S2-3
お陰様で30000PV達成!
日頃読んで下さってる皆様、ありがとうございます。
ゴーンは富裕街に居を構える大商人。
貴族街に出入りし、目利きの確かさで財を成した。日の目を見ない職人でも、腕の確かさを見抜き、商品の発注をする。たとえそれが借金で奴隷に堕ちた者でも。
そういった職人達の逸品を集め、クラフトマイスターというブランドを立ち上げ、その看板の元販売すると、玄人好みのブランドとして、一躍有名になった。
帝都の人々で、クラフトマイスターの逸品を使いこなす者こそ、本物がわかる人。という、今やステータスシンボルとなったのだ。これ以来、貴族の中には、派手に飾り立てた物を使うよりも、クラフトマイスターを愛用する者が、品格が高いとされる風潮が広がった。
一方のビーンは庭師。季節により計算し尽くされたガーデニング技術で、貴族の屋敷を任されることも多い。どの屋敷の使用人達もビーンを信頼しているので、屋敷内での秘事まで聞かされる事が多かった。決して他所に漏らすことをしないので、ビーンには話しやすいのだろう。
「二人共、貴族の屋敷に出入りしている。ここの冒険者だったので、もちろん地理にも詳しい。仕事柄ゴーンは、貴族だけでなく奴隷商人や奴隷街にも顔が効く。ビーンは長期間屋敷に居るので、人の出入りなども把握出来る。どうだろう、役に立てると思うのですが。」
「それは願ってもない!是非御協力お願いします!」
「良かった。それにギルドでは、見張りや待ち伏せが付きやすいでしょう。ゴーンの所有する土地や倉庫なら、潜伏もしやすいと思うんですよ。」
手探り状態だった帝都貴族の調査に、僥倖とも言える協力者を得た。まどか達はそれから、今後の調査方法や、潜入の計画などを綿密に話し合った。
-まどか達は、ゴーンの馬車を借り、報告も兼ねてケーニッヒ卿の屋敷に向かった。
ゴーンやビーンも同行し、顔見せの意味もあった。
「いやぁ、まさかケーニッヒ卿に謁見出来るとは、皆様のお手伝いとはいえ、今後の我々の商売にも、得難い機会となります!まどか様には感謝しなくては。」
「ホントですよ。あっしもケーニッヒ卿のお屋敷は、是が非でも仕事をさせていただきたいと思っておりやした。」
なかなか商魂たくましい二人である。この様子だと、協力者として良い仕事をしてくれそうだ。
屋敷前の正門。警備の兵士が馬車に近寄って来る。大商人の訪問であっても、取引のない者は追い返すように言われているらしい。
「止まれ!これより先はケーニッヒ卿の所有地である!立ち入ること罷りならん!」
まどかは馬車を降り、警備兵にカードを見せた。
「まどかが報告に来たと伝えて貰えないだろうか。それだけ言って貰えれば、わかると思う。」
一介の冒険者の小娘の態度に、警備兵は怒りの表情になったが、カードを見た瞬間から疑いの表情になり、エンブレムを見て青ざめた。
「こ、こ、この証は……まて、いや、お待ち下さい!か、確認してまいります……」
若い兵士を走らせ、5分ほど待つ。息を切らせ戻った兵士が、警備兵に耳打ちした。
「た、た、大変失礼いたしました!開門いたします!」
そう叫んだ警備兵は、震える手でカードを返した。