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『ジョーカー、メグミは無事?』
『勿論でございます。』
「よし!アイスバーン!」
「ストーンウォール!」
まどかは山道のカーブを利用し、道を寸断するように、斜めに壁を作る。山道を直線的に降りてくれば、その道は途切れ、崖下へ向う。しかもまどかは、その足下の路面を凍りつかせた。
「初めてにしては、上手くいったな。」
その様子を空から見ていたメグミとジョーカー
「え?まどかって、氷雪魔術も使えるの!」
「いやはや、底が知れませんな。」
まどかの横に降り立つジョーカー。お姫様抱っこ状態のメグミ。少し頬を赤らめてる。
「お帰り。」
「た、ただいま、まどか。」
「ではお嬢様方、仕上げと参りましょう。」
三人は屋敷へ入った。ほとんど人影は無く、居ても留守番の雑魚ばかりだ。精神支配担当の痩身の男も、精神魔術以外は大したことなく、ジョーカーの一閃で沈んだ。その男の後ろには、冒険者がいた。
「爺さんか、助かったぜ!やっぱり只者じゃ無かったな……」
「応援は来るの?」
「あぁ、連絡はついてる……って、お嬢ちゃん誰だ?」
「わたくしの、主でございます。」
「まどか。ツインホークスの冒険者だ。」
「何、同業者か!ゴブリンは、ゴブリンはどうなった?」
「粗方止めたよ。まだ仕上げが残ってるけどね。」
「馬鹿な!スタンピードだぞ!そう簡単に止められるわけが……」
「話は後だ。男爵を探す。」
「そ、そうか。」
男爵は玄関にいた。積めるだけの魔晶石を積み、逃げ帰るつもりだ。
「早くしろ!何をモタモタしておる!出発せよ!結界を怠るなよ!」
4頭建ての馬車に乗り、町を離れようとする男爵。突然馬が脚を止めた。目の前には、まどかとメグミ。
「どうした!早く行かぬか!ん?おぉ、女共か、お前らはいらぬ!何処へなりと行くが良い!」
「そうか、急いでるようだね。だったら積荷は軽いほうがいいな。」
「左様でございますな。」
いつの間にか男爵の隣に座っているジョーカー。エストックを一閃し、馬車の後ろの荷車を切り離した。剣を納め、その指を男爵の額に付けると、
『この町の事は忘れなさい。リ·ライト』
記憶を書き換え、馬車を飛び降りた。
「さよなら。」
メグミは矢を一本取り出すと、鞭代わりに馬を打ち付けた。馬は驚愕し、走り出した。
「おぉ、早い早い!」
再び山道へ。途中生き残ったゴブリンも結構いたが、ジョーカーのベノムショットでほぼ片付いた。歩きながらまどかはメグミに、イメージの話をしていた。
「メグミ、流星群って見たことある?」
「うん。一度だけ。星が降ってくるみたいな気がして、凄いって思った。」
「それを頭ん中でしっかりイメージして、空に向かって矢を射てみて。」
メグミは集中し、周りの景色を遮断する。その上で流星群のイメージを広げて行く。星降る夜空に包まれると、矢を射た!
一条の光は天に昇り、無数の流星群となって降り注ぐ!洞窟前にいた生き残りのゴブリンは全て貫かれ、スタンピードは完全に止まった。
「出来たよ!まどか!」
「よかったね!よし!基地に戻ろう!」
「なんだよあんたら!まるで練習みたいにスタンピード終わらせやがって!」
「だって、ねぇ。」
「練習だもん。」
「あんたらいったい、何者なんだ?」
「私達か?「私達は……MJ2だよっ!」」