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M1-4



「マスター!美味しかったです!ね?まどか」


なるほど……わざわざ着替えて来たのだろう、サイズの合ってない料理人風の服、はみ出すゴリゴリの筋肉、

無数の傷跡、こんな不自然なゴリマッチョ、料理人であるはずがない。コスプレにしても酷い。


俺は元から、駆け引きだの、腹の探りあいだのは苦手だ。得手不得手とかではなく、生理的な意味で。理屈捏ね回すヤツ、言い訳するヤツなんかは、どうも仲良くなれない。


「はじめまして、まどかです。よろしくね、ギルマス。」


「ははは、やはりバレますよね。冒険者ギルド、【ツインホークス】のマスター、ガルです。よろしく、まどか」


「ちょ、ちょっとまどか、気付いてたの?」


「貴女がごはんに誘ってくれた時からね。てか、これで気付かない方がどうかしてるでしょ。まぁ、人を見る目と、嘘を見抜くのは得意だし、人生経験の差かな?」


「なによ、人生経験って、あんまり歳かわんないでしょ?」


あ、そうだった。今の見た目はまどかだ。たしか、17歳だったかな?俺の三分の一じゃねぇか。


「ははは、なるほど。普通の女の子が経験する以上の事を乗り越えて来たようだね。いや、ギルマスとして冒険者を数々見てきたワシの勘なのだがね。まぁ、その辺の事情などは聞くまい。それがギルドの、冒険者への礼儀だ。」


(ナイスフォローだ!ギルマス!)


「ま、まぁ、そんなとこかな……」


それから少しガルと話をした。冒険者というのは、それぞれ事情を抱えてるヤツらも登録しているらしい。


要はギルドってのは、それぞれが持つスキルを人の役に立つ方向に使う為の組織って意味合いがあるのだろう。


使い方を間違えれば、犯罪やテロ、ヘタすりゃ国を滅ぼす力にもなる。決して野放しには出来ない。その力を人々の幸せのために使う。それがギルドの本質なのだ。


「……と、まぁ登録したからと言って、何かを強制する訳じゃない。ギルドに依頼された仕事も、受けるかどうかは冒険者が決める事だ。」


「わかったよ、そういう事なら私もギルドに登録しよう。」


「そうか!大歓迎だ!……と言いたいが、まどか、君は可愛い。」


「……なっ!」


突然なに言い出すんだコイツ……ロリコンか?俺の女になれ!とか言い出すんじゃねぇだろうな?


「確かに、可愛いは正義だ!その破壊力、ある意味武器だろう。だがその可憐な少女が冒険者としての力量があるのか?そこは確認せねばなるまいよ。」


「どういうこと?」


「明日また来てくれないか。ギルド入会試験をする。ウチも冒険者の素性を保証する以上、誰でも受け入れる訳では無い。見極めさせて貰うよ。色々ね。」


「……なんか、いやらしい……」


「……ギルマス、サイテー。」


「へ?あ、いや、決してそういう色々じゃないよ?」


「まどか、気を付けてね。変なことされそうになったら、『助けてー!』って叫ぶんだよ?」


「ちょ!ちょっと!誤解だよ!あくまで冒険者としての資質を……」


「いーや。あの目は狙ってる。女の勘よ。間違えないわ。」


俺は自分を抱きしめるポーズをとり、震えて見せた。周りの客達も、訝しげな目で見ながら、コソコソ話している。


「ち、違うよ!ホントに。じゃ、じゃあ、明日ね!私も忙しいから、もう行くよ?」


ガルは椅子に足をぶつけながら、慌てて奥へ引っ込んだ。

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