆発騒ぎから手配書まで、全てが一つの流れのように思われます。」


「だよね。ならば、一度この手配書の特徴を全部消してしまおうか。」


「どういうこと?」


「メグミ、後で私の部屋に来て。それから……ゴーンに頼みたいことがある。後ビーンにも。」


その場でまどかは、十数枚の絵や資料を書き上げ、ゴーンとビーン宛の手紙を書くと、使いの男に渡す。


「これを二人にお願い。」


そう言って男を送り出した。男が立ち去るのを確認すると、ジョーカーに言った。


「ちょっとメグミと大事な話するから……ハンスが覗かないように見張ってて。」


「なるほど。かしこまりました。」


ジョーカーには、まどかが何をするのかわかったらしい。


「ハンス様、わたくしのお手伝い、お願いできますかな?」


そう言って収納から、ワイルドボアの内臓を取り出し、切り分けと下処理を始めた。


「ま、マジっすか……」

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