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S1-4



帝都駅。

昨日の朝出発して34時間、窓の景色は、荒野から突然都会になった。既にメグミとハンスは入れ替わっている。


「まどか、メグミよ、いよいよじゃな。」


「はい。ケーニッヒ卿には大変お世話になりました。」


「我は帝都の屋敷へ参る。近衛が迎えに来ておるはずじゃ。お主等、帝都での宛はあるのか?」


「はい。まずはギルドに向かいます。そこで潜伏に適した場所を探します。」


「そうか。あいわかった!此度の礼じゃ。受け取るが良い。」


マイヤーが金属製のカードを出した。魔鋼を薄く伸ばした板に、エンブレムが刻んである。


「それは我の縁者の証じゃ。いつでも屋敷を訪ねるが良い。門番に見せれば通してくれよう。」


「ありがとうございます。いずれ御挨拶に伺わせて頂きます。」


「うむ。帝都を頼むぞ!」


「はい!」


客車の扉の前には、ワインレッドの絨毯が敷かれ、その両脇に近衛の兵士が並ぶ。扉が開き、ケーニッヒ卿の姿が見えると、最敬礼で迎えた。近衛の先頭に居た鎧の武人が片膝をつく。


「長旅お疲れ様でございます。これより我等近衛特選隊が護衛致します。」


「うむ。しかと勤めよ。」


「おい、冒険者、もう下がって良いぞ。」


「「はい。」」


まどか達は一礼して列から外れた。ここからギルドまでが一番の山場だ!


『ハンス、ここからは思念リンクだ。』


『了解です。でもアイツ、なんかエラそうでしたね。ちょっとムカついたっす!』


『あんなもんだろ。それより、最大限警戒するよ。』


ケーニッヒ卿一行の列が馬車へと吸い込まれて行く。周りの見物人は皆その馬車を見ているが、数名だけがまどか達を見ている。座っていた者が立ち上がり、まどか達を取り囲むように、少しずつ距離を詰めてくる。それは、見物人に紛れていた者から一人、二人と増えて行き……


『間違いない。来るぞ!』


『はいっ!8人ってとこですね。』


まどかは列車の機関室にこっそり声をかける。


「ヨークさん、取り囲まれてる。機関室を通り抜けたい。」


「な!穏やかじゃないね……いいよ。あと……一つ持っていくといい。」


ヨークは扉を開け、まどか達を引き込むと、扉を閉め鍵をかける。魔晶石をまどかに放り投げ、親指を立てた。


まどか達は反対側から飛び降り、一気に駆ける。


『ハンス、走るよ!』


『脚なら負けないっすよ!』


距離を詰めていた者達が、慌てて機関車に走り寄る。ヨークは咄嗟に鐘を鳴らした。見物人達がそれを聞き振り返る。


「「なんだなんだ?」」


「チッ!」


詰め寄っていた者達は、注目を浴び舌打ちする。


「回り込め!」


車両をぐるりと迂回するが、まどか達は遥か先に居る。一人の男が魔術を放とうとするが、


「よせ!ここで魔術は騒ぎになる。」


「くっそー!してやられた!」


「……仕方ない、次の機会を待つ。散開しろ。」


その合図で、四方に散った。



-ナツ達は、入都管理の職員と共に、積荷の確認をしていた。


「ん。問題ないようですな。」


「じゃあ、荷車に移しますね。おい!やるぞ!」


「「へい!お嬢!」」


次々と手際よく荷車に積まれていく荷物。二台分ほど積んだところでナツが言う。


「おい!お前とお前、それから……お前、荷車をだせ!」


「「へい!」」

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