表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/131

J2-2



メグミ達は、平原を歩いていた。

時折獣を見つけては射止め、樹木魔術で木陰を作り、テントを張って肉を焼き食べた。ゴブリンやコボルトに出くわす事もあったが、メグミの樹木魔術の蔦で絡め取り、矢で射れば問題なかった。森でのトレント達との一件のような、集中力を高めての奥義は、複数の敵に囲まれた時には不利だ。集中している間に、敵が待っていてくれる訳はない。メグミはこの平原で実践的な戦い方を学んでいった。


ゴブリン達の中には、旅人が落としたり冒険者を倒して剥ぎ取ったであろう武器や防具、貨幣などを持っているモノもいた。メグミは、使えそうな防具を直して装備し、獲物の解体や投擲用にナイフを拾った。


ティンクは、次元魔術という特殊な術が使えた。次元収納という、言わば青い猫のポケット的な術に残りの武器、防具を入れた。町で売れば、小遣いくらいにはなるだろう。こういう所は抜け目ないヤツだ。


「大漁大漁!」


「でも……魔物には遭遇するけど、人間には会わないわね……道はまだ遠そうね。」


「そのうち見つかるさ!この辺はそんなに強い魔物は出なそうだし、今のうちに稼ごうぜ!」


「……ふぅ、やれやれ、フラグじゃなきゃいいけど……」


「なんだそれ?」


「なんでもない。明るいうちに、もう少し進もう。」


「よーし、張り切って行こう!」


そうして二日が経った。相変わらず道にはたどり着けなかったが、川を見つけた。


「人間の生活には水は不可欠。川を辿れば、きっと人間がいるはず。」


「お前、時々スゲーな。よし!川を辿ろう!」


「せっかく川なんだし、樹木魔術もあるし……ねぇティンク、船、乗ったこと無いって言ってたよね?」


「うん。ってお前まさか!」


「船……はムリかも。でも筏くらいなら……」


メグミは魔術で丸太や蔦を使って筏を作った。


「初めてにしては、上出来じゃない?」


早速、筏を川に浮かべ乗ってみる。長い枝を竿替わりに、岸を押した。流れに乗り、筏は進んで行く。


「出航だぁー!」


「おーっ!」


途中、興奮して飛び回っていたティンクが、川から飛び出した大型の魚に食べられそうになった以外は、順調な川下りだった。今もまだティンクは、メグミにしがみついてプルプル震えている。川面を覗くこともしない。これはトラウマになったな。川を嫌いにならなきゃいいけど……フライフィッシングって、こういう事なんだろうね。ティンクに糸を付けて飛ばしたら、魚釣れるかもよ?とか言ったら、泣きながら両腕を振り回し飛び掛ってきた。ごめんって、冗談だって!しかし、ホントにいるんだね、泣きながら腕を振り回すヤツって……


「ティンク、川は見なくていいから、人間の気配くらいは探知しててね。」


「うぅ、グスン、わかったよ……」


ようやく泣き止んだかな。実は、結構頼りにしてるんだよ。声に出したら調子に乗るから言わないけど……


「人間の気配はない。ない、けど……」


「けど?」


急に辺りが薄暗くなった。空を見上げると、雲では無い。ここまで気配に気付かないなんて……太陽を遮り、大空に羽ばたく影……


「「レッサーワイバーンだ!!」」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ