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J3-2



まどかとメグミが夕食を終えようとした時、辺りに気配を感じた。


「ん?十や二十じゃないな……」


夥しい気配。闇に紛れ、風下から忍び寄る者達。それぞれに低い唸り声を上げる。


「……んー?なぁに?……って、魔狼じゃない!ヤバいヤバいヤバいヤバい!アンタたちがレッサーワイバーンの死骸をほっとくからー!」


既におやすみモードだったティンクが目を見開いて慌てている。

魔狼。獲物の匂いを嗅ぎつけ、集団で行動し、一網打尽にする。その攻撃力は高く、素早さでは人間の脚など遠く及ばない。五十〜二百頭前後の群れを作り、一夜で村が全滅することもあるという。


「メグミ!動ける?」


「えぇ。なんとか。」


「よし!行くよ!」


二人は戦闘を開始した。魔狼のスピードとランダムに方向を変えるフェイントに翻弄され、メグミは矢を放つ事が出来ない。襲いかかる魔狼の動きを見極め、躱し、カウンターでナイフを繰り出す。まどかも散開して全方向から来る魔狼に掻き乱され、スケルトン戦のような蹂躙は出来ず、個別に倒すしか無かった。


「アレを使ってみるか……」


まどかはペンダントを握りしめ、マナを込めた。


「サモン、アンデッド!」


まどかは、スケルトンの一団を召喚した……つもりだった。ペンダントからは禍々しいオーラが溢れ出し、何故かそのオーラは側に横たわるレッサーワイバーンの死骸を包み込む。骨がむき出しのレッサーワイバーンが、その場にゆっくりと立ち上がった!


「グルォーッ!」


レッサーワイバーンは、デスワイバーンになった!まどかは目眩を覚える……マナを吸い取られ、枯渇寸前だった。


「ヤバい……」


まどかは、拳にマナを纏わせることが出来ず、力技で倒すしか無かった。膝をつき、魔狼の群れを睨むまどか。その時……


「ガルォーッ!」


デスワイバーンがブレスを吐く!燃え盛る黒い炎が、魔狼の群れを包み、その身を焦がしてゆく。だが……

デスワイバーンを脅威と認識した魔狼が、四方から一斉に飛び掛ってきた!ブレスを逃れた魔狼達も後を追う。


「この隙に……」


魔狼達がデスワイバーンに集中している隙に、まどかは収納からマナポーションを取り出し、一気に飲み干した。


「よし!いける!」


まどかは、両拳をギュッと握り、真紅のグローブにマナを込めた。ブレスを吐き、魔狼を噛み砕き、爪で引き裂いていたデスワイバーンだったが、魔狼達が噛み付き、次から次へと覆いかぶさってくる猛攻に膝をつき、倒れる寸前だった。


「まとめて逝け!炎陣!フルバースト!」


魔狼の団子状態となっていたデスワイバーンに向け駈ける。足元に潜り込み、渾身の右アッパーを放つ!爆風の如き拳に巻き上げられた魔狼達を下で待ち構え、落下してくる所へ左アッパーをぶち込んだ!


落下の勢いにカウンターで拳を当てる。双方のエネルギーがぶつかり、大爆発が起きた。


『ドッッゴォーーーーン!!!』


辺り一面に、ドサドサと魔狼の残骸が降ってくる。巨大な力で引き裂かれたような、肉片と血の雨。原型を止めてる個体は、ひとつも無かった。そう。デスワイバーンでさえも……


「……ちょっとー!周りの迷惑考えてよね!あたしどんだけ吹っ飛ばされたと思ってんのよー!」


ティンク……アレに巻き込まれて生きてるって、逆に凄くね?

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