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B1-4



メグミ達が町へ戻った頃、ティンクは精霊の森に一人で来た。

(話し合ってみよう……)ティンクは目を閉じ、心を解放した。


『何しに来た!裏切り者!』


『あたし……精霊王様にお願いが……』


『ふん!妖に成り下がったお前など、俺が灰にしてやる!』


『穢らわしい!森に近づくでないわ!』


『待って!話しを聞いて……』


『お前なんか、石ころになっちゃえ!』


『……騒がしい……静まれぃー』


森に影が浮かぶ。雄大な翼竜の姿、王者の威厳、騒いでいた声の主達が静かになった。


『精霊王様、メグミを、メグミ=ジーニアスを受け入れてください。』


『先程の人間か……あれは魂が未熟に見えた。それに、お前の気の影響もある。無理だな。』


『あたしが……あたしが罰を受けたら、受け入れて貰えますか?』


『ふん!お前が罰を?当然だ。俺の業火で……』


『妾の永久凍土で……』


『静まらぬか!』


『……メグミには、支えになる仲間たちがいます。魂の成熟も、その仲間が必ず成し遂げてくれます!』


『ほぅ……人間とは、騙し、裏切る生き物。お前を連れ去った者も、卑しき人間ではないか。その仲間など信用に値するものか!聞かなかったことにしてやる。早々に立ち去れぃ!』


影は霧散し、森に吸い込まれていった。ティンクは弾き飛ばされるように森から転がり出た。



-まどか達はクレアに夕食に招待された。個人的に期待していたが、クリームシチューは出なかった。でも根菜類を小さく切った、煮物なのか具沢山スープなのか分からないものが、異様に美味かった!あと、里芋のような芋で作った餅とかぼちゃで作ったニョッキ、ハーブの効いた鹿のような魔獣のグリルも美味かった。


「わたくしも今日は勉強になりました。では、お茶はわたくしがお入れしましょう。」


「クレア、本当に美味しかった!」


「わたしもう、お腹いっぱいです!」


「お口にあったかしら?良かったわぁ。」


その夜、クレアは町と森について話してくれた。この町の肥沃な大地は、森の精霊の加護であったこと。最近その力が弱まっていること。その原因がクレアの力の衰えであること。人間に対する精霊の考えが変わってきていること……


「クレアのせいじゃないよ……」


俯きながらティンクが呟く。その時は、まどかもメグミも、ジョーカーでさえも、ティンクはクレアを励ましているのだと思った。クレアだけが、ティンクが言いたかった事を正確に理解していた……



-森に近づく者がいた。移住者で、そろそろ独り立ちしてはどうか?と地主に勧められた男だ。


「そろそろいいだろう。計画を実行に移しても……」


男は黒いローブに身を包み、フードを被って顔を隠し。森に入って行った。


『何しに来た、人間』


『貴方に会いにですよ』


『人間如きがオレに何のようだ』


『姿を見せてくださいよ、イフリート』


『ふん!いいだろう』


褐色の肌に燃え盛る炎の如き髪を振り乱し、イフリートは現れた。その瞬間、男は懐から紅い石を取り出すと、魔術を詠唱する。


「我に従え!スピリットテイマー!」


『人間風情が!灰にして……』


イフリートは怒りの表情で掌に火球を生み出そうとしたが、その間もなく紅い石に吸い込まれていった。

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