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J1-4

今日からしばらく、2話ずつ投稿します。



「ちょ、ちょ、ちょっとちょっとちょっと!待って待って待って!え?なに?どういうことどういうことどういうこと?今の、今のって、ジーニアスの奥義、エクスキュージョン·アローじゃない!なんであんたが……」


さっきまで後ろに隠れていたティンクが、やたらに騒がしく飛び回り、早口で捲し立てる。

周りのトレント達は、度肝を抜かれ、我に返り、怒りに震えていた。


「き、貴様ー!人間風情が、よくも……」


「ゴゴゴゴ……」


大地が震えた。トレント達の怒りかと思ったが、どうやら違う。そのトレント達でさえ何が起きているのか解らず、ザワザワしていた。


「鎮まれぇい。」


地響きのような重低音の声がする。


「「「神樹様!」」」


「トレント共よ、ヌシらが仕掛けた腕試しであろう?討ち果たされて怒りを露わにするなど、森に生きるものに有るまじき行いぞ。」


「「「申し訳、ございません。」」」


「メグミ=ジーニアス、汝をジーニアスを継ぐものと認める。今一度我が元へ来るが良い。」


思わず跪き、頭を下げるメグミ。王威か神言とでも言えばいいのか、礼を尽さねばならぬ相手だと本能的に悟った。


「へっへーんだ!あたしのメグミは、神樹様のお墨付きだよ!」


1人空気が読めないティンク。トレントの間を飛び回り、メグミの肩に乗りふんぞり返る。


「戻ろう。」


そう一言言うと、メグミはユグドラシルへ向かった。道中ティンクが、最初から見どころがあるヤツだと思ってた!とか、あたしの子分にしてやる!とか、散々うるさく飛び回るが、ほぼ聞いていなかった。


メグミは自分の力に驚いていたのだ。弓の心得はあるが、それはあくまでも競技としてである。先程の力は、自分の集中力だけでは無い、弓に宿るエルフの力……ジーニアスは、この力で森を守っていたのだろう……そう悟った。そして自分も、この豊かな森を守りたい……そしてこの世界の人間のことを知りたい。漠然とだが、そう思っていた。


ユグドラシルの中、エリスに迎えられ、祭壇のような場所の前で跪く。エリスは森での出来事を精霊達の力によって、全て見ていたらしい。


「ではメグミ=ジーニアス、貴女の気持ちを聞かせてください。」


「……私は、普通の女子高生でした。元の世界に帰りたい……と、思わない訳ではありません。でも、仮に戻れたとしても、もう私の居場所なんて、ないかもしれない……エリスが言うように、私がこの世界に来たことに、もし意味があるのなら……元人間として、出来ることがあるのなら、私はこの世界を見てみたい!今は、そう、思います。」


ビルの鉄骨が降ってきた記憶がある……エリスの言う通り、おそらく自分は死んだのだろう……ならばこの世界で、精一杯生きてみよう!メグミ=ジーニアスとして……そう決意したのだ。


「わかりました。では、神樹の森を導く者として、この私、ドライアドのエリスの名において、メグミ=ジーニアスに依頼します。神樹ユグドラシルの加護を受けし者よ、貴女の意志はこの森の意志です。その目で世界を見、成すべき事を考え、その心のままに行動なさい。」


「承りました。豊かな森を護るため、この世界の人間をこの目で確かめて参ります。」


今はこれでいい。先ず見てみなければ、何も出来ない。いや、私なんかが何か出来るのか、それすらもわからない。それなら見て回ろう。この世界の全てを……

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