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『……』
『……アップデート準備中』
『……アップデート準備完了。自動アップデートを開始します。』
『……ダウンロード中』
『……ダウンロード完了。インストール開始します。』
『……インストール完了。アプリさんver.1.1.0は、正常にアップデートされました。』
『名称まどかの精神にウイルス感知。セキュリティシステムによるウイルスバスター起動……正常化されました。』
「……ん、あ、アプリ、さん?」
『名称まどか、精神正常化確認。オートモード終了します。』
「はっ!か、身体が、思うように、動かない……」
「まどかお嬢様、お戻りですか?」
「な、ジョーカー!私はなぜジョーカーと戦って……」
「おそらくは……術者に操られておいでなのですよ。」
「……そうか。だが、戻ったのは精神だけだ。身体の自由はきかない……」
「なんと!」
「だがジョーカー、謎が解けた。私を操っている思念は、骸骨の中から感じる。」
「ということは、」
「あぁ、術者の本体は、骸骨の中だ!ジョーカーは骸骨を頼む。」
「まどかお嬢様は、いかが?」
「私は、私を取り戻す!そっちは任せた。本気出していいぞ!」
「御心のままに!」
ジョーカーとまどかは、互いを押し飛ばし、その勢いのまま、ジョーカーは骸骨に、まどかは術者の影に弾き飛んだ。
「メグミお嬢様、お待たせ致しました。まどかお嬢様には、本気を出せと言われてしまいました……ハハハ……」
「っ!……ジョーカーさん、蔦が、持たない……」
「わたくしが此奴の注意を惹きます。メグミお嬢様は、弓を御準備ください!」
ジョーカーは、紫色のオーラを纏うと、背中に蝙蝠のような翼が現れる。
「参ります。」
骸骨の周りを飛び回り、時折剣技を仕掛ける。骸骨は五月蝿く飛び回るジョーカーを捕まえようと、手を伸ばすが空を切る……しばらくそうしていると、普段開けているか、瞑っているかわからないジョーカーの眼にマナが籠る。
「魔眼、発動!」
ジョーカーの瞼がゆっくり開くと、赤い輝きを放つ眼が骸骨を観察する……
-「……どうしたのじゃ?小娘の動きが悪くなったではないか!」
「……ちっ、あぁ、めんどくせぇ……」
「なんじゃと?」
勝手に動く身体に、必死に抵抗するまどか。いつしか動きが完全に止まった!
「小娘!抵抗しおるか!ならば今一度……」
術者の影は、支配を強めようと再びまどかに両掌を伸ばす。もう少しで胸に掌が届こうとする寸前、
「爺……私の身体に、勝手に触るんじゃねぇ!!」
まどかは掌を掴み、身体を捻ると、背負い投げを打つように地面に叩きつけた!そこに転がっているのは、ヘラヘラさんだった。掌には魔法陣が描かれている。こいつがまどかを操っていたのだ。術者の影は、空に溶けるように消えた。
「なるほどな、幻術の影を盾にして後ろに隠れてたのか。私が攻撃したのは影、私に触れたのは、お前だな!」
「ひぃっ!……」
足を引きずって逃げようとするヘラヘラさんに回り込み、まどかはラッシュを撃ち込む!
「お前は、出禁だぁーーっっ!!!」
10m程吹っ飛び、前歯はへし折れ、血の混じった泡を吹いて、ヘラヘラさんはピクピクと痙攣していた。