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J4-3



まどか達は買い物を済ませ、空き地にやって来た。

カスリンがオススメの宿を言っていたが、空き地はないか?と尋ねたら怪訝な顔をしながら教えてくれた。宿を取れない程の貧乏かと思ったらしく、ギルドの空き部屋も勧められたが、丁重に断っておいた。今度から多少は宿を利用した方がいいかもな……まどかはそう思った。


土魔術で小屋を造る。ジョーカーもいるので、部屋を増やした。案内して来たカスリンは、


「へぇ、大したものねぇ……」


と半分驚き、半分呆れた。


メグミは、買い物の時から浮かない顔をしている。何故あんなにまどかは強いのか?これまでのことを思い、悩んでいた。

自分の弱さを実感していた。世界を見て、何をすべきか考える……その思いで森を出たのに、こんなんじゃ……まどかがいなければとっくに命を落としていただろう。

何より川でのワイバーン戦の時、エルフィンボウは輝かなかった。森でトレントと対峙した時のあの力は、まぐれだったのか……

成り行きで一緒に行動しているが、いつまでまどかがそばに居るかわからない。まどかにはまどかの旅があるのだから……


意を決して、メグミはジョーカーに相談した。強くなりたい!せめて一人でも戦えるくらいに……

カスリンにギルドの訓練場を借り、ジョーカーを伴ってやって来た。


「私を鍛えて下さい!強くなりたいんです!」


「どうなされたのですか?メグミお嬢様は、お強いと思いますが?」


「私は、まどかの足でまといになりたくない……一人じゃまともに戦えない……」


「メグミお嬢様、人にはそれぞれ役割というものがございます。まどかお嬢様が近接の戦闘をし、メグミお嬢様は中長距離の攻撃をする。良い組み合わせだと思われますが?」


「私達は、たまたま知り合って、とりあえず一緒に行動してるだけなの……いつまどかと別れるかわからない……一人でも戦えなきゃ、この先……」


「左様でしたか……ならば、わたくしでお役に立てるかわかりませんが、メグミお嬢様の鍛錬のお手伝い、させていただきます。」


そう言うとジョーカーは、メグミを観察し始めた。的の人形にナイフを打ち込むメグミを見ながら思案する。


「メグミお嬢様、そちらの装備は、どうなされたので?」


「これは、ゴブリン達から剥ぎ取った物を直して……」


「なるほど。わたくしが見ました所、装備がお嬢様に合って無く、動きを阻害しているようにお見受けします。防御力は下がるでしょうが、もう少し身軽な、サイズの合ったものをお召になった方が良いかと。それを補います意味で、両手にナイフを持っての、攻防一体の動きを身につけられれば、近接の戦闘もこなせると愚考いたします。」


それからメグミは、革鎧を脱ぎ、投擲用に持っていたナイフを両手に持ち、ジョーカーを相手に模擬戦を繰り返した。ジョーカーはメグミの攻撃を躱しつつ……


「まだまだ踏み込みが甘いですぞ!脇がガラ空きでございます。もっと周囲全体に意識を集中して下さい!」


と、的確にアドバイスをする。日が沈み、メグミが立てなくなるまで模擬戦は続けられた。


「今日は、これくらいになさいませ。修練は一日で出来るものではありません。ですが最後の連撃は、なかなかのものでございました。明日は装備を整え、また模擬戦を行いましょう。」


仰向けになったメグミに手を差し伸べ、そう言ってジョーカーはメグミを抱き抱え、空き地の小屋に向かった。

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