B2-2
森の入口。ティンクはもう一度説得に来たのだった。
『お前のせいだ』
『お前が人間を連れてきた』
『出て行け!お前を許さない』
『待って!話しを聞いて!何があったの?』
ティンクは必死に森に踏みとどまった。
『イフリートが連れ去られた。お前と同じ』
『人間は信用出来ない。お前は人間の仲間』
『だからお前も信用出来ない』
とうとうティンクは、森から弾き出された。
-メグミは教会に辿り着いた。メグミは森の様子、まどかは町の騒ぎの事、それぞれ話した。
今のところ、これらを関連付けて考えるのは難しい。たまたま同時に起きた出来事かもしれない。教会内でいろんな可能性を考え、会議をしていた時、ボロボロになりながらティンクが飛び込んで来た。
「みんな……聞いて!」
「ティンク!どうしたの!」
「イフリートが捕まった。多分、あたしの時と同じ」
「「同じ?」」
それからティンクは、過去自分の身に起きた事を話し出した。
「あたしは、元々精霊だったの。」
「「!」」
クレアだけは目を閉じて頷いている。
「ある時、森で遊んでいたら、黒ずくめの人間が、緑色の魔石をかざしながら近づいてきた。あたしは意識を失って、その石に封じ込まれた。自分ではどうすることも出来ず、その人間の命令に逆らえなかった。
しばらくして、その人間は、神樹の森で一人のハーフエルフに倒された。それがジーニアスだった。ジーニアスは魔石を拾うと、あたしの存在に気付いた。そして、あたしを呪縛から解放するために、エリスに魔石を託したの。
人間の仲間は、魔石を取り返す為に、ジーニアスを執拗に追った。その時の戦闘で受けた術のせいで、ジーニアスの命は消えかかっていた。最後のマナで命懸けで張った森の結界で、人間達を退け、異界のめぐみにメッセージを送ったの。」
「ジーニアス……」
クレアは涙を堪えて呟く。
「あたしは魔石からは解放されたけど、強制的に力を使ったせいで、元の姿には、戻れなかった。あたしを封印していた術が邪悪なものだったので、精霊の姿を維持出来ずに、妖精になった……」
「そういう事があったのか……」
「許せないわ!」
「それでティンク様、今回イフリート様が同じような術で捕えられたと仰るのですね。」
「多分、間違いない。おかげで精霊達は、人間を信用出来なくなってる。もし敵対して暴れるような事があれば、この町だけじゃない、この国が消えてしまう!」
「そうなる前に止めないと!」
「そうね。絶対止めて見せる!私がジーニアスに託された使命ですから!」
「わたくしも、ティンク様を拉致し、傷付けた不届き者を 放っておくわけにはまいりませんな。」
そこにギルドの冒険者が飛び込んで来た。
「怪しいヤツを見つけましたぜ!移住者なんですが、そろそろ独り立ちってタイミングで、行方を晦ましたヤツが居まして、身元を調べたら帝都のヤツでした!」
「また帝都かよ……めんどくせぇ……」
まどかの目に力がこもる!
「クレア!ハンス!町の人達を頼むよ!」
「わかりました。ジーニアスの仇、どうぞよろしくお願いします。ハンス、みんなに知らせておくれ。」
「承知!」
「久々本気でアッタマきた!MJ2!行くよ!」