M2-1
翌日、ギルドの受付カウンターに俺は居た。
腰にはナイフ。昨日俺様さんから拝借したやつだ。
ギルドの造りは、俺の記憶の中では、運転免許試験場に近いかな?
いくつか窓口があって、ホール内には人がごった返してる。みんな冒険者なのだろう。
さっきから視線を感じる。と言うより、ほぼ全員に見られてる感。
そうだよな、まどか可愛いからなぁ……俺でも見るよ。ガン見だよ!ほらそこ!hshsしてんじゃねぇ!
受付のお姉さんは、無表情だ。淡々と仕事をこなすタイプなのだろう。おかげで試験場感が二割増だよ。
「本日は、どのようなご依頼ですか?」
「いや、ギルマスに呼ばれて来た。試験を受ける。」
「え?試験って……入会テストですか?そのような軽装で……怪我しますよ?」
と言われてもなぁ、これしか服無いし、正直まどかの容姿にゴツゴツの防具など着せたくない。アイドルにとって、ステージ衣装こそ戦闘服なのだよ。ここは譲れない!
でもまぁ、傷も付けたくないし……今後考える必要はあるな。
「今日は、これでいい。です。」
こちらに来て、多少は言葉遣いにも気を使っているが、どうも素が出てしまう。これはまどかのキャラ設定とか考えて、なりきるしかないのかもな……
「おい姉ちゃん!ギルドナメてんのか!」
「まぁ、怪我をしたら、私が優しく介抱して、なんなら嫁にしてあげますよ。フフ」
「生きて帰ってこれたらな!ヒャッヒャツヒャッ……」
いかにもな三人組。どうやらパーティを組んでいるのだろう。ぶっちゃけめんどくせー。スルーだスルー。
「騒がしいな!ちったぁ静かに出来ねぇのか!」
入って来たのは、大柄の男。短い角、赤みがかった皮膚、肩に担いだトゲトゲの金棒……これで虎柄のパンツなら完全に節分の鬼だ。
豆ぶつけてやりたい衝動に駆られるわ。
「試験官のガンツだ。まどかってぇのはオマエか?」
ガンツ。オーガ種。HP450 MP200
え?俺より弱くね?防御力は高そうだけど……
「テストってぇのは簡単だ。この俺に傷一つでも付けれたら合格。おめぇが死んじまったら不合格だ。まぁ、戦闘不能くらいで止めといてやるがな。」
あー、逆だよ逆。手加減難しいなぁ……うっかり殺したらどうしよう……
「本気で掛かってこい!」
いや、ダメだって!俺の本気じゃ、たぶん受け止めきれないって!
「ホントにいいの?痛かったらゴメンね。死なないでね?」
「はっはっはっ!気の強いお嬢ちゃんだ。俺を倒す気でいやがる。まぁ、それくらいじゃないとな。俺に傷なんか付けれんだろ。よし、訓練場に来いや。」
訓練場は体育館程の広さだろうか、石の床に石壁、床には魔法陣が書いてある。障壁を張っているのだろう。
「いつでもいいぞ!掛かってこい!」
「ガンツさーん、顔だけはダメだよー。後で嫁にするんだから。」
はぁ、まだ言ってら……アイツもシメとかなきゃかな……いやいや、暴力反対。
「んじゃ、行くよ。もっかい言うけど、死なないでね。」
「さっさと来いや!」
「ふぅ……知らないからね。せいっ!」
ドゴーーーン!!……げふっ……
懐に飛び込み、腹への下段突きでガンツは吹っ飛ぶ。石壁にヒビを入れながら激突、そのままドサリと倒れ、動かなくなった。
「へ?」「え?」「まぢ?」「……」
「大丈夫?死んでない?」
敵対者情報 戦闘不能です。
あ、アプリさん、死んでないよね?
生命反応確認。反撃の可能性0% トドメをさしますか?
イヤイヤ!出来れば回復してあげようよ……
回復魔法 メディックを発動。敵対者のHP100回復しました。
遅めの新年会など、諸々ありますので、
もし投稿出来なかったら、その日数分まとめて投稿するかもしれません。
なるべく毎日投稿を心掛けますが…