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C2-2



貴族街から富裕街にかけて、虱潰しに探していく。マナ探知に優れた冒険者と合流し、転移や隠蔽の残渣を探るが、なかなか見つからない。


「貴族のお屋敷、富裕街、全て見たはずだがなぁ……」


「市民街はギルドと衛兵が廻ってる。ハンスの連絡が無いって事は、やはりこっちだと思う。」


まどかとゴルメスが思案していると、遠くから呼ぶ声がする。


「……まどか様ぁー!」


声の主は、ゴーンだった。この辺りの地理に詳しいこの男なら、潜伏しそうな場所に思い当たるかもしれない。


「ゴーン!いい所に来た。知恵を貸してほしい!」


「この騒ぎは、なんですかな?」


「あぁ、隣国から賊が入り込んで、帝都で悪さしてる。貴族を唆し、帝国を崩壊させようとしてる。潜伏しそうな場所、心当たりない?」


「なんと!それは一大事!思い当たる所と言えば……倉庫街は、行かれましたか?」


「あぁ、全部見た。貴族のお屋敷も。」


「お屋敷……まどか様、別邸は行かれましたか?」


「別邸?」


「はい。貴族様の中には、お取り潰しになった方の邸宅や、富裕街の商人の屋敷を買い取られ、別邸とする方もいらっしゃいます……」


「空き家も全て見た筈だが……」


「以前商人の中で、地下に隠し部屋を作り、よらかぬ薬を作っていた者がおりました。その商人は捕らわれましたが、その屋敷は買い取られております。」


「誰が買ったかわかる?」


「はい。たしか……子爵様だったと記憶しております……」


「そこだ!案内してくれる?」


「はい。こちらです。」



-富裕街の外れ、周りを林に囲まれた敷地に、その建物はあった。まどか達とゴルメスの隊は、林に身を潜め、建物を監視する。


「よし。隊を二手に分ける。お前達は裏へ回れ。私と残り半数、あと……まどか殿達、表から突入する。よろしいか?」


「あぁ。それで行こう。相手は魔導師だ。魔法防御のアイテムとか持っているなら、装備した方がいい。無い人達は集まって。」


まどかは隊員達に、マジックシールドをかけた。


「あまり術を受け過ぎると、効果が無くなる。気をつけて。」


「心得た。では……位置につけ。散開!」


まどかは思う。騎士や兵士というのは、剣と剣技に特化してる為に、魔術を絡めた攻撃に弱い。大義名分や精神論に酔ってる者もいる。それは、ゴルメスとの模擬戦で実感していた。十分に力を出し切って、それで負けるのならば仕方ない……と、相手の強さを讃える。策や罠など、卑怯者のすることだ……そういう考えが根付いている。


それではダメだ。自分達の負けは、帝都の民の死に繋がる。相手がどんなに強くても、どんな大軍でも、負けは許されない。使える手は全て使う。それが卑怯とは思わない。相手が真正面から正々堂々などありえないからだ。


「私は私のやり方で行く。ゴルメス、私達が先行する。出口を固めて後から来て。」


「私も行くぞ!」


「侵入感知や罠の類いの魔術が施されているかもしれない。あと、近くに井戸や洞窟がないか調べて欲しい。屋敷の抜け道になってるかもしれない。」


「わかった。無理するなよ。」


「あぁ。」


まどかは別邸に足を踏み入れた。

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