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J2-3



赤土色の身体に翼、全身鱗に被われた下位の竜種、両翼三メートル程のレッサーワイバーンが、ホバリング状態でこちらを見ている。表情の読み取れない、縦に割れた爬虫類系の目、鋭い牙を覗かせる頑丈そうな顎は、ひと噛みで獲物を死に至らしめる。爪は鋭く、引っ掛けられただけで剣の一閃に値するだろう。今まさにメグミを餌として認定したらしい。


メグミは圧倒的に不利だ。川の流れに翻弄される筏の上では、足場も悪く集中力もかいてしまう。ただ矢を射ただけでは、翼の風圧で軌道を変えられ、矢は当たらず吹き飛ばされてしまう。水の上では樹木魔術の発動も難しい。下手に使えば、筏を媒体にしてしまう為に足場が崩壊し、川に投げ出されてしまう。


「どうする……」


メグミは、思考する。平原での戦闘経験は役に立たない。今の現状で出来うる最善の策を……


本流に乗った筏は、岸までは距離がある。ここでやるしかない。

メグミは筏の上で片膝立ちになり、なんとか身体を安定させた。矢をつがえて呼吸を調える。それを見たレッサーワイバーンは、翼を少し畳むようにして、メグミに向かって一直線に降下してきた。


正対するメグミ。その腕に力を込め、弓を引き絞る。


「来るよ、メグミ、ねぇ、来るよ来るよ来るよ!」


騒ぐティンクの声ほ、メグミの耳には入って来ない。極限の集中力だ。一気に距離を縮めるレッサーワイバーン。


「まだだ……」


メグミを包む緊張感。


「グオォォォーッ!」


獲物を捕えようと、大きく口を開くレッサーワイバーン。


「今!……ビシュン!!」


メグミは一条の光りの如く矢を射る!レッサーワイバーンは、僅かに身体を捻る。矢は頬を掠め、翼を根元から引き裂いた!


レッサーワイバーンはバランスを崩し、錐揉みしながら川に墜落した。高波のような衝撃に、筏は木の葉の如く翻弄され、バラバラに散った。


「ワップ……」


川に投げ出されたメグミ。流れに翻弄されるメグミの革鎧の襟を掴み、必死に引っ張るティンクだが、ティンクの力ではメグミを引っ張ることは出来ない。


「メグミーーっ!」


流されるメグミを追いかけることしか出来ないティンク。必死に踠き、岸へ泳ごうとするメグミ。流れの速さと革鎧の重さで上手く泳ぐことが出来ない。やがて力尽き、気を失ってしまった。


「しっかりしろ!メグミーーっ!」


「ザッバーン!グルォーッ!」


最悪の事態だ。川に墜落したレッサーワイバーンが、水面から飛び上がった!片翼は千切れかけボロボロだが、魔力を放出しながら飛んでいる。


レッサーワイバーンはメグミをその足で掴み、岸へと降り立つ。翼を乾かし、ゆっくりと餌を貪ろうという魂胆だ。ティンクは岩陰に隠れ、震えながら見守ることしか出来ない。レッサーワイバーンは悠然と身繕いを終え、ジロリと餌を見据えその口を開けた。


「もう、ダメだ……」


ティンクが目を伏せた……その時、大きな力のうねりが飛来する。


「炎陣!」


紅く燃ゆる火の玉が、レッサーワイバーンを撃ち抜いた!レッサーワイバーンは翼を焦がし、首はありえない方向へと折れ曲がり、舌を出した状態でピクリとも動かなかった。

うーん、まだ使いこなせてない感が…

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