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B2-1



帝都魔導研究所。

本来は各種魔術の研鑽と、若手魔導士の育成の為に、皇帝が設立した機関である。属性毎に分かれ、日々研究を続けて来たが、精霊術の部門を取り仕切るアクト公爵は、精霊使いを簡易量産しようと目論み、強制的に精霊を捕獲、使役する研究をさせていた。


「ようやくまともな魔石が出来たな。」


魔晶石を使い、人工魔石を作り精霊を封印する、それがこの研究の辿り着いた結論だった。


「ようやく二つ目でございますな。」


「早速試すがよい。例の町には、潜り込ませておるのだろう?その者に届けよ!」


「はい。かしこまりました。」


その魔石は、農業移住者としてストーシティにいる男に渡された。そして今、イフリートの封印に成功したのである。


「後はこれが、使い物になるか……試してみるとしよう。」


森を出た男は、広大な農地が見える丘で、魔石を取り出し、天に掲げる。


「いでよイフリート!」


イフリートは掌に火球を作り、農地に投げる。着弾した地点を中心に、直径500m程の炎のドームが出来た。


「っ!凄まじいな……イフリート、戻れ!」


魔石を届けに来た男も、その様子を確認している。


「公爵様には、実験は成功だとお伝えしよう。」


そう言って、男は、影に溶けるように消えた。



-翌日、ギルドは賑やかだった。

ホーチックに行っていた冒険者の半分が帰ってきたらしい。ストーシティギルドのまとめ役兼、冒険者の教育係だった年配冒険者が、ホーチックのギルマスとして残り、中堅、若手の冒険者を半分残して、周辺警備などを続けている。町の人々の中には、冒険者になりたいと言う者もいて、中堅冒険者は、その者達の指導もしている。


そこに依頼が飛び込んできた。一夜にして畑が焼失したという事件、その原因の調査依頼だった。魔術によるものだとしたら、範囲からして極大魔術である。そこまでの術者は、街にはいなかった。


「あんた達!疲れてるとは思うけど、もうひと仕事頼むよ!」


号令をかけたのは、受付カウンターの豪快なお姉さんだ。尻を叩かれながら冒険者達は出ていった。一人の冒険者が、


「尻叩くなよ。セクハラだぞー」


とか言っていたが、


「なんだい?抱き締められたいのかい?」


と、お姉さんがプロレスラーよろしく、腕をカッポンカッポン鳴らすと、走って出ていった。


「なんだい、まだ走る元気があるじゃないか。ガハハハ……」


と笑うと、受付カウンターに戻っていった。


同時刻、メグミはクレアと森の入口にいた。まどか達は、ハンスが言っていた教会に行っている。


メグミ達は、森の様子がおかしいことに気付く。ざわついている、拒絶されている、なんとなくではあるが、そう感じた。


「これは……今日は無理そうだねぇ……」


「えぇ……嫌な予感がします。まどか達と合流しましょう。」


「あたしは、残るよ。」


ティンクはそう言って、二人を見送った。


まどか達は、市場で羽釜や衣装を引き取り、教会へ向かっていた。途中畑が燃えた話しを聞き、現場へ行こうと言ったが、ハンスが、


「今ギルドが調べてます。情報が入ったら、まどか様にお知らせしますんで、今日の所はデート……いや、観光を楽しんでください!」


と言うので、とりあえず教会に行くことにしたのだ。まぁ、おかげでメグミ達とすれ違いにならずに済んだのだけれど……

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