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P3-2



まどかは目覚めた。縄に縛られて。


「おぅ、お目覚めかい?お嬢ちゃん。」


「どこ?」


「ほぅ、悲鳴をあげなかったのは褒めてやるよ。ここは、地獄だ。いや、天国かもしれねぇな!」


周りを見ると、三人とも縛られている。どうやら男めしには、睡眠薬がもられていたらしい。どこかの屋敷のようだ。


「起きたかね。」


そこに入って来たのは、贅肉ダルダルの男。仕立てのいい金の刺繍の入った服を着ているが、ボタンが今にも弾けそうだ。コイツに着られている服が可哀想になる。


「ソーア様!」


男の名はソーア。資料にあった一部の実力者なのだろう。ソーアは三人を値踏みして言った。


「なかなかじゃないか。性奴隷にするのも良いが、男爵様への土産という使い道もあるな。」


「これだけの上物が揃ってますから、男爵様にも気に入って頂けると思いやすぜ!」


取り巻きの下品な男が、ニヤニヤしながら答えた。


「ふむ。男は鉱山だ。」


「かしこまりやした。」


ソーアはそれだけ言うと出て行った。取り巻きの男は、その周りをチョロチョロ動き、ご機嫌取りをしている。ネズミだな。


「まどかお嬢様、どうなさいます?こんな縄など造作もございませんが?」


「まて、男爵ってのも気になる。このまま様子を見よう。ジョーカーは鉱山の方を調べて。」


「かしこまりました。では、連絡は例のもので。」



-メルクシティでアプリさんがバージョンアップした時、新機能を教えてくれた。戦闘中、より連携を取りやすく、離れていても会話が出来る。しかも他人には聞こえないという優れもの…思念リンクだ。

最初に全員で思念の波長を合わせる作業が必要だが、一度合わせてしまえば、いつでも使える。道中激しい雨が降った時、秘密基地の中で半日かけて波長を合わせた。

あ、そうそう、各地で土魔術を使って作る小屋を秘密基地(若しくは基地)と呼ぶようにした。子供の頃、神社の床下なんかに広めの空間を見つけて、マンガやお菓子を持ち寄って、友達とこっそり遊んでた。なんかワクワクした思い出がある。男の子って、こういうの好きだよね……


『メグミ、大丈夫?』


『うん。聞こえてる。』


『そうじゃなくて、怖くない?』


『うん。まどかが居るから……』


よく考えたら、メグミは元々高校生の女の子。家族も知り合いも居ない世界にひとりぼっちで来て、不安がないはずがない。パーティに誘ったのも、少しでもその不安を和らげてあげられたら……と思ったからだ。

それなのに、行く先々でトラブルに巻き込んでしまって、申し訳ない気持ちがある……ティンクの能天気で小煩い感じには、正直救われてる気がするな。保護者的立場のジョーカーにも助かってる……


「しばらく大人しくしてろよ。じき迎えがくる。」


見張りの男が、そう言って部屋を出た。


『妖精さん、出番だ。』


「ほらみなさい!やっぱあた……」


『『『シーーッ!!』』』


『声出すなよ!練習したろ!』


『あ。コホン……あたしが居なきゃ、なんも出来ないでしょー!で?脱出すんの?』


『いや、様子を見る。妖精さんは、町の様子を調べて欲しい。あと、帝都から誰か来ないか、見張ってて。』


『まっかせなさーい!』


そう言ってティンクは、窓の格子の隙間から出て行った。

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