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「ジョーカー!待たせた。」
「まどかお嬢様、ご無事でなによりでございます。」
「あぁ。此奴を片付けるよ!」
「では、まどかお嬢様は、メグミお嬢様のお傍に。わたくしが目印をお付けいたしますので。」
「わかった。」
まどかはメグミの隣でマナを練り始める。メグミの集中力はMAXだ。そしてジョーカーは動き出す……
「見えました。」
大きく羽ばたくと、一気に距離を詰める。骸骨の手を躱し、剣技を放つ!
「瞬剣五連撃!」
骸骨の喉元、胸の上部が弾ける!
「エクスキュジョンアロー!」
メグミの放った1条の光が、同じ箇所を爆散させる!赤黒いコアに包まれた、術者の姿が顕になった。
「炎陣、フルインパクト!」
全身に炎を纏い加速し、両掌を組んで、前回転で勢いを付け、組んだ拳を叩きつけた!
「おのれ小娘〜〜っ!!」
コアが衝撃に押し潰され、ピキピキと音をたて、限界を超えて破裂する。その衝撃の勢いは止まらず、爆炎と共に重なり合う骨の壁を突き破った!
コアを失った餓者髑髏。炎に焼かれ、灰となって崩れ落ちる。希望に胸を膨らませたはずの町の若者達を弔うように、まどかの炎は、先程とは変わって優しく包むのだった……
まどかは、虫の息となった術者ジャンにポーションを飲ませる。
「ちょっとまどか!」
驚くメグミに首を横に振り、一つ頷いた。
「ワシを……助けようというのか?」
「詳しく話しを聞かせて。その後どうするかは、また考える。」
「やれやれ、小娘に諭され、叩きのめされた挙句に、情けを掛けられるとはの……少し語ろう。」
それは内乱中の、若き日の皇帝の話。民を愛し、民に愛される皇帝。自ら先頭に立ち、皆を導き、国を平定した。十数年が経ち、帝国に平和が根付いた頃、貴族の中に、領地や役職に不満を持つ者が出始めた。数々の謀略を水面下で企て、根回しや追い落としに時間を費やす。そうやって帝国の根が腐りつつある頃、皇帝は病に倒れた……若い頃より、皇帝の傍で魔術師として活躍したジャンは、帝国の行く末を憂う。今の貴族達では、次代の皇帝を傀儡として、私利私欲に奔走するのは、火を見るより明らか。現皇帝の威光あってこその帝国、そう考え、皇帝の復活を望んだ……そのような話。
「陛下の御命は、もう長くは持たぬのじゃ……ワシは、焦りすぎたのかのぅ……」
「お前は方法を間違った。皇帝が不老不死となり、その姿形を残しても、結局傀儡と変わらない。その事になぜ気付かなかった?」
「ワシも腐った貴族共と同じか……そうか、そうかもな。皇帝陛下の愛した民を……ワシは殺そうとしたのか……」
駆け付けた冒険者達と憲兵に、ジャンを引渡した。のびていたヘラヘラさんも一緒に。
「やったじゃん!あたしの作戦通りね!」
「ティンク?何もしてないでしょ?」
「あたしだって頑張ったじゃん!ね、まどか。」
「そう、だったかな?」
「はい、大活躍でございましたね、ティンク様。」
「ほらみなさいよー!やっぱジョーカーわかってるー!」
こうして、スケルトンの騒動は無事解決された。まどか達MJ2の活躍で。ギルドから報酬を受け取り、次の町へと旅立つのだった。