僕らの太陽1-1
2日後。
ストーシティの冒険者達がやってきた。まぁ、せっかく来てくれたけど、強行軍でたどり着いた冒険者達は、どう見ても半数は戦える状態じゃないよなぁ……既にスタンピードは止まったと聞いて、安堵と疲労でへたりこんでしまった。
手分けして結界の修復、元奴隷達の聴き取りと、ゴロツキ達の取り調べをする。仮設のギルドが設置され、屋敷に貯め込んであった食料等を配布し、元奴隷達に町を解放する予定らしい。今後はダンジョンの攻略と、排出される魔晶石で潤う、豊かな町に生まれ変わるだろう。冒険者が集まれば、周囲の魔物も減らしてくれるだろうし……
「そろそろ出発するか。」
「そうですね。」
「参りましょう。」
毒沼は浄化して塞いだし、後は任せとけば良いだろう……そう思い町を出ようとした時、
「ちょっと待ったぁー!」
鉱山に潜入していた冒険者が呼び止める。
「あんたら、勝手に行かれちゃ困るよ!」
「後は任せるよ。」
「そういうこっちゃねぇ、あんたらには、ストーシティに来てもらう。」
この冒険者、名前はハンス。ランクD、斥候職。たった三人でスタンピードを止めたMJ2を大層気に入ったようだが……
「ハンス様、どういう事ですかな?」
「オレが応援要請した時点で、スタンピード制圧はギルドの正式な緊急依頼になってる。ソイツをあんたらが片付けちまった。鉱山がダンジョンだったっていう、大事な目撃者でもある。ギルドとしては、ほっとける訳ねぇだろう!ギルマスに報告して欲しい。報酬も出る。一緒に来ちゃくれねぇか?爺さんからも言ってくれよ!な?」
なるほど、個人的な理由じゃ無かったのか……そういうことなら、行かない訳にはいかないな。まぁ、次の目的地があった訳じゃないし。
「わかった。同行しよう。」
「そうか!来てくれるか!よし!」
今、小さくガッツポーズしたよな?やっぱり個人的な理由か?
今度こそ出発だ。聴き取りの終わった、洞窟に囚われていた人々が出迎えに集まって来た。
「ありがとうございました。これでやっと、やっと人間らしい生活が出来ます!私達を……町を救ってくださった貴方様は、私達の太陽です!」
「……っ、たまたまだよ……じゃあ……」
照れ隠しに簡単な言葉だけ残して、すたすたと歩き出した。大袈裟なんだよ、太陽とか……なんか銅像でも建てそうな勢いだったし……
「オレにとっても太陽だよ!まどかさん!」
「う、うるさい!」
「あ、まどか照れてるー」
「め、メグミまで、そんなんじゃないし……」
「良いではありませんかまどかお嬢様。町は本当に救われたのですから。」
「そ、そうか。そうだな!」
こうして、ハンスと同行し、旅立った。行先はストーシティ、農業が盛んな穀倉地帯らしい。米あるかな?米食べたいな。基地で皆んなの食事賄ったから、たくさん仕入れとかないとな……などと思考を切り替え、顔の火照りも治まった。
「ハンス、美味い飯、ある?」
「ありますぜ、まどかさん!それに安い!」
「なるほど、食材が豊富なのでしょうな。わたくしも是非、良いものを仕入れたいと思います。」
「私は、イメージの力を上げたいな。心を落ち着かせる、いい所ありますか?」
「だったら教会がいいぜ。町の中心にデカいのがある。」
楽しみだな、ストーシティ。