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S3-1



「始めよ!」


ゴルメスは、一気に距離を詰める。小娘にいいように言われ、頭にきていたのだろう、一撃で決めに来ていた。


「断頭迅雷!」


大上段からまどかに剛剣が振り下ろされる!半歩下がって躱すが、ゴルメスは更に踏み込み、地面すれすれから剣を跳ね上げた!まどかは仰け反って躱す。剣先が前髪を掠める!まどかは地面を蹴って後方へ飛び退いた。


「凄いね。ホントに雷みたい。」


「まさか躱すとはな。逃げ足だけは褒めてやる。」


「ね!お爺様凄いでしょ?やっぱりゴルメスの方が強いわ!」


「ほっほっほ……キャロル、よく見ておれ。これからじゃぞ。」


まどかは一つ息を吐く。マナを練り、闘気を高める。全身から青白いオーラが立ち上り、ジジジッと音を立て始めた。まどかの身体はバチバチと光が弾け、その全てが拳へと流れ込んでいる。


「じゃあ……私も。雷陣!裁きのいかずち


まどかは両の拳を地面に叩きつけた!そこから数条の地割れが延び、その中を雷撃が走る!ゴルメスは地割れに足を取られ、その足元に到達した雷撃が、ゴルメスの身体を貫き天に昇った!


ジョーカーはケーニッヒ卿達の前に飛び出し、まどかが霹を放つとほぼ同時に、防御結界を張った。結界の表面では、電撃がバチバチと音を立てている。


「ジョーカー、ありがとう。少し加減を間違えた……」


キャロルはケーニッヒ卿にしがみついていたが、結界表面の弾ける光を見て、


「き、綺麗ね……お爺様……」


と目を輝かせた。


「お怪我はございませんか?ケーニッヒ卿、キャロル様。」


「うむ。しかしこれ程とはのう……本気を出せなどと言うで無かったわ!ハッハッハッハー!」


ゴルメスは、剣を杖代わりに立っているのがやっとだった。だがその目はまどかを見据えている。兵士長としてのプライドが、膝をつくことを許さなかった。


「ま、まだだ……」


「ゴルメスよ、そこまでだ。続きがやりたくば、日を改めよ。」


ケーニッヒ卿なりの気遣いだった。勝負はまだ着いていない!とすることで、ゴルメスのプライドを守ったのだ。


「かっ、かしこまりました。次は必ず……」


「うむ。期待しておるぞ!下がるがよい。」


近くの兵が、ゴルメスの腕を取ろうとするが、ゴルメスはその腕を払い、自分の足で修練場を後にした。


「お爺様、ゴルメスは負けたの?」


キャロルの問いに、まどかが答えた。


「キャロル様、今日は引き分けにございます。」


「そうか!負けてはないのだな!まどかも強いの。ゴルメスと引き分けるとは!」


「勿体無いお言葉。ありがとうございます。」


ケーニッヒ卿はまどかを見て頷くと、修練場を後にする。まどかは、口を開けたまま動かないゴーンとビーンの背中を叩き、


「お茶にしようか。」


と言った。二人はヒィッ!と情けない声を出したが、まどかの笑顔を見てホッとしてついて行く。メグミとハンスは、ハイタッチしてまどかに合流する。


「未だ底が見えず……でございますな。まどかお嬢様が本気になれるほどの強者は、なかなか現れませぬなぁ……」


本気で残念そうに呟くジョーカー。首を横に振ると、お茶の支度のために、部屋へと先回りするのだった。

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