T4-2
いよいよケーニッヒ卿と顔合わせの日がきた。
迎えの馬車がギルドに到着し、ニコライとまどか、メグミの三人を乗せ屋敷に向かう。
「なんでギルマスまで来たの?」
「ハッハー!僕にも責任があるからね!ケーニッヒ卿に失礼があっては、ウチも困るんだよー!」
「いや、その喋り方、結構失礼だと思いますよ?」
「うん。邪魔。」
「だーいじょうぶ!卿の前では、公式モードになれるのさ!」
「ホントかなぁ……」
「不安材料。」
屋敷のエントランス。メイド達が出迎える。
「いらっしゃいませ。ご案内致します。こちらへどうぞ。」
「ありがとうございます。」
通されたのは会談室。元の世界で言う所の会議室だろう。中には円卓があり、既にケーニッヒ卿が着座され、両脇にそれぞれ、ジョーカーとマイヤーがいた。まどかとメグミは、ジョーカーの姿を見ると、ホッとした様子で笑顔になった。
「ご機嫌麗しゅうございます。ケーニッヒ卿、本日は顔合わせの機会をお与えいただき、恐悦至極にぞんじます。此度の警護の任、この二名が務めさせていただきます。」
中々の挨拶をするニコライ。これが公式モードか、緊張の様子もなく、ギルドのマスターとして、堂々としている。
「ん。我がケーニッヒである。同行を許す。しかと励め。」
「「ありがとうございます。」」
「……まぁ、堅い挨拶は、よい。しかしジョーカーよ、お前の仲間というのは、このような可憐な少女であるか!」
「左様にございます。」
「名はなんと申す?」
「まどかです。」
「メグミ=ジーニアスと申します。」
「そうか。あぁ、紹介しておこう。屋敷より同行するのはジョーカーと、ここにおるメイド長だ。」
「マイヤーにございます。」
「しかしのぅ、少女達であれば、メイドとして同行させても良かったのではないか?のぅマイヤー?」
「はい。左様にございますね。」
「恐れながらケーニッヒ卿、私達までお屋敷の人間として帝都に入っては、もしもの際、卿にも責任を問うてくる者も出るでしょう。」
「構うものか!」
「いいえ。もし私達が囚われるような時は、冒険者になりすまし、勝手に潜り込んだ者として、捨ておいてください。ジョーカーも。」
「かしこまりました。」
「うーむ……しかしのぅ……」
「卿、冒険者には代わりは居ますが、卿の代わりはおりません。」
「あいわかった。その覚悟、受け取ろう。」
「それと、もう一人、人足として忍ばせておる者もおります。その者の顔合わせは、列車の中で。」
「うむ。許す。」
「ありがとうございます。」
「ジョーカー、久方ぶりであろう。共に食事などして、語るがよい。」
「勿体のうございます。」
「マイヤー、用意してやれ。」
「かしこまりました。では、こちらへどうぞ。」
「では、失礼致します。」
まどか、メグミ、ジョーカーは、マイヤーと共に退出した。
「では、私もこれにて。」
「ニコライよ、あの娘、良い目をしておるのぅ。どうせおぬしもついてくるのだろう、気配を消して。死なせるなよ。」
「これは!お見通しでございましたか。心得ましてございます。」