表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/131

S3-2



屋敷の一室でまどか達は、ジョーカーが用意したお茶を飲みながら、今後の潜伏先や移動経路、連絡手段など話し合った。話が纏まった頃、マイヤーが部屋に来た。


「まどか様、ジョーカーどの、よろしいですか?」


二人を連れマイヤーは、屋敷の厨房へ案内する。


「お二人に、料理人の指導を頂きたいのですが、よろしいですか?」


そう言った後、マイヤーはまどかの手を取った。


「まどか様、あなたは罪な方です!わたくし、あれから毎晩、モツ煮込みの夢を見ます。ご主人様にお出し出来ない故、お屋敷で作ることもございません。せめて、せめて使用人の賄い用に、あの料理をお教えください!」


懇願である。それからまどかは、羽釜を取り出し、米の炊き方からおにぎりの握り方、具に適した食材や、焼きおにぎりから茶漬けまでの流れ、味噌に似た調味料の応用の仕方など説明した。

ついでと言っては何だが、マヨネーズの作り方も。一度、余った魚で作ったツナマヨ風の評判が良かったのだ。料理人からの質問責めにあいながらも、まどかは手を休めず、答えるところは答え、他は、


「説明が難しいので、見て覚えてください。」


と言った。料理人達は自分の感じたコツなど、意見を出し合い、それにまどかが補足をしながら、指導は終了した。すぐさま羽釜と米の発注がかけられ、料理人達はまどかが作ったご飯とミソスープを口にし、頷きながらメモをとった。


「あ、あの、まどか様、モツ煮込みを……」


マイヤーの潤んだ目の訴えを見て、ミソスープの応用ということでモツ煮込みのレシピも指導した。内臓の下処理や、香味野菜の使い方など、一通り説明した。


あまり長時間、お屋敷に滞在する訳にもいかないので(それでもかなり居たけど……)ゴーン所有の倉庫へ向かうことにした。


数カ所の倉庫や別邸の中から、まどかが目を付けたのは一つの倉庫。交通の便がよく、裏には、今は使われていない小さな教会がある。


まどかは、倉庫の地下にある、縄や荷札などが置かれた物置部屋に下りる。壁を触っているまどかに、


「ここでは狭すぎやしませんか?」


とゴーンが尋ねるが、


「少し広くします。」


と土魔術を発動した。ゴゴゴゴゴ……という音を立て、物置部屋の壁に、人が通れるほどの穴が開く。荷札を整理された棚で、ちょうど隠せるほどの穴だ。


ゴーンが中を覗く。そこはただ穴を掘っただけではない、もはや一軒家と呼ぶべき内装だった。


「よし。帝都の地下秘密基地、完成!」


まどかがそう告げると、メグミやハンスは、自分の部屋へと入って行く。ジョーカーはキッチンの棚に、収納から食器を取り出し並べていく。まどかはそれぞれの部屋で、ウォーターベッドを作った。


「なんてこった……」


ゴーンはもう、驚くのはやめよう……と、半ば諦めた。まどかが入口の反対側から通路を掘ると、教会の祭壇に出た。


「うん。まあまあ計算通りかな。(憧れだったんだよねー地下の秘密基地って!ちょっとワクワクするよね。)」


通常の出入りは倉庫から、追っ手がかかった場合は教会から逃げる。一人でこっそりニヤニヤしながら、基地に戻った。


一応の拠点を得たまどか達は、ゴーンとビーンも含め、明日からの公爵の調査について話し合うのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ