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P3-1



鉱山の町ホーチックシティ。

魔獣が徘徊するだけだった山の洞窟で、冒険者が偶然見つけた魔晶石を切っ掛けに、帝国の鉱山開発政策により出来た町。


その開発にはグレーな部分が多い。本来、魔晶石を排出する洞窟は、ダンジョンの可能性が高く、普通ならばギルドが先ず調査し、ダンジョンマスターの有無を確認する。

(ダンジョンマスターとは、その名の通りダンジョンの管理者。知能の高い魔物が巣くい、繁殖し、洞窟内のマナを濃くする。マナの溜まった空間からは、新たな魔物が生まれ、その濃度によって魔物の強さが変わる…)

ダンジョンマスターが居れば、定期的に討伐依頼を出し、マナが結晶化した魔晶石を回収、それがギルドの運営資金になっていた。ダンジョンの所有権はギルドにある。それがこの世界の常識だった。


だがこの町は、ギルドの調査の前に、帝国の開発が入り、人が集められ、奴隷を使い、やがて町になった。偶然魔晶石を見つけたとされる冒険者の名前も不明、現在の消息もわかっていない。帝国は、


「この地はダンジョンではない。純然たる鉱山である。」


と発表した。


半ば強引な開発で町を作った為に、周辺の魔物による被害が頻発した。帝国は魔導師を派遣、町の周囲に魔物避けの結界を張った。

魔晶石の運搬などには帝国の魔導師が同行し結界を張るが、物資を搬入し、魔晶石を回収したら帰ってしまう。

住人が町から出るには危険過ぎる。帝都から運び込まれる物資だけが、この町の人々の生活を支えている。そのせいで治安も悪く、一部の有力者と取り巻きのゴロツキ、後はほぼ奴隷という酷い町だ。


「ちょっとまどかー、なんでこんな町に行くのさ?あたしはもっと平和な楽しいとこに行きたいわけ!」


「まぁまぁティンク様、まどかお嬢様には、何かお考えがお有りなのですよ。」


「私も、ちょっと、怖いかな……」


まどかは口を開こうとしてやめた。言ったら批難される未来しか見えなかったから。この町を選んだ理由、それは、『近道だから』


この町にはギルドはない。これは異常な事だ。どんな田舎の村でも、必ずギルドは存在する。冒険者を受け入れ、魔物を討伐し、治安を守る。そのギルドが無いということは、帝都直轄の無法地帯と言えるだろう。


「この町には冒険者を寄せ付けない何かがあると思う。とりあえず武器は収納して、旅人として入ろう。出来れば何事も無く素通りしたい。だろ?」


「わかったわ、まどか。」


町の入口。人は疎らだが、酒場や食堂はある。


「ほぅ。この町に余所者たぁ、珍しいな……何しに来た!」


「旅の途中に立ち寄った。」


「そうかい。魔物には出会わなかったかい?そいつぁーラッキーだ。」


「ねぇまどか、お腹空いた……」


「ハッハッハッハー!まぁ名物も何もねぇ町だが、メシ屋くらいはあるぜ!案内してやる。付いてきな!」


男について行き、食堂に入る。体力勝負の鉱山の町にふさわしい、ガッツリ男めし系だ。


「ねぇねぇ、資料の内容とかなり雰囲気違わない?それに……美味しそう!私こういうの初めて!」


「まぁ、たまにはいいかもな。」


いつもの上品なコース料理と違うかき込む系、はっきり言って求めていた。しっかり食べて満腹になり、旅の疲れからか、少し眠くなった。

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