J4-1
物語の着地点が粗方固まったので、章管理しました。
メルクシティ……五十年程前は帝国第二の都市だった。商業と皮製品の加工が盛んで、中央都市に対抗意識があり、独自の成長を遂げた。町の人々は、わが町こそ文化の最先端!との自負があり、よく言えばこの町に誇りを持っている。
悪く言えば余所者をなかなか信用しない、内輪にしか興味を持たない風潮がある。若者は外にも目を向け、多様な文化に親しんでいるが、年長の者達は、まぁ、ハッキリ言ってめんどくさい。
現在に至っては、産業都市としての勢いは衰え、若者は中央都市へ出稼ぎに行き、年長者は過去の栄光に縋って細々と生活している。若者達が町を出て行くことを年長者は苦々しく思っていて、それが余計他所の文化や人間を毛嫌いする原因になっていた。
まどか達一行は、とりあえず町のギルドへ向かった。素通りしてもいいのだが、一応の挨拶をしておかないと、トラブルがあった時など、何かと面倒な事になるらしい。メルクシティのギルドは、ストーンブリッツという。町の入口から五百メートル程進んだメインストリート沿いにあった。噴水を中心に、ロータリーのような石畳があり、放射線状に道がある。ここがこの町の中心なのだろう。そのロータリーの一角にギルドはあった。
「ここだな。」
広さはツインホークスのギルドの倍近くあるだろうか、使い込まれたカウンター、所々にへこみや刀傷がある。ホールのテーブルが少し新しく見えるのは、荒くれの冒険者が壊して入れ替えられたものだろう……
「いらっしゃい……ん?見ねぇ顔だな。ここは冒険者ギルドだが、依頼か?」
カウンターで暇そうにしてたのは、中年男性。いかにも元冒険者という佇まいだが、少しお腹の肉が邪魔そうだな。
「いや、これでも一応冒険者なんです。帝都に向かう途中、この町に来たのでね、挨拶だけでもしておこうかと……他は私の連れです。あと、これ、ギルドカード。」
「どれどれ……」
カウンターに置かれた水晶の台座にある石板にカードを乗せた。
「な、なに!ランクBだと!あぁ、ツインホークスか!なるほどな、流石は田舎のギルドだ。こんな小娘でもランクBになれるなんてな!ガハハハハ……」
「むっ!」
ギルドのホールは、一瞬騒然となったが、直ぐに嘲りの笑いに変わった。
「こんなガキがランクBなら、俺はランクSだな!」
「おうよ!このギルドのヤツなら全員ランクAオーバーだぜ!」
「違ぇねぇや!ハッハッハッハッ……」
「まどかお嬢様、わたくしがこの不埒者どもの相手をいたしましょうか?」
「ハーッハッハ……笑わせるぜ!お嬢様だとよ。大方田舎の小金持ちが、強い冒険者でも雇ってレベルだけで上げたんだろ?ろくな装備もしねぇで、ピクニック気分か?」
「ジョーカー、ほっとこ。ここには揉め事を起こしに来たわけじゃないし、雑魚とは言え、コイツら潰したら、ここのギルドも依頼どころじゃ無くなる。」
「なんだとてめぇ!どっちが雑魚か、思い知らせてやろうか?」
既にまどかの意識からは、周りの冒険者は外れていた。それを見たメグミが、
「と、とりあえず座って、今後の旅の計画でも話し合いましょうか。」
「かしこまりました。ではお嬢様方、こちらへおかけください。わたくし、飲み物を用意してまいります。」
「おい!無視すんじゃねぇ!いい気になりやがって!おいおめぇら!やっちまえ!」